本記事は、南祐貴氏の著書『未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法』(ダイヤモンド社)の中から一部を抜粋・編集しています。

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(画像=NorGal/stock.adobe.com)

「死にかけているブランド」の見極め方

東証プライムは玉石混交

日本企業を調べると“東証プライム”(旧東証一部)を知る。東京証券取引所が「日本を代表する企業だ」と選んだ証(ハンコ)の最上位がプライム(のはず)だ。就活・転活でも、会社説明会でプライムとドヤ顔で出される。

しかしそのハンコに価値はあるのか? あるとき学生さんから「東証プライムの企業から内定をもらいました! やったー!」とDMが来た。結論、プライム=すべて良い企業と判断するのはNG。プライムの中にも良い企業と悪い企業が混ざっている玉石混交ぎょくせきこんこう。ハリボテでしかない。

価値の無いハンコで安心するのではなく、株価(決算)に注視すべきだ。恋愛でも、悪い相手にだまされたら自分が損をする。

※ 東証プライムの問題点は[セカ本① P.46参照]

昔の人気就職先:銀行&メーカー しかし今は…

就職先を選ぶ上で、親が喜ぶ企業にしたいという学生も多い。親世代には30年以上前の価値観が残っている。

かつてのエリートはどんな進路選択をしていたのか。歴史を見ると34年前のエリート学生(東大・京大・早慶)が選んだ企業はダントツで「銀行」だった(文理を問わず)。ランキング上位のほとんどを銀行が占めている。1位:NTT、2位:第一勧業銀行、3位:日本興業銀行、4位:三菱銀行、5位:日本長期信用銀行。

※ 出典:【ランキング】平成元年から東大、京大、早慶の就職先トップ30はどう変わったか(AERAdot. 朝日新聞デジタル、2018年2月)

かつては銀行=エリートを象徴していた。

なぜか? その理由は当時の世界の時価総額ランキングを見たら一目瞭然だろう。これは日本のみではなく、“世界”のランキングだ。

日本の銀行が崩壊した理由は金利・為替・不動産など複数の要因があって長くなる。本記事ではスペースの都合上省略するが、詳しくは「銀行 バブル崩壊」で検索してみてほしい。

現在の世界No.1の時価総額は、前述のとおりAppleだ。そしてMicrosoft、Google、Amazonが続くTOP4だ(サウジアラムコは王族が関係しているので除く)。

世界の上位だったはずの日本企業(主に金融)がほとんど消え、世界のランキング100位以内に食い込んでいるのは51位のトヨタ自動車のみ。

では34年前のエリート層が銀行を選んでいたなら、一般層はどうだったか? 4年制大学の就職人気ランキングを見よう。ダイヤモンド就職先人気企業ランキング調査は、1978年にスタートし、2020年調査で43年目を迎えた(下図)。

未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法
(画像=未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法)

特筆すべきは理系だ。人気の就職先から日本の伝統的なメーカーの名前が消えた。34年前はNEC、富士通、日立製作所、松下電器産業(現:パナソニック)、東芝、日産自動車など、ほぼメーカーが占めていたが、現在もランキングに残っている日本メーカーは1社も無い。10年働いても給料が大幅に上昇しないことが学生たちにバレてしまったのだろう。50代で高い年収をもらえるとしても、今から30年も耐えるのは長過ぎる

一方で文理問わず、総合商社・ディベロッパーの人気が著しい。

有名企業の現役社員(顔無し・匿名)にインタビューするYouTubeチャンネルが増えている。リアルな年収・ボーナス・働き方が赤裸々に公開されているので私も参考になる。

インターネットの発達によって、文理の差が無くなっている。年収が低い企業は淘汰され、良い働き方&高い年収に人が集まることが資本主義社会の本質だ。

今イケてる業界は今後もイケているのか?

