コミュニケーション能力の成長に欠かせない要素

コミュニケーションは双方向でのやり取りで成り立つものなので、成長に欠かせない3つの要素がある。

傾聴力

傾聴力とは、他人の話を注意深く聞き、理解し、反応する能力のことを指す。

単に相手の話を聞くのではなく、オープンマインドで言葉の背後にある感情や意図を理解しようとする姿勢が傾聴には欠かせない。また、話し手が自身の思考や感情を十分に表現するための時間とスペースを提供し、寄り添う姿勢が求められる。

共感力

共感力とは、相手の身になって抱えている感情や困難に対して深い理解を示す能力のことだ。自分自身が相手の立場だったらどう感じるかを考え、感情や価値観に合わせたコミュニケーションを取る際に欠かせないものだ。

伝達力

伝達力とは、情報やアイデアを相手に効果的に伝える能力のことを指す。

伝達力には、自分の意見を明確に表現する能力、適切な語彙を選ぶ能力、聞き手が理解しやすいように情報を整理する能力などが含まれている。

社員同士の相互理解に役立つ性格診断ツール

社員のコミュニケーション力を成長させるためには、自己理解だけでなく相互理解も欠かせない。同じ接し方をしても人によって反応は異なるため、相手に合わせたコミュニケーションを意識することが大切だ。

とはいえ、相手の性格を見立てるのは難しいため、性格や行動傾向を診断するアセスメントツールを利用して相互理解を深めるきっかけを社内でつくるのもいいだろう。

ここでは、自己理解と相互理解に役立つ代表的な性格診断ツールを4つ紹介する。

なお、性格診断ツールはあくまでサポートの位置付けにあることを忘れず、目の前の人への興味関心や共感意識が必要なことを認識した上で参考にして欲しい。

MBTI

MBTI(Myers-Briggs Type Indicator)は、個々人の情報処理の傾向、行動スタイル、エネルギーの方向性などを考慮して、16の異なるパーソナリティタイプに分類するツールだ。

MBTIのタイプには以下のようなものがある。

ISFJ (保護者): 親切で配慮深く、他人の感情を気にかけ、彼らの需要を満たすことに集中するタイプで、安定性と具体的な詳細を重視する。

INTJ (アーキテクト): 独立心が強く、創造的で論理的な思考を持ち、自身のアイデアと理論を体系化するのが得意なタイプ。

ESTP (挑戦者): 冒険心があり、対人関係が良く、自分の周りの世界を実感することを楽しむタイプで結果を重視する。

ビッグファイブ診断

ビッグファイブ(Big Five)は、人間のパーソナリティを5つの主要な要素で表現するモデルだ。5つの要素の中には以下のようなものがある。

・協調性(Agreeableness):他人への思いやりや協力性の度合いを測定する指標で、高得点の人は協力的で他人を思いやる傾向がある。

・誠実性(Conscientiousness):責任感や秩序への重視の度合いを測定する指標で、高得点の人は自己統制があり、目標に向かって努力する傾向がある。

エゴグラム

エゴグラムは、人格を以下の5つの自我状態に分類するツールだ。

(1)CP (支配的親): 倫理規範や規則、対人関係での道徳的な評価などを重視し、厳しい面を持つことがある。

(2)NP (養育的親): 人を助けて保護的な役割を果たし、他者に対して気配りや優しさを示す一面を持つ。

(3)A(成人): 現実を受け入れて情報を客観的に分析し、論理的に判断する自我状態で、問題解決能力に優れる。

(4)AC (順応した子ども): 社会的な規範や期待に合わせて行動する自我状態で、他者との調和や協調性を大切にする。

(5)FC (自由な子ども): 自由で創造的なエネルギーを持ち、楽しみや喜び、好奇心や冒険心などを持って行動する。

相手のエゴ状態を理解することでどのように反応しがちであるかを予測し、適した対応を行う助けとなる。例えば、FCタイプには支持や激励の言葉をかけるなどして安心感を与えると良いだろう。

エニアグラム

エニアグラムは、人の性格タイプを9種類に分類し、自己理解と相互理解を深め、より効果的なコミュニケーションと関係構築をサポートするのに役立つツールだ。

例えば、以下のような特徴がある。

タイプ7(楽天家): 楽しみや新しい経験を追求し、自由と充実感を重視する人。多動的で落ち着きがない一面がある。

タイプ8(統率者): 自己主張が強く正義や弱者の保護を重視するが、攻撃的な一面がある。

タイプ9(調停者): 和解と調和を重視し、他者のニーズを調整することに力を入れる人で、平穏と安定を追求して衝突を避ける傾向がある。