ペーパーレス化のメリットは?

続いてペーパーレス化のメリットを5つ挙げて説明していこう。

省スペースにつながる

ペーパーレス化を進めれば、紙の資料や文書を保管するために確保していた物理的なスペースが少なくても済む。要は「省スペース」につながり、空いたスペースを有効活用すればオフィスの機能性を高めることができる。

休憩スペースとして使用することもできるし、従業員の机の配置に余裕をもたせ、業務中に集中しやすい空間づくりを推し進めることもできるだろう。

また企業によっては、紙の資料や文書の保管のために、書庫スペースを別に賃貸で確保しているケースもあり、省スペースが可能になれば賃貸のコスト負担を減らしていくことも可能だ。

デジタル化により「生産性」が上がる

デジタル化によって稟議書や請求書などが全て紙でなくなれば、それらの書類を印刷し、上長に提出し、押印をもらうといった一連の手間がなくなる。このような手間がかからなくなった分、ほかの付加価値が高い業務に多くの時間を割けるようになるので、企業全体で生産性が上がっていくのは確実だ。

「在宅ワーク」が導入しやすくなる

ペーパーレス化が進めば、企業内で在宅ワークを導入しやすくなる。

書類は全てデジタル文書としてメールやチャットツールなどでやりとりし、上長の決裁の仕組みもハンコによる押印を必要としない方式に変える。従業員の自宅にパソコンとインターネット回線さえあれば、出社したときと同様に業務を滞りなく進められる。

在宅ワークは「従業員満足度」(ES)の向上にもつながり、離職率を低下させる効果も見込めるため、ペーパーレス化による在宅ワークの導入は優先して進めたい項目の1つだ。

若者世代に好かれる会社になれる

デジタルネイティブとも呼ばれる若者世代の従業員にとっては、勤め先においてペーパーレス化が進んでいるかどうかで、企業へのロイヤルティー(忠誠度)が大きく変わる。

近年は現役社員も書き込みを行う企業口コミサイトなどがあり、そこでどのような口コミが書かれているかが、新卒人材が求職先を決める上での1つの要素となっており、若者世代に好かれる会社は優秀な新卒人材を確保しやすくなる。ペーパーレス化は人材戦略にもつながるわけだ。

「事業承継」の対策につながる

日本においては中小企業における事業承継が課題の1つとしてよく挙げられる。企業として黒字経営が続いていても、後継者が決まらずに廃業を余儀なくされるケースもある。

後継者が見つからない背景の1つに、事業を引き継ぐだけの魅力がその会社にないことがある。そのような観点でみると、ペーパーレス化が進んでいないことは後継者探しにとってマイナスの要素だ。

展開しているビジネスの内容も後継者が見つからない要素になることは多いが、ペーパーレス化を進めることは、ビジネスの方向性を変えるよりもはるかに容易なので、速やかに取り組みを進めたいところである。