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(画像=株式会社トラーナ)
志田 典道(しだ のりみつ)
株式会社トラーナ代表取締役

1983年生まれ、4児の父。
大学在学中にWeb制作会社を創業。
事業譲渡後、複数の外資系IT企業でエンジニア、プロダクトマネージャ等の事業経験を経て2015年に株式会社トラーナを設立。
株式会社トラーナ
当社は「幸せな親子時間を増やそうぜ」をコーポレートビジョンとし、2015年11月より未就学児向け知育玩具サブスクリプション・サービス「トイサブ!」を運営しております。「トイサブ!」では親御様からのアンケートをもとに、当社専属のおもちゃプランナーがお子様一人ひとりの発達状況に適した知育玩具を選定、お届けしています。お客様からのご支持を受け「知育玩具サブスクリプションに関する調査」における会員登録者数ランキングにおいて2年連続で1位を獲得(※1)、現在2万人以上のお客様にご利用を頂いております。 ※TPCマーケティングリサーチ株式会社調べ(2022年8月時点)

これまでの変遷について教えてください。

当社の創業は2015年で、二人目の子供が生まれ、子育て真っ最中のタイミングでした。それまでは祖父母や親戚から、おもちゃをいただく機会が多くあり、私自身で買う機会はあまりなかったのですが、二人目の子供が成長する中で、初めておもちゃを能動的に購買しようと思うようになった際に、ふと子供用のおもちゃのマーケットの古さに気付きました。

当時、私が実感したおもちゃ業界の構造は、キャラクターコンテンツが主流で、子供向け番組で人気のキャラクターを使ったおもちゃが中心となっていました。そもそも日本自体がキャラクターIP(IP;知的財産権)のマーケットが他国に比べて強い国なので、そのIPを利用した商品が多いのは理解できましたが、私が子供の頃から30年経った時点でも、変化が起きていない点については疑問に思っていました。

そんな時に、子供用おもちゃ業界について色々調べていると、現在私たちが取り扱っている知育玩具という新たなカテゴリーを見つけました。今でこそ、おもちゃ売り場でコーナー化されるほど、認知を得てきた存在ではありますが、当時は、知育玩具はパッケージだけで手に取るには少し難しく、また価格も高めに設定されていました。それでも、この知育玩具というプロダクト自体は、既存IPに頼らない非常に良いものだと感じ、これを誰かがリコメンドしてくれて、必要な時に必要な知育玩具が使えるようなサービスがあれば良いなと思いました。また、大学時代から、いつかは起業するぞと自分の人生設計ノートに記していたこともあり、知育玩具のサブスクリプションサービスを取り扱う会社を設立することを決意しました。

株式会社トラーナ
(画像=株式会社トラーナ)

設立当初は、私が会社の経営について無知だったため、さまざまな苦労を経験しました。当社が2019年9月まで外部からの資金調達を一切行わずに、自分たちのリソースだけで運営していたこともあり、アナログなオペレーションのままお客様の数が増えていき、改善を図るためにアクションを起こすも、それが軌道に乗るのに時間がかかったりと、本当に大変でした。それでも子供への愛情や社員に対する気持ちが強かったのと、全ての障壁は乗り越えられるものであるというマインドセットの元、いくつもの失敗を乗り越えてきました。

一番感銘を受けた書籍とその理由は?

私が一番感銘を受けたのは、大学時代に読んだ、カーネギーの「人を動かす」です。この本は私にとって、人とのコミュニケーションのバイブルとも言える書籍で、人とどう接していくかのアプローチ方法を学べました。具体的には、人を動かす原則や、人に好かれるようにするための原則が体系的にまとめられており、中でも「聞き手に回る」という原則は、今でもすごく意識をしています。

その読んだ書籍をどう仕事に生かしてきたのでしょうか?

読書における知識やノウハウというのは、それぞれメリットとデメリットがあると思います。この本の「聞き手に回る」という原則も、相手にとって自分が良い人間であると思ってもらい、最終的にはその心理が「人を動かす」ことにつながるのですが、起業家や経営者が聞き手に回りすぎると、トップダウンでの指示が行いにくくなります。この世の中にはある程度トップダウンで成功するビジネスモデルも存在する以上、「聞き手に回る」ことが必ずしも正解ではないのだと思います。

ただ、私の場合は、この本でのマインドの設定がかなり済んでいるため、今から大きく変えることは難しくなっているのですが、逆にこの姿勢が、当社のようなボトムアップの企業には向いているのだと思います。例えば、当社では多くのパートタイムの方に関わっていただいているのですが、私はパートの方に対しても「聞き手に回る」ようにしています。そのおかげか、パートの方の主体性も向上し、自分で気づいて業務効率が上がるアクションを取ってくれています。離職率も低くなっているので、私のスタンスは役に立っているのかなと思います。

経営において重要としている考え方について

経営において大事にしているスタンスは、私が逆円錐形の一番下にいて、一番上には社会があるということです。そして、私の上には社員がいて、その上に顧客がいて、その上に見込み顧客がいて、その上に社会があり、上の層にいくほど母集団が大きくなっているのです。これらはどういうことかというと、私が影響を与え得るのは社員までですが、その社員がお客様を満足させることにより、お客様からの口コミなどによってサービスが気になる層が現れ、その外側にサービスの顧客自体にはならないが商材自体は良いと思ってくれている社会がある、この構造を常に意識しています。

現在は、働く人の存在が重要視され、会社のビジョンと社員のキャリアビジョンのうち、一致する部分がなければ、すぐに転職できてしまう時代だからこそ、トップダウンだけで経営を行うのは難しい部分があると私は思います。だからこそ上から何かをやりなさいと下ろすのではなく、下から投げかけて、次の層の人の意思で上の層に投げてほしいと思っています。そのためには、社員の自主性というものは必要不可欠で、この自主性や自立性を磨いてもらうためにも、社員全員と1on1を実施して、耳を傾けるようにしています。

思い描いている未来構想や、従業員への期待、子供たちへのメッセージについて

株式会社トラーナ
(画像=株式会社トラーナ)

当社のビジョンは、「幸せな親子時間を増やそうぜ」と掲げており、これは現在の知育玩具サブスクリプションサービスの「トイサブ!」の事業だけではなく、より広い事業で実現できればと思っています。そのため新しいメニューの開発などを進めております。また、今後ますますグローバル化が進むにあたって、当社のサービスが世界規模での共通言語になれれば、例えば留学に行った子供たちが、「トイサブ!」という共通の話題から一気に距離を縮められるようになると思うので、海外進出も未来構想として描いています。

また、従業員の皆さんには自立性と自発性を磨き続けてほしいと思います。当社のビジョンを、より多くの人を巻き込んで実現可能なものにするために、私が投げかけたボールを上へ上へと伝えてほしいです。

私は子供たちに対しても、興味や関心を持つ環境を準備して、彼らの自立性や自発性に任せることが重要だと考えています。今の子供たちの中でも、自立性や自発性を発揮することができない子供が一定数いて、彼らが幼い頃から自立性や自発性を磨く機会をより多く提供できれば、辛いと思う人生も減るのではないかと考えています。今後も、より多くの子どもたちが楽しいと思ってもらえるような社会を目指していきたいと思います。

氏名
志田 典道(しだ のりみつ)
会社名
株式会社トラーナ
役職
代表取締役