ジャパニーズウイスキー「富士」は2020年に誕生した新しいブランドです。
ジャパニーズウイスキーが世界的に人気な昨今、キリンホールディングスが満を持して造ったウイスキーといえます。
キリンといえばビールというイメージを持っている方も多いことでしょう。
しかし、1973年よりウイスキー蒸留所を操業しており、こだわりの製法と徹底した品質管理で上質なウイスキーを生み出してきました。
キリンが自信を持ってリリースした「富士」とはどのようなウイスキーなのでしょうか。
今回は「富士」の気になる種類、製法、評価をご紹介していきましょう。
この記事の監修者
浅野まむ
お酒とBarを愛しています。バーテンダー歴8年、現在ライター。ウィスキーエキスパート資格持ち。 1人で飲むのも、2人で飲むのも、大勢で飲むのも何でも好きです。
ウイスキー「富士」とは
ウイスキー「富士」は先述したようにキリンホールディングスが製造販売を行うブランドです。
「富士」は次の3種類のラインナップを展開しています。
- シングルグレーンウイスキー
- シングルモルトウイスキー
- シングルブレンデッドウイスキー
多彩な原酒造りと卓越したブレンド技術があってこそ、3種の異なるウイスキーを造ることに成功したといえます。
「富士」は日本の象徴である富士山から名前をとっていて、富士山のような美しさを感じるウイスキーの味わいを目指して造られています。
「富士」を造る富士御殿場蒸溜所
「富士」を造るのは富士山の麓、静岡県御殿場市にある富士御殿場蒸溜所。
その土地にはきれいな水、冷涼な気候、霧がもたらす湿度があり、ウイスキー造りにはもってこいの環境です。
そんな富士御殿場蒸溜所ではニーズに合わせて多様な原酒を造り分けています。
原料から設備まで全く違うモルトウイスキーとグレーンウイスキーを1つの蒸留所で造り分けているのは世界的にも珍しいことなんですよ。
雑味が少なくまろやかな口当たり、華やかでフルーティーな味わいを意味する「クリーン&エステリー」が、富士御殿場蒸溜所の理想でありテーマです。
ウイスキー「富士」の製法
「富士」はどのような製法で造られているのでしょうか。
特筆すべき「富士」の製法をご紹介しましょう。
「富士」の仕込み水
使用される仕込み水は富士山の伏流水。
富士山に降り積もった雪や雨は地下深くに水脈を作ります。
火山灰や溶岩層で磨かれ、50年の時をかけてじっくりとろ過されていったきれいな伏流水を地下100mからくみ上げて仕込み水にするのです。
富士山の恵みであるこの上質な天然水がまろやかで華やかな味わいのウイスキーに仕上げてくれるんですよ。
まさに富士御殿場蒸溜所が理想とする「クリーン&エステリー」に富士山の伏流水は必要不可欠といえますね。
こだわりの原料
「富士」を造るための原料には細かい品質基準が設けられています。
その基準を満たす良質な原料のみを使用し「富士」は造られているんですよ。
大麦麦芽は主にイギリス産のノンピート麦芽を使用。
さまざまな原酒を造るため、一部にはピーテッド麦芽を使用しているようです。
グレーン原酒の原料となるコーンやライ麦など穀物はカナダやアメリカなど世界中から厳選した穀物を使用しています。
グレーンは3種の蒸留方法によって造られる
富士御殿場蒸溜所ではグレーンウイスキーの製造にも力を入れています。
以下の3タイプの蒸留器で、異なる味わいのグレーン原酒を造り分けています。
- マルチカラム蒸留器(ライトタイプ)
- ケトル蒸留器(ミディアムタイプ)
- ダブラー蒸留器(ヘビータイプ)
3タイプのグレーン原酒を造っている蒸留所は、世界的にもかなり珍しいといえるでしょう。
この異なる3タイプのグレーン原酒をヴァッティングして造られた「キリン シングルグレーンウイスキー 富士 30年」は2020年に世界2大コンペティションでトロフィーを獲得しています。