同居人のいない人を指す「おひとりさま」という言葉が新語・流行語大賞にノミネートされたのは2005年のことだ。いまではすっかりこのワードが一般的に使われるようになっている。そんなおひとりさまが「シニア」と呼ばれる年代に入ると、単身ならではの不安が大きくなってくる。

本記事では「おひとりさまシニア」予備軍の人が知っておきたい、2つの不安について紹介する。

おひとりさまシニア予備軍は4人に1人 ?

「おひとりさまシニア」予備軍が知っておくべき、2つの不安
(画像=kazoka303030 / stock.adobe.com)

厚生労働省が毎年公表している「令和3年版 厚生労働白書」によると2020年における50歳時に未婚である比率の推計値は、男性が26.7%、女性が17.5%だった。2000年時点の同比率は、男性12.6%、女性5.8%であったため、男女とも大きく上昇していることが分かる。今や男性の約4人に1人、女性の約6人に1人が未婚のまま50歳を迎えるということだ。

2020年に50歳を迎える人が成人した30年前となる1990年の未婚率は男性5.6%、女性4.3%だったことを考えると、近年の上昇ペースはかなり速い。推計値は2040年時点で男性が29.5%、女性が18.7%になると見込まれている。伸びのペースは鈍化するものの、男性で3人に1人が未婚のままシニアに突入する時代が間近に迫っていることがうかがえるだろう。

「おひとりさま×シニア」だからこその不安要素は ?

おひとりさまなら、趣味や勉強など自分への投資にお金を使えるため、経済的だけでなく精神的にも豊かになれると主張する人もいる。しかし単身で年齢を重ねることのデメリットや不安もある。ここからは、「助け合えない」「孤独」という2つの観点から解説していく。

助け合えないことへの不安

自分が健康でアクティブに動き回れるうちは、自由気ままに人生を謳歌する楽しみが大きいだろう。しかし「おひとりさまシニア」の場合、大きな病気にかかったり障がいを持ったりした際に「助け合えないこと」がデメリットとなる。すぐに会社を解雇されないにしても職種や労働時間に制限がかかれば、経済的に苦しくなる可能性もある。

もしパートナーがいれば家計や身の回りの世話などの助けを得られやすいが、おひとりさまではそもそもそうしたことを期待しにくい。

孤独であることへの不安

健康な体を維持できても避けられないのが、リタイア後の「孤独感」だ。仕事にまい進してきた人の場合、定年退職などでリタイアすると生きがいを失ってしまう人も少なくない。現役時代は、1日の大半を仕事にあてて社会の中で一定の役割を果たしてきたにもかかわらず、退職すると急に世間とのつながりが断たれる。

もし家族がいて子供もいれば、家族ぐるみの付き合いや子育てを通じて地域コミュニティーとのつながりができるかもしれない。若いころは、そういったつながりがわずらわしい人も多いだろう。しかし年齢を重ねて社会や家族内で果たすべき役割が軽くなると、地域コミュニティーも自分の居場所としてかけがえのないものになることがある。

個人差はあるだろうが、「おひとりさまシニア」になると自宅の中でも外でも孤独感にさいなまれる瞬間が少なからず増えそうだ。

どのような対策が有効 ?

年齢や環境によっては、今から結婚相手を探すのが難しい場合もあるだろう。またそもそもリタイア後の不安に備えるために結婚することが今一つ腑に落ちない人もいるかもしれない。そこで上記の「2つの不安」にどのような対策を講じることができるかを考えてみよう。

助け合えないことへの対策

主に経済的な不安を和らげるため、なるべく早い時期からの資産形成に取り組む方法がある。健康な単身者なら、同世代の既婚者より多くの現預金を持つケースが多いのではないだろうか。それを少しずつ投資や利率の高い貯蓄などに回し、仮に自分が健康を害しても一定額の収入がある体制を築いておくことが大切だ。

孤独であることへの対策

リタイア後も続けられる趣味の仲間を持っておくことが有効だろう。囲碁や将棋、釣りに加え、ウォーキングなどの軽めの運動ならばシニア世代でも取り組みやすい。とにかく、仕事だけの付き合いをしている人以外に気が置けない仲間をつくっておくことが肝心だ。

自分なりに経済面・精神面の準備を

仮に「おひとりさまシニア」としてこの先の人生を過ごす場合は、そのメリット・デメリットを事前に把握したうえで、自分なりに経済面・精神面の準備を整えてみてはいかがだろうか。それが人生100年時代、そして生き方が多様化する時代にふさわしい年齢の重ね方なのかもしれない。

(提供:大和ネクスト銀行


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