リカーリングとサブスクの違い

継続的に商品やサービスを提供し、収益を得るビジネスモデルとしては、サブスクの人気も高い。サブスクも同じ事業者から同じ形態の商品・サービスを「繰り返し」購入する点では、リカーリングサービスの一つといえるだろう。しかしサブスクとリカーリングでは、異なる点もいくつかある。その一つが料金システムだ。

一般的にサブスクは、顧客が消費しようがしまいが毎月決まった料金を徴収するサービスである。例えば動画や音楽の配信サービスなどで「1ヵ月#### 本まで視聴可能」といった具合だ。契約種類ごとに月々提供する商品やサービスの個数(回数)に上限を設定しておき、その範囲内なら何本視聴しても(あるいは全く視聴しなくても)毎月一定額の収益が発生する。

一方、リカーリングの場合は最初にある商品・サービスを販売し、その後は顧客の消費状況に応じて収益を得られる仕組みだ。ただし後述するが、リカーリングサービスといいながらサブスクのように毎月固定料金を徴収するものもある。

リカーリングのメリット

ここでは、リカーリングの主な3つのメリットを紹介する。

継続的な収益がある

最も大きなメリットといえるのが、継続的に収益を得られることだ。売り切り型の販売スタイルとは異なり、一つの製品を販売すれば、その製品を利用するために補充品やサービスなどを継続して購入してもらうことができる。顧客にとっても本体機器やプラットフォームごと買い替えるより、補充品を買い続けるほうが安価であることもあり、売り切り型よりも頻繁かつ継続的な収入が見込めるだろう。

事業計画を立てやすい

リカーリング形式の販売で事業計画を立てやすくなるメリットもある。リカーリングビジネスは、売り切り型ビジネスとは異なり、「競合他社への乗り換え」をされにくい。一般的に顧客との関係は、長期にわたる。製品やサービスの種類、消費者の利用頻度などによって異なるが、本体の販売件数や契約者数によって一定期間の補充必要数など将来の収益を予測しやすいのが特長だ。

また契約者数の増減や解約率の推移を測定することで、生産・販売数の拡大や新製品の開発、既存製品の改良などといった事業計画を立てやすい。さらに投資や融資、資金繰りなどといった財務上の判断も行いやすいだろう。

ブランドロイヤリティを高められる

気に入った製品をSNSなどで発信する消費者も多いため、顧客自身が自発的にブランドのアンバサダーやインフルエンサーとなる場合もある。それによってブランドイメージが高まることも期待できるだろう。近年は、エコロジーの観点で好んで補充・交換できるタイプの製品を選ぶ消費者も増加傾向にある。

「本当に必要な分だけ購入すれば良い」という考え方は、サブスクや売り切り型のビジネスに比べて顧客満足を得られやすい。またリカーリングは、製品あたりの収益を長期に分散しやすいことから売り切り型の製品に比べて売値を安価に設定することも可能だろう。つまり消費者にとってエコロジーの面でもエコノミーの面でも良いイメージを持たれやすいというわけだ。

このように、いったん自社製品・ブランドのファンになってもらえれば他の製品でリカーリングビジネスを展開する場合にも好んで選んでもらえる可能性が高まるだろう。