まだ間に合う?2023年から「つみたてNISA」を始めるメリットと注意点を解説
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不動産投資では、所有物件内での入居者死亡により「心理的瑕疵」が生じる可能性があります。いわゆる「事故物件」の状態になるため、賃貸経営には大きな打撃といえるでしょう。所有不動産が心理的瑕疵物件になってしまったら、入居者募集時や売却時の告知はどうすればよいのでしょうか。

本記事では、不動産投資における心理的瑕疵の内容と賃貸物件の告知義務について解説します。

不動産投資における「心理的瑕疵」とは

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不動産投資における心理的瑕疵とは、借主や買主に心理的な抵抗が生じる恐れがある要素のことです。瑕疵(かし)は、法律上の欠点や欠陥を意味します。

建物に物理的な欠陥や不具合がなかったとしても、物件内で取引相手が心理的な抵抗を感じるような事案が発生した場合は心理的瑕疵物件に該当します。

所有物件で心理的瑕疵が生じると、「入居者を募集しても空室が埋まらない」「相場より安い価格でなければ売れない」など、賃貸経営に大きな影響を与える恐れがあります。

心理的瑕疵に該当するケース

不動産投資で心理的瑕疵に該当するケースは以下の通りです。

・自殺、他殺、事故死
・自然死で特殊清掃が行われた場合(孤独死など)
・周辺に嫌悪施設や反社会的勢力の事務所がある

賃貸物件への入居を希望している人の多くは、事故物件ではないかを気にします。特に室内での自殺や他殺、孤独死で発見が遅れて特殊清掃が行われた場合は心理的な抵抗感が大きく、入居をためらう人は少なくありません。

また、物件周辺に火葬場や墓地、刑務所などの嫌悪施設や反社会的勢力の事務所がある場合も心理的瑕疵物件に該当します。

国土交通省が心理的瑕疵に関するガイドラインを策定

不動産投資における心理的瑕疵とは?オーナーが押さえておくべき賃貸物件の告知義務を解説
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2021年10月、国土交通省は「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」を策定しました。心理的瑕疵の告知義務について記載されているため、収益不動産のオーナーも押さえておくべき内容といえます。

ガイドラインの概要

本ガイドラインは、取引の対象不動産で過去に人の死が生じた場合に、宅地建物取引業者が法律上負うべき義務の解釈についてまとめたものです。裁判例や取引実務に照らし、一般的に妥当と考えられるものが整理されています。

ガイドライン策定の背景

不動産取引では、心理的瑕疵について宅地建物取引業者による調査や告知に関する判断基準がないのが現状です。現場での判断が難しく、不動産の円滑な流通や取引の安全性の阻害要因となっています。

また、判断基準がないことから、「物件内の死亡事故はすべて事故物件として扱われるのではないか」と多くのオーナーは不安を感じています。孤独死を恐れ、単身高齢者の入居を敬遠するオーナーも少なくありません。

上記の課題を解消するため、人の死が生じた不動産の取引に関する判断基準として本ガイドラインが策定されました。

ガイドラインの位置づけ

過去に人の死が生じた不動産の取引の際に、宅地建物取引業者が本ガイドラインに基づく対応をしなくても、ただちに宅地建物取引業法違反となるわけではありません。ただし、対応を巡ってトラブルが発生した場合は、行政庁の監督にあたって参考にされることになっています。

民事上の責任は個別判断のため、本ガイドラインに基づいて対応しても責任を回避できない可能性もあります。

心理的瑕疵物件の告知義務のポイント

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ここでは、国土交通省のガイドラインの内容に基づいて、心理的瑕疵物件の告知義務のポイントを紹介します。

【原則】取引に重要な影響を及ぼす場合は告知が必要

原則として、人の死に関する事案が取引相手の判断に重要な影響を及ぼすと考えられる場合は告知しなくてはなりません。オーナーはこの原則を踏まえたうえで、次に紹介する告知不要なケースに照らして、告知の必要性を判断することになるでしょう。

告知不要なケース

本ガイドラインでは、告知不要なケースとして以下3つの判断基準が示されています。

1 自然死、日常生活の中での不慮の死
2 ①以外の死・特殊清掃が行われた①の死の発生からおおむね3年間が経過した後
3 集合住宅の共用部分で発生した①以外の死・特殊清掃が行われた①の死
※①③は賃貸借および売買、②は賃貸借のみ

②について、賃貸借取引では事案発生から約3年が経過していれば告知不要とされています。一方、売買取引は事案発生からの経過期間の定めはないため、3年以上経過していても告知は必要です。

告知不要に該当するケースであっても、以下の場合は告知しなくてはなりません。

・事件性や周知性、社会に与えた影響が特に高い事案
・告知不要とした①~③以外で取引に重要な影響を及ぼすと考えられる場合
・発覚からの経過期間・死因に関わらず、買主・借主から事案の有無について問われた場合

取引相手から問われた場合は、経過期間に関わらず告げる必要がある点に注意しましょう。

告知する内容

心理的瑕疵についての告知内容は以下の通りです。

・事案の発生時期(特殊清掃が行われた場合は発覚時期)
・場所
・死因
・特殊清掃が行われたこと

告知する際は、亡くなった方や遺族の名誉および生活の平穏を守るため、不当に侵害しないように配慮しなくてはなりません。そのため、氏名や年齢、住所、家族構成、具体的な死の態様、発見状況などは告知不要です。

告知義務を履行しないとどうなる?

所有物件内で心理的瑕疵に該当する事案が発生しているにもかかわらず、取引相手にその旨を告げないと告知義務違反となる恐れがあります。トラブルとなって訴訟に発展すれば、損害賠償を請求されるリスクがあるでしょう。

心理的瑕疵物件にしないための対策

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心理的瑕疵物件になると、空室リスクが高まり収益性が低下します。ローンを利用して物件を購入している場合は自己資金の持ち出しが増え、資金繰りが厳しくなる恐れがあるでしょう。

売却を検討するかもしれませんが、買い手を見つけるのが難しく、売るに売れない状態になってしまいます。資産価値が低下するため、売却できたとしても損失が生じるでしょう。

物件内での人の死は予測できませんが、可能な範囲で対策を講じることが重要です。ここでは、所有不動産を心理的瑕疵物件にしないための対策を紹介します。

物件購入時に心理的瑕疵の有無を確認する

物件購入時には、売主や宅地建物取引業者に心理的瑕疵の有無を確認することが大切です。

売買取引の場合、自然死以外の死や特殊清掃が行われた死について、告知に関する経過期間の定めはありません。しかし、売主が宅地建物取引業者に申告せず、事案発生を把握しないまま売買契約が成立してしまう可能性もあります。

購入後に心理的瑕疵が発覚してトラブルとならないよう、重要事項説明書だけでなく、口頭でも事案の有無を確認しておきましょう。

入居審査を厳格化する

心理的瑕疵物件となるのを防止するには、入居審査を厳格化することも重要です。入居希望者の収入や勤務先、家族関係などの属性を確認し、リスクの低い人を見極めることで事案発生を回避できる可能性があります。

賃貸借契約の際に連帯保証人を立ててもらえば、万が一事案が発生した場合は損害賠償請求が可能です。

まとめ

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賃貸取引の場合、心理的瑕疵に該当する事案発生から約3年が経過すると告知義務はなくなります。ただし、取引相手から事案の有無を問われた場合は、経過期間に関わらず告げなくてはなりません。万が一に備えて、賃貸物件のオーナーは心理的瑕疵の告知義務を理解しておきましょう。

(提供:Incomepress



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