◉2013年上場予定の目玉企業


以下では2013年の大型上場の候補の目玉ともいえる、非上場の雄と呼ばれる2社を紹介します。

①リクルートホールディングス

国内人材関連企業の巨人、リクルートホールディングスも早ければ13年中に上場するとみられ、大きな関心を集めています。子会社の未公開株を政官界の有力者に譲渡していた1988年の「リクルート事件」の印象がいまだに強い同社にとって株式上場は長年の懸案事項となっていました。新たにネット通販に参入を決めるなど多角化を急ぐ同社は、上場によって資金調達源を多様化し、海外展開を含めた将来の成長戦略に備えます。

リクルートの株式なのですが、創業者・江副氏の時代から社員による自社株の持ち合いが行われていました。そのため現在の筆頭株主は社員持ち株会であり、13.8%保有しています。(11年3月末)また社員持ち株とは別に役員持ち株も存在します。こちらも多数の株式を保有しているため、上場による株価の上昇により多くの恩恵を受けられると思われます。

所有者別状況で見ますと「個人その他」が持ち株比率37.4%を占めており、リクルートは今回の上場で時価総額が1兆円を超えるのではないかと見込まれています。そのため、単純に計算して、個人株主その他だけで3700億円の資産を持つ計算となります。これにより社内ではたくさんの株長者が生まれることでしょう。

ただ懸念事項もあると言われています。現在、社内の主な持ち株主は40代の社員であり、若手の社員はあまり株式を持っていないというのが現状です。今回の上場によって40代の社員は株長者になりハングリー精神を失い、若手社員は上場による直接的な恩恵をあまり受けられずモチベーションを失うのではないかと言われているのです。
しかし、いずれにしても今回の上場が社内に大きな影響を与えることは間違いありません。

なお、関連会社として 大日本印刷 <7912>及び、 リンクアンドモチベーション <2170>の2社が挙げられます。
大日本印刷株式会社は社員持ち株会を除いた場合、リクルート株の筆頭株主(2011年3月末)であり、上場によって多くの恩恵を受けることは間違いないでしょう。

また、リンクアンドモチベーションはエントリーマネジメント事業(採用動員支援)やモチベーションマネジメント事業を行っておりリクルートの競合先と考えられます。

② サントリー食品インターナショナル

本年の7月3日に上場される予定です。
同社はサントリー全体の売上高1兆8028億円の5割以上を占めるグループ中核企業です。
上場した際の株式時価総額は1兆円規模になるとみられ、大型上場であると言えます。

サントリーHDの既存株式の大部分は創業家が占めています。また今回上場が決まったサントリー食品インターナショナルの株式も親会社であるサントリーHDが保有しているため、依然として創業家の影響力の高さは変わらないだろうと思われます。上場から生み出される数千億円規模のキャッシュによる成長投資は、まさに株主にとっては魅力的なエクイティストーリーとなるため、公募価格に対する初値が期待されています。
また、判断の材料として、オランジーナなどのサントリーの近年の企業買収には大きな失敗がないことなどが挙げられ、成長投資に対するイメージも良いです。

関連銘柄として アサヒグループホールディングス <2502>をあげたいと思います
アサヒグループホールディングスとサントリーは競合先であります。また以前は酒類を扱う企業と清涼飲料水を扱う企業がそれぞれ別々に上場していたにもかかわらず、清涼飲料水を扱う企業を100%子会社化し、酒類事業とのシナジー創出に努めました。これはサントリーの動きと逆行するものであり、どちらの経営戦略がベターなのか投資家によって判断されることになるため注目に値します。

また、下記、スライドシェアに、サントリー食品インターナショナルの上場関連の話題や企業や株価分析などをまとめ、アップしました。
参考になれば幸いです。

以上で上場が見込まれる大型企業の紹介となります。
本年度は大型上場が続くのではないかと予想されていますが、IPOは個人の株式市場への参加意欲を高め、投資マネーの呼び水になることに期待したいですね。

BY S.K