組織力を強化するための具体的なステップ

組織力を育てるための要素やポイントへの理解を深めたところで、強化するための具体的なステップを把握し、できることから取り組んでみよう。

1. 自社の現状を分析する

まず、自社の組織構造を部署やチーム、人員配置と担当業務のレベルまで分析することから始める。

組織構造の分析によって業務フローの問題点、コミュニケーションのボトルネック、人員配置の課題など、潜在的な問題を明らかにできる。組織力の発揮や強化の妨げとなっている問題を早期に発見することができ、解決に向けた施策を立案し実行できるだろう。

2. 経営理念の明確化と共有

次に、自社にとって共通目標である経営理念の明確化と共有に取り組む。

経理理念だけでは漠然とした表現になりやすいため、「MVC(ミッション・ビジョン・バリュー)」を明確に定義して従業員全員と共有しよう。

ミッションは経営理念に近い言葉であり、企業が存在する目的や企業が社会に対して果たすべき役割を意味する。ミッションを作るためには、以下の質問の答えを考えてみよう。

・自社は何をする会社か?
・自社が存在する理由は何か?
・自社が社会に提供する主な価値は何か?

ビジョンは、企業が将来的に達成したい目標やどのような未来を描いているかを示す。ビジョンを作るためには、以下の質問の答えを考えてみよう。

・どのような未来を望んでいるか?
・どのような位置を目指しているか?
・達成したいと考える大きな目標は何か?

バリューは、企業がビジョンを達成するために遵守すべき価値観を示す。バリューを作るためには、以下の質問の答えを考えてみよう。

・自社の基本的な信念は何か?
・自社が大切にする行動規範は何か?
・自社の事業活動で重視する原則は何か?

質問の答えを考えた後、他社が掲げている経営理念やMVCも参考にしながら、全てのステークホルダーが理解しやすい簡潔な声明文にまとめよう。

3. 従業員の特性を理解する

従業員の特性を理解して、組織の人員配置を検討することも大切だ。

「MBTI」や「ビッグ5」、「エニアグラム」といった性格診断ツールを利用することで、各従業員の特性や強み、弱みを理解し、それぞれが最も効果的に能力を発揮できる場所や役割を見つける助けとなるだろう。

4. 従業員参加型の取り組みの立案と実行

丸井グループの「手挙げ文化」のように、従業員が自ら意思決定をして参加する機会を提供しよう。

従業員が意思決定に参加し、企業の方向性に対する責任を共有する組織体制を構築することは、組織力の強化に有効だ。さらに、従業員のモチベーションと責任感が向上し、企業全体としての連携と一体感が強まるだろう。

自主参加型の研修や教育プログラムの提供、他部署への異動や新規事業への自主的な参加の機会を設けるなど、他社事例などを参考にしながら自社の状況に合わせて施策を立案、実施しよう。

5. 定期的なパフォーマンスの評価とフィードバック

従業員満足度調査やエンゲージメント調査などを実施し、従業員のパフォーマンスを定期的に評価してフィードバックすることは、組織力を強化する重要な要素だ。

従業員は、評価とフィードバックによって自分の立ち位置を把握でき、何を改善すべきかを理解できる。従業員のスキル向上や意識改革につながり、組織の目標達成に貢献できるようになるだろう。