資金繰り改善に役立つ「資金繰り表」の作り方

資金繰りの悪化を防ぎ、悪化した時に早めに手を打つためにも、資金繰り表の存在は欠かせない。資金繰り表は資金繰りの状況を一目で確認できる表のことで、作成すれば現在の資金残高になった理由が見えてくる。

1.資金繰り表の項目を決める

まず、日本政策金融公庫のフォーマットを参考にした資金繰り表の項目を紹介する。項目を決めてエクセルで表を作って経理に入力を頼めば、資金繰り表をいつでも確認できるだろう。

入出金の内容やピックアップしたい項目は会社ごとに異なるため、自社で使いやすいように項目を変更したり追加したりしてかまわない。表を作成する際に重要なのが、理論上の売上や経費ではなく実際の入出金をベースに項目を決めることだ。

資金繰り表の横軸は、決算期にあわせて12ヵ月分作成しておくと分かりやすい。

資金繰り表

2.実績と予想を入力する

項目を作成したら、続いては実績と予想の数値を入力していく。

まず、前月繰越金の欄には、決算書や通帳をもとに現金や預金の残高を入力する。預金をメインで管理したいなら預金だけでもかまわない。

収入や支出の欄は、すでに予定されている分を入力しておき、確定した分は実際の数値に置き換えていく。月末に翌月繰越金を出して実際の現預金残高と一致したら、1列目を「(予定)」から「(実績)」に書き換える。

こうすれば、月初の預金残高がどのような要因で月末の預金残高になったのか、一目で把握できる。翌月繰越金の推移を見れば、資金繰りの悪化にも気づきやすくなるだろう。

また、資金繰りが悪化した時も、収入や支出の項目を確認すれば、どこに要因があるかを把握できる。要因が分かれば、どのようにアプローチすべきか見えてくるはずだ。

3.シミュレーションする

資金繰り表を作って現状把握ができれば、悪化を防いだり改善するためのシミュレーションができるというメリットもある。

例えば売上高について、過去の実績や季節ごとの違いなどを反映させた予想売上高を入力しておけば、資金繰りが悪化しそうな時期をあらかじめ予測できる。

また、資金繰りが悪化して何らかの対策が必要な時に、「買掛金の支払いを1ヵ月遅らせたら」「賞与を昨年より減額したら」といった想定で数値を入力することで、資金繰りの改善が見込めるかどうかをシミュレーションできる。

さらに、資金繰り表で将来の資金繰りを予測できていると、設備投資の予定も立てやすくなるだろう。