本記事は、渡部清二氏の著書『プロ投資家の先を読む思考法』(SBクリエイティブ)の中から一部を抜粋・編集しています。
長期投資ならリスクが低減でき、持ち株数が増えることも
長期投資は、投資期間を長く取ることによって投資のリスクを軽減できるため、一般の方々にとって安心かつ安定的な運用が可能になります。
投資のリスクとは、すなわち元本割れのリスクのことです。短期間に多くの資金を動かすと、値下がりリスクの影響をもろに受けてしまいます。ここでは詳述は避けますが、短期投資で大きく儲かる金融商品の中には、現物の何倍もの金額で行えるものがあります。
そうした商品には決済の期限が設けられており、その期限のタイミングで株価が値下がりしていたら、大変なことになります。
こう書いただけで、いかにリスクの高いものであるか、ご想像いただけるのではないでしょうか。
そして、短期投資を推奨する本には、この類いのハイリスク商品の活用を紹介しているものが多いのです。
長期投資はこれとは逆のスタンスを取ります。時間をかけて毎月一定額の株式を買い付け、長期的に資産形成をしようというものです。
長いスパンで株式を買い付ければ、相場がいいときもあれば悪いときもあります。
これがいいのです。ある時期、どうしようもないほど持株が値下がりしたとしましょう。毎月一定額買い付けているわけですから、株価が安いときは同じ金額でたくさんの株数を買うことができます。もっとも逆に株価が高くなると、買付数は少なくなってしまいますが、買付価格は平均化され、いわゆる「高値づかみ」のリスクは回避できます。
これは昔からよく知られている買付方法で「ドルコスト平均法」といい、投資リスクを軽減するための手法の1つです。
株式分割で株数が増えることも
また長期的に株式を持つことによって、株式分割という持株の数が増える恩恵にあずかれる場合もあります。
株式分割とは、株価を下げて発行済み株式数を増やし、より多くの投資家に買ってもらいやすくするために、1株を2株や3株などに分割することをいいます。
たとえば、1株4,000円の株を、元株1分割後の株を2とする「1:2」で分割した場合、株価は4,000÷2=2,000円となりますが、その分、持ち株の数は2倍になります。つまりそれまで100株持っていた人は、まったく追加費用なしで持株が200株に増えるわけです。
パナソニックなど日本を代表する大企業の株式を長期間保有し続けた結果、株式分割が繰り返されたことで一大資産を形成した人もいます。