築年数15年超~20年の住宅が最も売却損が多い

売却損は全体として増加傾向が強いが、その損益は建てられた建物の築年数によって異なってくる。最もその損が大きいのはどの年代に建てられた住宅だろうか。そこで、売却した住宅の取得年数による売却損益の発生状況を見てみる。2014年度の調査では築年数が15年~20年の住宅の平均売却額が「マイナス1721.9万円」と特に損が目立った。他の築年数ではほとんど1000万円未満となっており、この年代に建てられた住宅の売却損益だけが格段に高いという結果になっている。ただし、2013年度の調査では築年数15年~20年の住宅の売却損益は平均‐2296.0万円となっており、去年と比べるとその売却損は減少している。売却損が減少している今、売ってしまうのも一つの手である。

一戸建てかマンションかで違う売却損事情

また、売却した住宅が一戸建てかマンションかによっても売却損の傾向が異なる。例えば、中古マンションの場合は、多くの人が損をして売っており、新築マンションでは売却損が少し減少傾向にある。いずれも土地価格の値下がりなどの影響を受けている。

一方、一戸建ては、土地部分がウェイトを占めており、価値の減少が少ない分マンションより売却損も少ないといえる。さらに施主が建物のプランを決める注文建築では、親からの土地相続など取得価格が低いケースもあり、買い替えで売却損をする人が少なくなっている。

売却損への税制面での対策

住宅は、売却を前提として買うわけではないのでそのまま保有するのが一般的である。また、築年数が20年を超えると逆に保有した住宅は売却損が出にくく、一戸建てよりマンションの方が売却損を出しやすいということが分かる。

そこで、買い換えの際にはいくつもの優遇税制があることを知っておこう。まず、一番大きな優遇は住宅ローン減税で、年内なら最大400万円戻ってくる優遇制度である。その他にもフラット35 Sによる当初10年間1%の金利優遇、贈与税特例で1110万円までの非課税枠があり、さらに、買い替え特例による課税の繰り延べ、譲渡損失の繰り越し控除による損金の還付など、売却損を取り戻せる優遇制度がある。こうした税制面での対策をすることで売却による損を減らすことが可能になるのだ。(ZUU online)