キラキラのオフィス&高層ビルの眺めの魅力で入社を決める学生がいる。

しかし改めて持続性を問いたい。豪華なオフィスは釣りでしかない。オフィスという広告でマーケティングされているだけだ。

安い人件費で働いてくれる無知な若者を集めれば企業側は儲かる。私もそうだったが、知識が無いと、今イケてる業界&企業を「オフィスのキラキラ度合い」で判断しがちだ。しかしハリボテも多く、失敗する。

「うちは頑張ったら高年収! 一緒に頑張ろう!」と人事の言葉を信じて入社したら? 結局は無茶なノルマを押し付けられて、狂ったように営業をさせられて病んで辞めていく人も多い。この情報を聞いてピンときたブラック企業があればぜひセカニチにDMをいただきたい。

やはり株価が右肩上がりかどうかを見なければ、高年収は持続可能(Sustainable)ではない

企業は「変化する生き物」

「今イケてる業界」の代名詞は、IT・SNS・ゲーム・DX・SaaS系

しかし、今イケてる企業&サービスでも、残念ながらすべては諸行無常だ。いつか終わりがくる。

例えばスマホゲーム「探検ドリランド」(GREE)は私の学生時代(2011年ごろ)はテレビCMが毎日のように流れていた。仲間と共闘してボスと戦うソーシャル×ゲームという分野を開拓し、ソシャゲの最先端を行っていた。しかし現代でドリランドを知っている人はほぼいないだろう。ちなみにGREEの最新の決算資料を見ても「ドリランド」の文字は1つも無かった。社会現象にもなった「パズドラ(パズル&ドラゴンズ)」(ガンホー・オンライン・エンターテイメント)も継続しているのは熱狂的ファンだけだ。

つまり、いま流行っているスマホアプリも5〜10年後には誰も話題にしなくなるかもしれない。私たちが毎日開いているあのタテ動画SNSも、あのゲームも、いずれみんな使わなくなって忘れるかもしれない

ミクシィは大きく変化した。SNS「mixi」で一世を風靡ふうびしたが、Facebookの日本上陸&台頭によりユーザーは激減。私は中高生の時毎日ログインしていたが今はID/PWが分からない。そしてそのFacebookですら若者の間では今は壊滅状態だ。ミクシィはSNSの衰退後に結果的にモンスト(モンスターストライク=スマホゲーム)で大復活を遂げ、B.LEAGUE(日本のプロバスケリーグ)の「千葉ジェッツふなばし」を人気No.1にさせて経営に成功している。子育て家庭が毎日使っている「家族アルバム みてね」もmixiのサービスであり、ユーザーの家族は毎日のようにログインして孫の顔を見ている。

このように、企業は常に変化する生き物だ。いまチカラを入れている事業が続くとは限らない。5年後に全く違うことをしているかもしれない。

諸行無常はスマホ・インターネットだけの話ではなく、不動産・半導体・アパレル・エネルギーなど全ての業界に当てはまる。繰り返すが、本質的に強い企業を選ぶには株価チャートを10年以上の長期で見るしかない。

「公務員」の見極め:ツラい現実に涙

#ブラック公務員 の悲鳴

#ブラック公務員」というハッシュタグがある。全国の公務員から悲鳴が上がっているのだ。例えば日本最高峰のエリート(だったはず)の官僚・総合職(旧国家公務員一種)は、志願者が激減しており、10年で約半分だ。配属後1週間で「入る組織を間違えた」という声が上がる。

国家公務員の現場ではブラック労働蔓延まんえんしている。特に国会の会期中は各省庁(財務省など)の総合職職員は身を削って説明資料を準備している(国会議員が普段からサボっているだけでは?)。20代の3割が過労死ラインの残業。深夜まで省庁に明かりが付き、24時過ぎのタクシー乗り場には行列ができる。心身をすり減らして働いても、ボーナスが下げられる

若者の「官僚離れ」に歯止めがかからなくて当然だ。モチベーションを失い、国を支える優秀な人材が離れるのは、私たち国民の損失だ。しかしテレビは国民に教えてくれない。

すべては政治の責任だ。政治家が公務員を叩くのは、多くの国民が「あいつらの給料は俺たちの税金だ」と思っているから。国民の不満をそらすために公務員が使われている…。

2022年6月30日に支給された国家公務員のボーナスの「減少幅」は、額・率ともに平成以降で最大となった(ただし管理職を除く平均34歳)。

では管理職のボーナスは? ブラックボックスにしている時点で不誠実だ。日本株式会社を人生のパートナーにすべきだろうか?

