総括
FX「成長目標5%、外資の投資を呼び込めるか、人民元はドル下落で対円で小反落」人民元見通し
(通貨4位、株価13位)
予想レンジ 人民元/円20.4-20.9
(ポイント)
*人民元は12通貨中4位、株価回復途上、金利は低下
*製造業PMI、2月は49.1に低下 5カ月連続で50割れ
*本日1-2月貿易収支の発表
*2024年の経済成長率目標 5%前後 、全人代
*預金準備率に下げ余地
*外資に製造業開放の方針
*人民元円はドルに連れて安定推移
*米中対立は続いている
*米国はメキシコ経由の中国車の流入を避けようとしている
*中国への直接投資 前年から80%以上減少
*デフレ圧力強い。1月CPI、PPIから
*米国の輸入、中国が15年ぶり首位陥落
*中国、米関税や投資制限に懸念表明
*米国が対露協力を理由に中国企業への制裁を検討
*格付見通しをネガティブにしているムーディーズの動きも気になる
*トランプ氏は対中関税を60%以上にすると発言
(人民元は12通貨中4位、株価回復途上、金利は低下)
人民元は年初来、対円で4.65%高(@20.71)、12通貨中4位。株価は対策が効いて上海総合指数はプラス圏に浮上、年初来2.18%高。
香港ハンセン指数は一時10%近くまで下落したが現在は3.57%安まで下げ幅を縮小した。
10年国債は昨年末の2.59%から2.33%まで利回りが低下している。
(中国製造業PMI、2月は49.1に低下 5カ月連続で50割れ)
2月製造業PMI49.1(前月49.2、予想49.1)
2月非製造業PMI51.4(同50.7、50.8)
2月財新製造業PMI50.9(同50.8、50.6)
2月財新サービス業PMI52.5(同52.7、53.4)
2月の製造業PMIは49.1と予想通り。1月の49.2から低下し、景況拡大・縮小の分かれ目となる50を5カ月連続で下回った。 受注が低迷する中、政策当局者に追加刺激策を求める圧力が高まっている。
海外新規受注の急減も背景にある。「海外からの需要減退は一時的でなく、恒久的な現象のようだ」とされ、先進国の景気減速や国内サプライチェーン(供給網)の移転がある。
(本日1-2月貿易収支の発表)
予想は1037億ドルの黒字(前月は753.4億ドルの黒字)
輸出は1.9%増の予想(前月は2.3%増)前年比
輸入は1.5%増の予想(前月は0.2%増)
外貨準備高も本日発表、2月消費者・生産者物価は3月8日に発表される。
(2024年の経済成長率目標 5%前後 、全人代)
李強首相が政府活動報告を行った。2024年の経済目標として、実質GDP成長率は5%前後、消費者物価上昇率は3%前後、都市部新規就業者数を1,200万人以上、都市部調査失業率は5.5%前後とした。その他、GDP単位当たりエネルギー消費量を2.5%前後減少させるとした。
目標達成に向け、財政政策では赤字規模を前年から1,800億元拡大し4兆600億元規模、地方特別債は前年比1,000億元増の3兆9,000億元規模とする。また、今後数年にわたり超長期特別国債を発行し、国家重要戦略の実施と重点分野の安全保障能力の整備に使用する。2024年は1兆元を発行する。金融政策は「柔軟で適度にして的確で有効なものにする」とし、社会融資総量やマネーサプライ(M2)の伸びを経済成長率と物価目標に一致させる。
(預金準備率に下げ余地)
人民銀行の潘功勝総裁は、市中銀行から強制的に預かるお金の比率である預金準備率は「引き下げ余地がある」と述べた。不動産不況など需要不足が長引くなか、景気動向に応じて機動的に金融緩和に踏み切る姿勢を示した。
景気停滞で雇用や所得の改善ペースも鈍い。消費が弱く、消費者物価指数(CPI)は1月まで4カ月連続で前年同月を下回った。デフレ懸念もくすぶる。
機動的な緩和を示唆した背景には、景気対策が金融政策への依存を強めたこともある。地方財政は不動産不況が直撃し厳しさを増す。
テクニカル分析(人民元/円)
ボリバン上位で横ばい推移から下落
日足、ボリバン上位での横ばい推移から小反落。2月2日-3月6日の上昇ラインがサポート。維持できるか。3月5日-6日の下降ラインが上値抵抗。5日線下向きで上向きの20日線を下抜く。
週足、先週は4週ぶり陰線。今週もここまで陰線。ボリバン2σ下限から反発も一服。1月15日週-29日週の上昇ラインがサポート。11月27日週-2月19日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、1月は大陽線で12月の大陰線を取り戻す。2月は年初来高値更新。今月はボリバン2σ上限から小反落。1月-2月の上昇ラインがサポート。維持できるか。11月-2月の下降ラインが上値抵抗。
年足、4年連続陽線。ただ23年は22年の高値を上抜けず。22年-23年の上昇ラインがサポート。
チーファンラマ
外資に製造業開放の方針
李強首相は、人工知能(AI)や宇宙など将来の競争力に不可欠な産業を育成すると表明した。また海外投資家の撤退を食い止めるため、製造業や一部サービス業への参入を自由化する方針を示した。
中国はビジネスに開かれているというメッセージを打ち出した格好だ。コロナ禍後の景気回復が鈍いことや当局の締め付けにより、海外投資家の信頼感が低下していることが背景にある。また技術革新と自給への取り組みは西側諸国との貿易摩擦を生んでいる。
経済状況の変化により多くの海外投資家が中国の製造業から撤退し、2023年の中国への直接投資は約10年ぶりに減少した。