総括
FX「春節でも人民元円は年初来高値更新、中国の今の課題は」人民元見通し
(通貨4位、株価最下位)
予想レンジ 人民元/円20.5-21.0
(ポイント)
*中国の課題(チーファンラマ)
*春節でも人民元は対円で上昇
*MLFは据え置きか
*デフレ圧力強い。1月CPI、PPIから
*米国の輸入、中国が15年ぶり首位陥落
*中国、米関税や投資制限に懸念表明
*政府は数々の株価対策を講じている
*格付見通しをネガティブにしているムーディーズの動きも気になる
*トランプ氏は対中関税を60%以上にすると発言
*IMFの成長見通しは弱い
*人民元円年足、4年連続陽線
*日本のバブル崩壊と似てきた(前车之覆,后车之鉴)
*23年通年の成長率は5.2%
*イタリアが「一帯一路」から離脱
*1兆元の国債発行し景気対策へ
*米の経済制裁は続く
(春節でも人民元円は年初来高値更新)
春節でも人民元円は伸びている。20.83で年初来5.26%高。株価は上海市場はまだ休場だが香港ハンセン指数は昨日2月14日は0.84%高。習国家主席が株価対策に乗り出してからは上昇しているが、年初来では上海総合指数が3.67%安、香港ハンセン指数が6.85%安とまだ弱い。10年国債は2.48%(春節前)。
(デフレ圧力強い。1月CPI、PPI)
1月の消費者物価(CPI)は前年比0.8%下落し、4カ月連続のマイナスとなった。生産者物価(PPI)も下落し、デフレ圧力の強さを示した。
CPIは前月の0.3%下落から下落幅が拡大。2009年9月以来の大幅なマイナスとなった。食品価格の急低下が主に影響した。
変動の激しい食品とエネルギー価格を除いたコアインフレ率は前年比0.4%上昇と、12月の0.6%上昇から減速した。
1月のPPIは前年比2.5%下落と、下落率は前月の2.7%よりも小幅にとどまった。
(今後の指標)
2月15日に1年物MLF金利決定、18日に経常収支、3月1日に製造業PMIなど。
MLF金利とLPRがどのように変化するかが注目の的となっている。中期政策金利であるMLF金利は調整される可能性は低く、LPRは引き下げられる可能性が高い。
(米国の輸入、中国が15年ぶり首位陥落)
米商務省が発表したモノの通関ベース(季節調節前)の貿易収支によると、2023年の輸入額に占める国別割合で、中国がメキシコに抜かれ、15年ぶりに首位から陥落した。
(中国、米関税や投資制限に懸念表明)
米中が行っている経済協議で、中国財政省当局者は、中国側は米国の関税、投資制限、中国企業を「抑圧」するための制裁について懸念を表明したと明らかにした。
中国財政省は、マクロ経済状況のほか、途上国の債務問題などを巡り「深く、率直で、現実的かつ建設的な」意見交換を行ったと表明。引き続き対話を行っていくことで合意した。
テクニカル分析(人民元/円)
年初来高値更新中、一時ボリバン3σ上限へ
日足、一時ボリバン3σ上限に達す。現在も2σ上限を上抜いている。雲の上。
2月12日-13日の上昇ラインがサポート。11月27日-2月14日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、ボリバン2σ下限から反発。1月29日週-2月5日週の上昇ラインがサポート。11月27日週-2月5日週の下降ラインを上抜く。2σ上限が上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、1月は大陽線で12月の大陰線を取り戻す。2月は年初来高値更新中。ボリバン2σ上限へ。7月-1月の上昇ラインがサポート。11月-1月の下降ラインを上抜く。
年足、4年連続陽線。ただ23年は22年の高値を上抜けず。22年-23年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
中国の課題
①巨大不動産開発会社恒大の2021年の破綻による余波はまだ終わっておらず、政府が広州や上海などの都市での購入制限を緩和した後も、このセクターは苦戦が続いている
②地方政府債務が雪だるま式に膨らむ中、中国財政の健全性も低下しており、ムーディーズは12月に同国の信用見通しを下方修正した
③中国の消費者物価指数は2023年の最終四半期も下落を続け、内需の不足を示している。
④若者の高い失業率、公共サービスの削減、公務員の給与削減に関する懸念
⑤民間部門の信頼が失墜、中国が投資を呼び込み経済成長を維持する能力が脅かされている。
こうした課題は、中国の厳しく検閲され規制された情報環境の中でも、国民の不安を引き起こしている。政府は景気刺激策を展開しているが、国内の安定や学校から民間部門に至るすべての機関における共産党の強力な存在感の確保といった圧力も懸念だ。