現在は「国会議員>官僚」という主従関係がある。本来であれば国会議員と官僚は上下関係ではなく、対等なパートナー関係であるべき。しかし官僚の上司は権力(国会議員)にペコペコして忖度そんたくをする。部下が幻滅するのは当然だ。首相官邸に裁量権を奪われ、人事権を握られて脅される。国の未来のためにという志をもっていたのに萎縮する。国会議員のメンツを守るために若手官僚が使い捨てられてしまう。

なぜこんな状況になったのか? いったい誰が人事院を創設して、官邸主導に変えたのか。真犯人は誰か。「官邸主導 弊害」で検索していただきたい。

未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法
(画像=未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法)

#教師のバトンの叫び

小中高の公立教員は長時間勤務・ブラック労働の代名詞になっている。

「#教師のバトン」をご存じだろうか? 現役の教師から教員の労働の過酷さを訴える悲痛な叫び声が寄せられた。部活動・理不尽な保護者対応・学校行事・書類作成・膨大な仕事量に対して給料は低い・GWや年末年始もほぼ休めない…など。現状の公立学校の現場はやりがい搾取だ。

公立小学校の教員採用試験の倍率は3年連続で過去最低。定員割れも現実的だ。志望者が激減し、教員の質を保てなくなる。「もう限界」「未来を担う子どもにお金をかけない日本に未来はない」と現場は苦しんでいる。

公務員・教師が苦しんでも、政権与党は軍事費を43兆円にも倍増するらしい(もちろん税金を使って)。教育予算を増やして公的な職員の待遇を改善せねば、国の未来が崩壊して当たり前だろう。

国民が声を上げないと、政府は“当たり前の税金の使い方”に気付かないようだ。どの議員も良い大学を卒業しているはずなのに不思議だ。

公務員はストライキ禁止?

安定を求めて公務員を目指す学生は多いが、現実を知ろう。前例主義・紙の山・FAX文化・ぼろぼろのオフィス・古いPCは当たり前。いまだにフロッピーディスクを使っていた山口県阿武町では4,630万円の誤送金が大ニュースになった。ちなみにフロッピーディスクの容量は最大1.4MBで、今日私がiPhoneで撮った写真1枚は3.3MBだ。現実を知らないまま「安泰」という理由だけで進路を決めると、初日から書類の山に埋もれて後悔する。

もし限界を感じているなら団結しストライキをするべきだ

公的な仕事(エッセンシャルワーカー)だとしても、海外では当たり前のようにストが行われている。英・ロンドンの中心地でもストによって電車が止まり、仏・パリの空港でもストが起きた。日本で例えるなら、JR&地下鉄が全て止まり、羽田空港がストップするイメージだ。

イギリスでは公務員50万人がストライキを起こし、公立の教員が賃上げを訴えた。日本の公務員のフォロワーに聞くと「ストは法律で禁止されている」と言うが、自分の身を守るには自分しかいない。公務員がストできないなら、私たち国民から訴えなければ日本社会は永遠に閉塞的なままだ。

未来がヤバい日本でお金を稼ぐとっておきの方法
南 祐貴(セカニチ)
Koru-workers 株式会社代表取締役。1989年東京都調布市生まれ。2012年に大手広告代理店に入社。6年勤めて、自由になるため退職・起業。クラウドファンディング等で資金を集めて高輪ゲートウェイ駅の近くに宿泊施設「Koru Takanawa Gateway」をオープン。同時に、経済や投資をわかりやすく解説する「# 世界最速で日経新聞を解説する男(セカニチ)」を開始。マイナビ・ジチタイワークス等の就活・キャリア・資産運用セミナーにて満足度90%を超える人気講師。年間のセミナー視聴者数は延べ5万人以上。各SNSで毎日発信中、総フォロワー数は10万人を超える。YouTube しゅんダイアリー就活チャンネル等の全SNSの動画は合計4000万再生以上。
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