本記事は、NightWalker氏の著書『最強のインデックス投資』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
インデックス投資って何?
インデックス投資とは、早い話、そんな投資信託のひとつであるインデックスファンドを買うことです。インデックスファンドとは、よく新聞やテレビで聞く日経平均株価やTOPIX(東証株価指数)というような株価指数と同じ動きをする投資信託(ファンド)のことです。
インデックスファンドは、市場の全銘柄に投資、あるいはそれに相当するような投資をしてくれます。極めて合理的に分散投資を低コストで実現してくれる投資ツールです。
もちろん、海外の株価に連動する指数もあります。株価指数に連動して、株価指数が上がればファンドの価額(ファンドの値段のことを価額といいます)も上がり、株価指数が下がればファンドの価額も下がります。
証券会社や銀行では、これらの指数に連動するインデックスファンドが売られています。
インデックス投資は、始めるときもとてもカンタンです。証券口座を開設し、インデックスファンドの自動積立設定をする。以上、終了。基本は、たったこれだけです。
あとは、年に1度程度、カンタンなメインテナンスをする程度。つみたて投資にしておけば引落しは自動なので、いったん設定するとほとんど何もしなくていいので忘れるくらいです。日々の株価の変動に心をわずらわせなくてすみます。
NISAでつみたて投資を始めよう
そんなインデックス投資のスターターキットとしてオススメなのが、2018年から始まった「つみたてNISA制度」です。これを始めるだけで、自動的にほぼ完成形のインデックス投資が実現できてしまいます。
つみたてNISAの主な利点は、2つあります。ひとつは、それまでのNISAでは5年間しかなかった非課税期間を20年にしたこと。これによって、多くの人が長期投資を実践する足がかりを得ることができました。
もうひとつは、対象ファンドを絞ったことです。ことに長期投資の大敵である投資信託のコストについて、つみたてNISAには、以下のようなガイドラインがあります。
- 販売手数料はゼロ(ノーロード)
- 信託報酬は一定水準以下(国内株のインデックス投信の場合0.5%以下)に限定
- 顧客に対して、その顧客が過去1年間に負担した信託報酬の概算金額を通知
つみたてNISAをトリガーに、それまで、年0.5%程度で、高止まりしていたインデックスファンドの信託報酬率の相場が、0.1%まで急降下。低コストではるかに先行していた米国を一気にキャッチアップすることになったのでした。
2024年からは大幅にパワーアップされた新しいNISAが始まる!
そして更に、2024年からは、これまでのNISA制度を統合かつ大幅に拡充した新しいNISAが始まります。
- 20年だった非課税期限が無期限に
- 年40万円までだったつみたて投資枠が120万円に
- 成長投資枠(一般NISA後継)年240万と合わせて年360万円まで投資可能に
- つみたてNISAでは800万円だった非課税投資枠が、1,800万円に
若いうちからうまく活用すると、老後の資金は、ほとんどまかなえるのではないか?
というレベルにまでNISA制度は、グレードアップしました。
ここでは、投資を始めるなら、「NISA一択」だということだけひとまず頭に入れておいてください。
金融庁では、NISAの普及に向けて精力的に活動しており、専用の特設ウェブサイトも作っています。ぜひ参照してみてください("NISA 金融庁"で検索)。
まずは、ネット証券に口座を開こう
投資を始めるにあたって、「そもそもどこで買えば良いの?」という方も多いでしょう。インデックスファンドは、いろいろなところで買えますが、筆者としては、ネット専業の証券会社をオススメします。
5大ネット証券と呼ばれるのが、SBI証券、楽天証券、マネックス証券、auカブコム証券、松井証券。その中でも、トップランナーとしてしのぎを削っているSBI証券、楽天証券あたりにしておけば、開設後の迷いは少なくなるでしょう。
ネット証券の利点は、商品の品揃えが豊富で、よほどマニアックなものでない限り購入可能であること、手数料が安いこと、です。インデックス投資家が利用すべき、低価格のインデックスファンドも、設定当初はネット専用になることが多いです。
大手証券会社もネットサービスを展開してはいますが、経営のフットワーク、取り扱い投信の本数、細かいサービス提供等々でネット専業の証券会社に軍配が上がります。
ネット証券が生まれて20年以上が経ち、その間、激しいサービス競争がありました。結果、ブローカー(仲介業)としてのネット証券各社の差は、今や、ほとんどありません。ましてや、やることが単純なインデックス投資。多少のサービスの差は、気にすることはありません。
とは言えどこか1社に決める必要がありますので、証券会社を選ぶ際のご参考に勘所を3つほど書いておきます。
その1 経営のスピード感
経営のスピード感、競争に対する感度はけっこう重要なチェックポイントです。
これまでだと、SBI証券、楽天証券が、個人向け証券サービス競争の最前線にいました。他社も追従はしてくるのですが、やや出遅れ気味。
しかし、常に競争は続いています。たとえば、最近ですと、株式手数料の完全無料化などでSBI証券が一歩抜きんでています。
その2 証券会社が対応しているポイント経済圏
キャッシュレスの時代となり、ネット証券も社会に拡がったポイント経済圏に対応するようになりました。各ネット証券では、投信を保有していたり、購入した際にポイントが付くサービスを展開しています。
たとえば、こんなポイントに対応しています。
- SBI証券→Tポイント、Pontaポイント、dポイント
- 楽天証券→楽天ポイント
- マネックス証券→マネックスポイント
他社のポイントに変換するサービスを提供している会社もあります。せっかく証券会社に口座を開くのですから、ご自身がよく利用しているポイント経済圏を判断材料にするのもありでしょう。
投信の保有ポイントは実質的な保有コストの低減に寄与しますから、おまけと言ってもけっこう貴重です。投信保有ポイントを比較すると、三菱UFJ国際投信のeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)では、以下のようになっています。
- SBI証券 年0.042%
- マネックス証券 年0.03%
- auカブコム証券 年0.005%
- 楽天証券 保有ポイントなし
(2023年6月現在 筆者調べ)。
その3 クレカ積立てができるか?
投信積立ての決済手段としてクレジットカードが使えます。ただし、どんなカードでもオーケーではなく、使えるカードは証券会社ごとに限定されています。ご愛用のカードはありませんか? そことの整合性もひとつの判断材料です。
その2、その3は、言ってしまえば、おまけのサービスに過ぎません。しかし、ネット証券のトップランナーは、もはや、こういった付加サービス程度でしか比較のしようがなくなっているとも言えます。
自身が運用中のポートフォリオは、目下、全世界株式一本に集約中。無リスク資産を50%にしたリスク抑えめのカウチポテト運用。著書は『世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました』(ぱる出版)。※画像をクリックするとAmazonに飛びます。