この記事は2024年4月19日にSBI証券で公開された「調整相場で買い好機の好業績銘柄を探」を一部編集し、転載したものです。
目次
調整相場で買い好機の好業績銘柄を探る
東京株式市場では調整気味の展開が続いています。日経平均株価は3/22(金)取引時間中に過去最高値41,087円を付けた後、4/17(水)には38,000円割れまで下落しました。
(1)金融緩和期待が後退し米国株が下落、(2)イスラエルとイランが交戦するなど地政学的リスクの高まり、(3)世界的半導体製造装置大手のASML社の受注が減少するなど半導体関連株にピークアウト感台頭、等が要因であるとみられます。
そうした中、東京株式市場では決算発表シーズンが本格化してきます。4/23(火)に発表のニデック(6594)あたりを皮切りに、4/26(金)が最初のヤマ場となり、5/8(水)~5/15(水)は連日で3ケタ社数の発表が行われる予定で、投資家にとっては気の休まらない日々が続くことになります。
決算発表の中心となるのは3月、12月決算等の企業です。決算発表前後では業績変動リスクが高まるので、決算発表直前の銘柄に投資する場合は十分な注意が必要です。逆に、決算発表を4/15(月)までに終わらせた2月、8月決算等の銘柄は、業績変動リスクが後退し、見直し買いのチャンスになり得ます。全般的に相場が調整気味となっているだけに、業績面からみて割安感が強まる銘柄も出てきているかもしれません。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、決算発表直後の銘柄(決算期が2月、5月、8月、11月)の銘柄を対象に、下落相場が買い好機になり得る好業績銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。
(1)東証プライム市場上場銘柄
(2)決算月・・・2月、5月、8月、11月
(3)業績予想を公表しているアナリストが3名以上
(4)直近四半期(3ヵ月)の営業利益が前年同期比黒字転換、または10%超の増益
(5)今期および来期予想営業増益率(Bloombergコンセンサス)が10%超の増益
(6)信用取引の規制銘柄に該当していない
図表の銘柄は上記条件のすべてを満たしています。掲載は(4)の営業増益率順(黒字転換が最上位)になっています。
掲載銘柄を解説!
こちらでは図表に紹介した銘柄の一部について、詳細にコメントいたします。
■サイゼリヤ(7581)~海外の回復がけん引。国内も黒字転換
パスタ、ドリア、辛味チキン等、安価な料理を特徴とするイタリア料理チェーンです。
24.8期2Q累計業績は売上高1,046億円(前年同期比24%増)、営業利益59億円(同555%増)と増収増益でした。営業利益の93%(24.8期2Q累計)を占めるアジア(中国中心)で、新型コロナウイルス感染症に関わる各種規制が緩和され、出店を積極化したことが奏功し増益となりました。国内も前年同期の赤字から黒字転換しました。
24.8期は売上高2,110億円(前期比15%増)、営業利益131億円(同81%増)が会社予想です。店舗セルフレジの導入、二次元バーコードと顧客携帯端末を使った注文方式の採用等、店舗DXを進めています。
株価は4/10(水)の決算発表後は、それまでの急騰に対する利益確定売りから急落しました。ただ、4/17(水)の陰線を4/18(木)の陽線がほぼ覆いかぶさる「つつみ足」的な形状になっており、チャート上いったんボトムを確認した可能性もありそうです。
■良品計画(7453)~積極的な出店で最高益を更新へ
製造小売り企業で、企画開発、製造、流通、販売までを一気通貫で手掛けています。国内535店舗、海外609店舗(24.2末)を展開するグローバル企業です。24.8期2Q累計業績は売上高3,198億円(前年同期比12%増)、営業利益240億円(同136%増)と増収増益でした。
新規出店に伴う店舗数の増加に加え、既存店も堅調でした。
24.8期は売上高6,400億円(前期比10%増)、営業利益480億円(同44%増)が会社予想です。売上高は国内外で出店を積極的に行い、営業利益は過去最高益を更新する見込みです。
3ヵ年計画の営業利益は25/8期610億円、26/8期750億円と最高益を更新していく計画になっています。
株価は4/12(金)の決算発表後、利益確定売りが目立ちました。ただ、最高益更新が期待される企業として、押し目は相対的に小さくなっているようです。
■ベイカレント・コンサルティング(6532)~8期連続増収・増益で最高益更新が続く
我が国を代表するリーディングカンパニーに戦略・デジタル・オペレーションなど幅広いテーマを支援する総合コンサルティングファームです。4/12(金)発表の24.2期本決算では売上高939億円(前期比23%増)、営業利益342億円(同14%増)と5期連続で2桁の増収・営業増益を達成。決算期変更の影響がなくなった17.2期から8期連続の増収・営業増益を続けており、最高益を更新中です。
コンサルティング市場は、デジタル技術を活用した変革(DX)を中心に、旺盛なニーズが継続しているようです。25.2期は売上高1,150億円(前期比22%増)、営業利益411億円(同20%増)が会社計画。中期計画では29.2期には売上高2,500円を目指し、EBITDAマージン30~40%を維持したいとしています。
配当性向20~30%、総還元性向40%が当面の株主還元方針です。4/12(金)の取締役会決議で、取得株数120万株(発行済み株式数の0.79%)、取得総額36億円、買付期間を本年5/1~5/24とする自社株買い(市場買付)計画を発表しています。
株価は自社株買いの発表を契機に、4/15(月)にはストップ高を演じました。企業成長にもかかわらず、株価は長期低迷していましたが、流れは変わるでしょうか。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。