総括
FX「スーパーペソ。15年5か月ぶりの高値に近づく、今年の月足はすべて陽線」メキシコペソ見通し
予想レンジ 9.1-9.5
(ポイント)
*現地紙では「スーパーペソ」という見出しとなっている
*現地でスーパーペソの批判が強まるかどうかがポイント
*スーパーペソの批判はまだ大きくない
*大統領も強いペソを賞賛
*4月9日に年初来高値の9.339をつけた
*それは15年5か月ぶりの高値だ
*今年、対ドルで唯一強い通貨
*2年連続世界最強通貨。今年もここまで最強
*3月コア消費者物価は低下、米国のそれは上昇
*失業率が大幅改善、他の指標もまずまず
*次回政策金利決定は5月10日
*ペソは歴史的にまだ安い
*米とメキシコ、半導体サプライチェーンで連携
*利下げはインフレ対策終了のシグナルでない=中銀総裁
*メキシコは世界の輸出国のトップ10へ、2023年
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正
*自動車輸出、郷里送金快調
*2023年のGDPは前年比3.1%増加、IMFの2024年成長見通しは2.7%
*気になるのは財政支出拡大と財政赤字拡大
*トランプ大統領が誕生すればメキシコに一波乱あり
(スーパーペソ、3月消費者物価ではメキシコ下落、米国上昇も)
4月9日に年初来高値の9.339をつけた。次の高値の目途は、15年5か月前、2008年10月6日の9.364となる。残り僅か2.5銭となったが、その後発表された3月消費者物価のコア指数が低下したことで一時9.234まで下落、ただ米国卸売物価は落ち着きを見せたことは9.3台へのペソ回復を支援した。
ペソ円9.32で初来11.45%高、2位のドルが8.64%高なのでやや独走状態だ。
コロナ禍やロシア・ウクライナ紛争によるサプライチェーンの再構築でメキシコが米国のニアショリング政策の一番手となったことと、メキシコの高金利と日本の超低金利との差異での組み合わせがペソ上昇の要因だ。それがまだ続いているが、ニアショアリングの進展は波があり、物価動向次第で墨日の金利差が縮小する可能性もあり、日々のチェックは欠かせない。
株価(ボルサ指数)は年初来0.97%安と、金利上昇、ペソ高の影響は受けている。10年国債利回りは10.26%と年初来の高値圏にある。
(3月消費者物価は予想を下回る)
3月消費者物価は、前年比4.42%上昇と、2月の4.4%からほぼ変わらず、予想の4.5%を下回った。住宅、公共事業、運輸、宿泊などが上昇、食品、衣料、通信は下落した。3月のコアインフレ率は14カ月連続で低下し4.55%、前月の4.64%、予想の4.62%を下回った。
メキシコ中銀は3月に政策金利を引き下げたものの、中銀は追加利下げには慎重な態度をとっていた。ただ今回の物価下落は慎重な姿勢を緩和させる可能性あり。
(中銀議事要旨、拙速な金融緩和に慎重な姿勢の意見もあり)
メキシコ中銀は、3月の金融政策決定会合の議事要旨を公表した。インフレ率の目標達成を巡る不透明感が高まる中、理事会の一部メンバーが拙速な金融緩和に慎重な姿勢を示した。
中銀は3月21日の政策会合で、金利を0.25%引き下げ、11.0%とすることを決めた。2021年に引き締めを開始して以降では初の利下げだった。 議事要旨によると、ある理事会メンバーは利下げについて「金融政策の正常化やインフレ水準に対する安心感として解釈されるべきではない」とし、むしろインフレ状況とその見通しを踏まえた現行の制限的措置の調整である、との認識を示した。
3月の利下げ決定では、5人の政策委員のうちエスピノザ副総裁が唯一金利据え置きを主張した。エスピノザ氏は金融政策が直面している課題を指摘し、3%のインフレ率目標達成における賃金上昇圧力や拡張的な財政政策を挙げた。
次回政策金利決定は5月10日(金)とデータチェックには時間はある。
(2月鉱工業生産)
2月鉱工業生産は前年比3.3%増(前月2.7%増、予想3.5%増)。前月の2.7%増の下方修正後、3.3%増加し、予想の3.5%成長を下回った。製造業と公益事業で増加したが、鉱業は緩やかなペースで減少した。一方、建設向けの生産は伸びが鈍かった。
テクニカル分析
今年に入って週足陰線は2回だけ、月足はすべて陽線
日足、年初来高値を更新し続けるも4月9日はボリバン2σ上限を上抜いた後、反落。ただリバウンドも速く再び年初来高値圏へ。4月9日-10日の上昇ラインがサポート。2008年10月6日(9.364)-2024年4月9日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
週足、今年に入って週足陰線は2回だけで順調に伸びている。現在も4週連続陽線。今週もここまで陽線。ボリバン2σ上限へ上昇。3月25週-4月1日週の上昇ラインがサポート。2008年10月6日週-2024年4月8日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
月足、23年7月からの山なり状態を上抜いた。ボリバン3σ上限に近い。2月-3月の上昇ラインがサポート。2008年8月-2024年3月の下降ラインが上値抵抗だが上抜くか。
年足、23年で3年連続陽線。今年もここまで陽線。14年-22年の下降ラインを上抜く。22年-23年の上昇ラインがサポート。
VAMOS MEXICO
エクアドルと国交断絶の影響は
エクアドルで、警察が現地のメキシコ大使館に突入し、政治亡命を求めていたエクアドルの元副大統領を拘束した。これに強く反発したメキシコ政府がエクアドルとの国交の断絶を表明した。
エクアドル政府は「いかなる犯罪者も処罰されるべきだ」として、今回の突入を正当化しているが、ブラジル外務省が、国際法に対する明らかな違反だと強く非難しているほか、キューバやチリの大統領も突入を批判していて、中南米各国から非難の声が相次いでる。 ニカラグアもにエクアドルとの国交断絶を表明した。エクアドルはメキシコとは地理的にも離れ、経済格差もあることから、金融市場に大きな影響はないだろう。