2007年アスクル入社。リーガル・セキュリティ本部で法務・情報セキュリティに従事。 2016年コーポレート本部広報部長、2018年より広報・IRの統括責任者。 2020年3月、サステナビリティ・広報・IRを管掌するコーポレートコミュニケーション統括部長。アスクルの新しいサステナブル経営を全社とともに推進。
ESGにおけるこれまでの取り組み
当社ではBtoB・BtoCのお客様に向けたeコマース事業を主力とする中で、グループ会社含めラストワンマイルまで自社配送を行っている背景から、環境課題の解決に対する意識を高くもち、非常に早い段階からE(環境)に関する取り組みを進めてきました。具体的には、2002年の環境方針策定、2004年の紙製品に関する調達方針策定、2005年の段ボール無料回収開始などが挙げられます。
他にも、環境負荷軽減のために2009年には通い箱を利用した「ECO-TURN配送」、紙製品の取り扱いが多いこともあり2010年からインドネシアでの植林活動「1 box for 2 trees project」、2016年には2030年に向けたCO2ゼロチャレンジ宣言などに取り組み、お客様や取引先と一緒に環境問題に向けた課題解決を推進していこうと考えております。
加えて、S(社会)に関しては、サプライヤーの調査や監査の徹底、女性管理職の積極的な登用など人的資本への注力、G(ガバナンス)に関しては、LINEヤフー社という大株主をもつことからガバナンス体制の強化などにも取り組んでいます。
ESGの取り組みや事業の強み、実績
当社は小売業として、数ある商品の中でお客様に選んでいただくための価値や、ステークホルダーとの接点が多いという強みを十分に発揮していく必要があると考えています。その上で当社の特徴的なESGにおける取り組みを3つご紹介します。
1つ目は、商品環境基準の刷新です。現在「環境に良い」が購入基準の一つになっていることもあり、従来定めていた商品環境基準を30項目に細分化及びスコアリングし、商品の環境配慮の度合いを見える化しました。お客様にとって商品比較や購入のきっかけになり、メーカーにとってもお客様の声や環境配慮の度合いを知ることができる取り組みだと考えています。
2つ目は、無駄な廃棄を無くす「Go Ethical」という取り組みです。季節性商品などお客様に届くことなく廃棄されてしまう商品をブランドや企業と協力しアウトレット価格で販売する取り組みです。消費者庁長官表彰やGOOD DESIGN賞を受賞し、メーカーにもご賛同いただき、お客様も楽しんでいただけるwin-winな取り組みだと考えています。
3つ目は、資源循環の「Matakul(マタクル)」です。使用済みのクリアホルダーを回収、再生ペレットを製造し、ボールペンや小物入れなどのプラスチック製品に生まれ変わらせる取り組みで、クリアホルダーのご提供を累計 1,996社(2023年12月時点)の企業にご協力いただいています。
現状だけではなくESGの取り組みでこれから目指すところ
現状、上記の取り組みに加え、サプライヤーと協力しスコープ3の見える化に向けて、PoCを実施しています。そして、将来的には環境配慮やサステナブル調達などの情報の透明化を図り、安心してお客様に商品を購入していただけるサービスを目指したいと考えています。
その上で、サステナブル経営を実現させるために、経済価値と社会価値の両立を目指す「トレードオン」とお客様やメーカーなどのステークホルダーを巻き込み、ご賛同いただけることを目指す「ムーブメント」、さらに当社の強みでもあるテクノロジーを掛け合わせていくことがこれからの課題であり、当社がより力を入れて取り組むべきことだと考えています。
今後の上場企業の意義や投資家ユーザーへのメッセージ
日本のトップメーカーを中心とするサプライヤーとの直接取引と日本中の500万事業所以上の顧客基盤という当社の最大の強みを活かして、サステナビリティに対する課題解決をより一層推進していきたいと考えています。その解決力こそが企業の成長力であり、当社にはこれからのサステナブルな未来を作っていく伸び代があると考えているので、投資家の皆様には十分に期待していただきたいですし、当社としてもその期待に応え続けたいと思います。
- 氏名
- 小和田有花(こわだ ゆか)
- 会社名
- アスクル株式会社
- 役職
- コーポレート本部 コーポレートコミュニケーション統括部長