本記事は、渡部清二氏の著書『プロ投資家の先を読む思考法』(SBクリエイティブ)の中から一部を抜粋・編集しています。
投資の三種の神器は「新聞」「指標ノート」「会社四季報」の3つ
銘柄選定をする上で欠かせない市場の先を読むのに必要なスキルを身につけるための、具体的なノウハウをご紹介していきます。
一般の方が株式投資をするにあたって、「これだけは活用していただきたい」と考えているものが3つあります。
それは、「新聞」「指標ノート」「会社四季報」です。
新聞は株式投資をする人であれば言わずもがな、まずは日本経済新聞でしょう。ただ、私自身は1社のみから情報を得るよりも、複数社の新聞に目を通しておきたいという気持ちがあるので、あわせて東京新聞も購読しています。
指標ノートとは、日ごとの株式市場の主要な指標を、ノートの見開きに1カ月分が収まるように記したものです。何か特別なできごとがあればそれも記しておきます。
『会社四季報』は東洋経済新報社が四半期ごとに発行する、全上場企業の情報データ集です。株式投資をする人であれば、誰でも一度は手にしたことがあるでしょう。
私がこの3つを活用するようになったのは、野村證券に入社して8年目の1998年、日本橋の本店営業部に異動になった時、先輩の竜沢さんからすすめられたのがきっかけでした。
当時の私には、自分なりに分析して値上がりすると思った銘柄をお客様におすすめするものの、結果としては損ばかりさせてしまっているという思いがありました。
入社年が1990年で、入社後すぐにバブルの崩壊に見舞われ、日本では「失われた20年」と呼ばれる底なしの不況が続くという不運もありましたが、そんな中でも上がる銘柄は上がるし、株式投資で大きな利益を手にする人はいつの時代もいます。
どうせ営業マンをやるのならば、お客様の喜ぶ顔が見たいですし、自分自身も胸を張って「証券営業をしています」と言いたいという気持ちもありました。
ちょうど結婚をするタイミングだったこともあり、「今、本気にならないでいつ本気になるんだ!」と自分に喝を入れ、竜沢さんに教えていただいたことをすべて実践しようと思ったのです。
ダメ営業マンから敏腕営業マンに変わるには、今しかチャンスがない! という思いでした。
第一優先順位は「新聞」
これら株式投資の三種の神器は、どれも重要で投資家には欠かせないものですが、「優先順位をつけるとしたら何から始めればいいですか?」と聞かれたら、私は「まず新聞を優先しましょう」と答えます。
それくらい新聞を読むことは大切なのです。
「え? 今どき新聞?」と思う人も多いことでしょう。新聞の購読者数がどんどん減り続けていることはしばしば話題になります。一般的に言って、新聞は「オワコン(終わっているコンテンツ)」なのは確かです。
でも、株式投資を志すのであれば、そんなことは言っていられません。
なぜならば、こんなに役に立つ情報ソースはないからです。
もしもあなたが本気で株式投資で一財産を築きたい、そのためにこれからどんどん売上と利益が上がり、株価が何倍にもなるような業界や銘柄を予想できるようになりたいと考えているのならば、新聞を「オワコン」などとは言っていられないはずです。
それくらい新聞は役に立つツールなのです。
新聞購読が「紙」に限る理由
日経新聞にも電子版があります。デジタル文化に浸かっている人ほど紙を嫌い、すべてデジタルですませようとしますが、こと日経新聞に限っていえば「紙でなければ意味がない」と思ってください。
理由は、紙面の持つ「一覧性」にあります。
デジタルの記事だと、自分が興味を持ったジャンルにしかアクセスしようという気にはならないでしょう。関心のないものをわざわざ見ようとはしないものです。
ところが紙面となると、そうはいきません。いったん紙面を開くと、さまざまな見出しが一斉に目に飛び込んできます。あなたに興味があろうとなかろうと、書かれていることが目に入ってしまう。
そこが大事なのです。