本記事は、NightWalker氏の著書『最強のインデックス投資』(ぱる出版)の中から一部を抜粋・編集しています。
投資に時間をかけないことで好循環が生まれる
なぜインデックス投資でお金が育つのか? その理由をここでまとめておきましょう。
- (1)本業の稼ぎに集中できるから。
(2)株式のプラスサム属性(自己増殖性)を利用するから。
(3)複利効果により、お金の増えるスピードが加速するから。
この3点です。
(2)と(3)は、インデックス投資に限らず、バイアンドホールド(買い持ち)と呼ばれる、ただ買って持ち続けるだけという投資手法の場合に共通する特徴です。
インデックス投資と他の株式投資手法のもっとも大きな違いは(1)です。
お金が育つ理由(1) 本業の稼ぎに集中できるから
インデックス投資は、これまでお話ししてきたように、投資のオペレーション自体にはほとんど時間はかかりません。このため、空いた時間を労働そのものや労働価値を高める時間に回せるのです。
この結果、蓄財や生活品質向上に回せるお金が増えます。蓄財に回せるお金が増えれば、資産運用にも好影響を与えます。ここが、インデックス投資のメリットの核心部分です。
空いた時間は、「仕事をがんばって給料を増やす(昇級する、より待遇のいい会社に転職する)」とか「副業(複業)で稼ぐ」等の活動に充てることができます。
特に副業は、自身のリタイア後(早期ではなく普通の定年であっても)を探る上でも、有益です。単に副収入を得るというのではなく、リタイア後を見据えて、自身の本来の職みたいなものであれば、ベストです。
会社の規則で副業(兼業)はNGの場合もあるでしょう。私もそうでした。振り返ってみて「もう少しやりようはあったのかな」とちょっぴり後悔しています。たとえば、趣味でやっていることをそこで終わらせず、「教える」というスタンスを持つみたいにしとけば良かったな、とか。
……ちょっと横道にそれましたが、手間いらずのインデックス投資は、大事にすべき「自分自身の価値」を高める効果があるのです。
お金が育つ理由(2) 株式は勝手に成長するから
個人にとっての株式投資において重要なのは、株式会社の価値自体が時間とともに知らぬ間に増大していくことです。何度かお話しした、プラスサムゲームです。
株式企業の利益が増えるから株式資産は育つ
株式会社の価値とは、一体なんなんでしょうか? 私がしっくりきている学説は、「その株式会社が将来にわたって生み出す利益を、現在の価値に置き換えたもの」であるという考え方です。利益が増えていくから、株式資産は育つのですね。
会社とはそもそも利益を上げなければ永続できません。利益とは、売上−仕入れ。
売れれば当然儲かります。もし、インフレで仕入れが値上がりしても、コストを削減するなり、売上を増やすなりで、インフレにすら打ち勝とうとします。儲かったお金は、株主に還元されると同時に次の商売の元手にもなります。その結果、さらに利益は増大します。
とまあ、こんな調子。
もし、これが、1社だけであれば、勝つ会社と負ける会社に分かれるでしょう。しかし、たくさんの会社だったらどうでしょうか? 市場全体として、利益が増えるのであれば、企業の価値は全体として大きくなっていくはずです。
何度か長期の株式の推移を見てきましたが、もう一度見てみましょう(図4-①)。グラフは、ニュースなどでおなじみのニューヨークダウという米国株価指数の1928年〜2023年の推移です。縦軸は、対数になっています。1目盛り10倍です。
2目盛りだと100倍。1929年の大恐慌で大きくダウ平均は下がり、1932年には40ドル台になっちゃうのですが、今や3万3,000ドルを超えてます。その底から数えると90年近い歳月の間に、ざっくり800倍近く成長しています。
時に長らく低迷することもありましたが(たとえばベトナム戦争のころの1970年代)、その後、復活。21世紀になって2000年代に低迷するも、また復活。あんなに騒いだリーマン・ショックも歴史の1ページと化しています。直近で言うとチャイナショック(2015)、コロナショック(2020)なんて、どこよ? って感じです。
より良い暮らしを願う気持ちが株価を上昇させてきた
人間には、石器時代から続いているのであろう「より良い暮らしをしたい」という成長意欲があります。この成長意欲と、「儲けたい」「勝ちたい」としゃかりきになって行動する資本主義(競争原理)は、非常に相性が良かったと、私は考えます。この結果、より良い暮らしを実現する企業の活動は永続的に続き、利益が増えていくことで、株価は上昇し続けてきたのではないでしょうか。
お金が育つ理由(3) 複利の力を利用するから
利率は2つあります。ひとつは単利、もうひとつは複利です。
単利とは期ごとに利子を出して、そして元本はそのまま。利子が出るたびに税金も払います。一方の複利の場合は、利子を次の期の元本に組み入れます。雪だるま式に増えていくイメージですね。
複利には2つのパターンがあって、ひとつは毎年税金を払って再投資するケース。もうひとつは、内部に利子を留保しておき(税の繰り延べと言います)、最後に換金するときにまとめて税金を払うケースです。
単利が直線的に増えていくのに対して、複利の場合、加速度的に上昇していきます。
- 単利より複利の方が資産は成長する。
- 時間が経てば経つほど、その差は広がる。
- 非課税だともっとすごい。
複利の力、ぜひ利用したいですよね。「つみたて投資」でもその力を自ずと利用できます。
自身が運用中のポートフォリオは、目下、全世界株式一本に集約中。無リスク資産を50%にしたリスク抑えめのカウチポテト運用。著書は『世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました』(ぱる出版)。※画像をクリックするとAmazonに飛びます。