65歳以上同士は約63%、60歳以上同士だと約77%……これは、要介護者と同居の主な介護者の年齢の組み合わせだ。「老老介護」がいかに多いかを示すデータといえる。

「シニアになっても元気に働き続けたい」と考えていても、老老介護の状況に陥ると外で働く時間が確保しにくくなり、想定していたような収入を得にくくなるだろう。本記事では、老老介護の現状と備えるための資産運用について解説する。

「高齢者同士で介護」の割合

介護「65歳以上同士」が6割超に。今からできる備えや代表的な相談先
(画像=naka / stock.adobe.com)

厚生労働省が公表している「2022 (令和4) 年 国民生活基礎調査の概況」では、「要介護者等」と「同居の主な介護者」の年齢階級別の構成割合のデータが公開されている。年齢の組み合わせで高齢者同士となる比率は、以下の通りだ。

同居の主な介護者要介護者等
60歳以上65歳以上70歳以上
60歳以上77.1%77.2%75.8%
65歳以上63.1%63.5%61.2%
70歳以上32.4%32.8%35.7%

また、高齢者同士の比率は以下のように推移しており、年々比率が高まっていることがうかがえる。

西暦60歳以上同士65歳以上同士75歳以上同士
2013年69.0%51.2%29.0%
2016年70.3%54.7%30.2%
2019年74.2%59.7%33.1%
2022年77.1%63.5%35.7%

老老介護が収入を圧迫

老後も2馬力で働くことを想定していた夫婦が老老介護の状態になると、収入源が1馬力以下、もしくはほぼ0馬力となってしまう。また介護費用が増えるため、想定していた家計プランが大きく狂う可能性もある。

介護保険はどこまで頼りになる ?

そもそも公的な介護保険で介護費用をすべてカバーすることはできない。介護保険は、利用したサービスの1~3割の自己負担が必要で上限を超えると全額自己負担となる。

また、保険の対象となる介護サービスや上限額は要介護度によって異なり、介護保険外のサービスを利用せざるを得ないケースも少なくない。そのため、介護保険を頼りにしすぎることは危険だ。

「お金に働いてもらう」=「資産運用」という発想

老老介護によって自分が働く時間がなくなる不安がある場合は、老老介護が始まる前から「お金に働いてもらう」という視点を持ち、早くから資産運用に取り組むことが重要だ。

資産運用に費やさなければならない時間は ?

資産運用の方法によっても異なるが、時間を費やさなくても堅実なリターンを狙える以下のような投資もある。

  • リスクを分散させる「バランス型の投資信託」
  • 保有しているだけで安定的に金利収入を得られる「外貨預金」 など

これらの基本は「バイ&ホールド」、つまり購入したあとは長期保有するのが賢明な選択といえる。

資産運用に「正解」はあるか ?

個人によって許容できるリスクや目指すリターンが異なるため、資産運用に「正解」はない。また、資産運用の方法によって難易度も異なる。しかし、すべての資産運用が難しいわけではない。

自分に合った適切なポートフォリオを組むことができればリスクをある程度コントロールできるため、堅実なリターンが期待できる。

初心者が資産運用を検討するときの相談先

一方で自分にとって適切なポートフォリオを組むためには、ある程度の知識が必要となる。そこで頼りにしたいのが、資産運用の専門家などだ。ここでは、代表的な相談先を5つ紹介する。

銀行

銀行は、なにより金融機関としての信頼感が大きく安心して利用できる点がメリットだ。実店舗があり、窓口で気軽に相談もしやすい。資産運用のほか融資の相談もすることができる。幅広い金融商品についてまんべんなく知識を持っている担当者や事例の取り扱いが多い点も魅力だ。

証券会社

証券会社は、株式投資や債券投資、投資信託に関する専門的な知識が豊富な担当者が多い。担当者がつく場合は、現在の相場状況などを踏まえた提案をしてもらえることも心強い。ネット証券の場合は、インターネットで口座開設や運用管理がしやすいという特徴がある。

保険会社

貯蓄型保険や外貨建て保険で資産運用を行う場合は、最終的に保険会社へ相談することになるだろう。ただし保険会社では、一般的な株式投資などに直接投資することはできない。

FP

FP (ファイナンシャルプランナー) には、お金に関する幅広い悩みを相談可能だ。自分が目指しているライフプランをどのように実現するかについて、一緒に考えてもらえる。ただし、FPによって得意分野が異なることには留意したい。

IFA

IFA (独立系金融アドバイザー) は、投資信託などの金融商品を直接扱うことができる。どのIFAに相談するかによって異なるが、FPがライフプランニングに重きを置く傾向が強いのに対して、IFAはより専門的な資産運用のアドバイスを得意とすることが多い傾向だ。

老老介護は他人事ではない

老老介護の比率は年々高まっており、決して他人事ではない。老老介護では、肉体的負担はもとより経済的負担も大きくなる可能性がある。

今からできる備えとしておすすめしたいのが、資産運用だ。自分に合ったポートフォリオを組むことができれば老後の不安も払拭できるだろう。まずは、金融機関などで資産運用について相談することから始めてみてはいかがだろうか。

(提供:大和ネクスト銀行


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