南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「4月最強維持、今週はCPI」南アランド見通し

「通貨7位、株価19位」
「予想レンジ 南アランド円7.8-8.3」

(ポイント)
*4月は月間最強通貨
*問題山積の中の強さ
*日本企業、海外企業も問題山積でも撤退せず
*今週は消費者物価と小売売上
*総選挙はズマ前大統領の出馬が認められ益々混戦へ
*鉱産物価格依然堅調
*失業率は高水準
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続く
*インフレ目標引き下げの議論が始まる
*南アはまだ電力、水力、物流、財政赤字等の問題を抱えている
*外貨準備の財政活用を可決
*米財務省は南ア経済について強気
*23年4Q・GDP テクニカルリセッションをかろうじて回避
*5月29日に大統領選挙と総選挙
*スタンダード銀行、2024年の南アフリカ経済にプラスの見通し
*中国と南アの関係は強化されている
*グレイリストには2025年まで残る
*人口は増加、白人は減少

(ランドは不確実性あるなかで月間首位変わらず)
 外部要因としては米利下げ観測後退、中東緊張などの通貨の売り材料、国内では大統領選挙前の熾烈な駆け引き、電力不足、水不足、物流混乱などもある中で南アランドは先週も3位、4月月間ではここまで首位、年間では7位と健闘している。
 株価は利下げ観測が後退し弱く年初来2.06%安。年初は10%割れだった10年国債利回りは11%に乗せている。

(今週は消費者物価と小売売上)
 今週は3月消費者物価の発表がある。2月は前年比5.6%上昇だったが、予想は5.4%上昇。
 ただ中銀は現在3-6%のインフレターゲットを3-5%、さらに2-4%へ引き下げる議論を始めようとしている。インフレ抑制を確固たるものとしたいようだ。タカ派のクガニャゴ総裁は3期目を続投することとなった。24年11月から5年である。大統領府は「クガニャゴ総裁の再任は、中銀の継続性と安定性を確保する」と声明で述べた。
 また今週は2月小売売上の発表もある。

(鉱産物価格依然堅調)
 ここ1か月の南ア産出の鉱産物価格が高く、南アランドを支えているここ1か月(4月12日の終値以前の1か月)で金は7.76%、銀は11.25%、白金は5.51%上昇。パラジウムは0.24%下落。

(失業率は高水準)
 南アの2023年4Qの失業率は、前年同期の31.9%という1年ぶりの低水準から32.1%に上昇した。求職活動を思いとどまった人々を含む失業の拡大定義は4Qに41.1%となり、3Qの41.2%からわずかに低下した。 15歳から24歳の求職者を対象とした若年失業率は、3Qの58%から、4Qは59.4%に上昇した。

(アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続く)
 米国上院議員らは、南アのアフリカ成長機会(アゴア)貿易特恵プログラムへの適格性を即時に見直すべきとする立法要件の計画を撤回した。

 BRICSの一員としての南アを米国から切り離すのは不利と見たこともあろう。南アの対米貿易は輸出が中国に次いで2位であり、南アにとっても輸出関税が減免されることは大きな利益だ。

(ズマ前大統領、次期選挙への出馬を許可される)
 南アの選挙裁判所は、ズマ前大統領が次期選挙で議員として立候補できるとの判決を下し、投票への異議申し立てを禁じていた以前の決定を覆した。
 この決定は、ズマ氏がかつて率いていた与党アフリカ民族会議を非難した後、昨年加入した新しい政治組織ウムコント・ウェシズウェ党を代表して大統領選に出馬する道を開くものとなった。
 南アの憲法では、犯罪で有罪判決を受け、罰金の選択肢なしに12か月以上の懲役刑を言い渡された人が議員として選挙に立候補することを認めていない。
 しかし、裁判所はズマ氏とその党による控訴が成功し、彼の立候補に対する異議が却下されたと発表した。

テクニカル分析(ランド/円)

ボリバン3σ上限から反落、中位は維持

 日足、ボリバン3σ上限へ上昇後、一時ボリバン中位まで下落。3月28日-4月12日の上昇ラインがサポート。4月10日-12日の下降ラインが上値抵抗。5日線、20日線上向き。
 週足、一時ボリバン3σ上限へ、2σ上限まで反落。4月1日週-8日週の上昇ラインがサポート。11月13日週-4月8日週の下降ラインが上値抵抗。5週線、20週線上向き。
 月足、1月-3月の上昇ラインがサポート。23年11月-24年3月の下降ラインを上抜く。5か月線上向き、20か月線横ばい。
 年足、2023年は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。

南アランド見通し
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喜望峰

撤退しない外国企業

 南アはここ数年電力不足を始め様々なリスクに悩まされている。ただ日本企業始め世界の企業がそれを原因として撤退したという話は聞かない。日本ではトヨタを始めとする自動車、またNEC、島津製作所、アネスト岩田、富士フイルム、古河ロックドリルなど販売強化を狙いとするメーカーの進出も多い。NTTも総合商社も事業を拡大している。
 資源ビジネスはもとより、消費市場の拡大、巨額のインフラ投資、環境・エネルギー分野における先端技術の導入可能性などがその魅力だ。さらに、小売業、通信、金融などサービス分野における南ア企業の域内多国籍化の進展が南ア発のビジネスを加速させている。

 サブサハラ・アフリカの経済成長を取り込むことも南アの優位性として捉えられる。南アがサブサハラ・アフリカ市場へのゲートウェイであることは間違いない。

情報提供元:FX湘南投資グループ
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