[◯会社名◯]
(画像=株式会社秋川牧園)
秋川 正(あきかわ・ただし)
株式会社秋川牧園代表取締役社長
1966年生まれ。父である秋川実が創業した秋川牧園に大学卒業後入社。総合的な農業生産者として、自社の商品を中心とした全国的な総合宅配事業の立ち上げに従事。1997年ジャスダックに農業の会社として初めて上場、2022年4月に東証プライムへ移行。創業からの理念「口に入るものは間違ってはいけない」のもと、安心・安全な食づくりを行い、ナンバーワンの農園ブランドを目指す。
株式会社秋川牧園
1972年山口県山口市で創業。鶏肉・たまご・野菜・乳牛・黒豚・和牛の生産を自社でおこない、それらを使った冷凍食品や乳製品などの加工品をアミノ酸等の使用をせずに自社製造。卸売販売はもちろん、消費者に直接販売する個別宅配事業も展開。畜産分野での飼料用米での地域連携や野菜の環境配慮型の生産体制などが評価され、農水省や環境省などの受賞多数。

目次

  1. 健康で安全な食べ物を作る
  2. 全体最適を考慮したマネジメント
  3. 中国で理想の農業を追求した祖父からの影響
  4. 好きな農園ブランドは”秋川牧園”
  5. 秋川牧園からZUU onlineユーザーへ一言

健康で安全な食べ物を作る

冨田 :これまでの事業変遷について教えてください。

株式会社秋川牧園 代表取締役社長・秋川 正氏(以下、社名・氏名略) :当社は1972年から始まり、今期で52期目です。秋川家のポリシーである健康で安全な食べ物を作りたいという父の思いをきっかけに創業しました。現在は、鶏肉、卵、牛乳、野菜などの様々な品目について安心・安全を徹底的に追求しつつ、生産から加工、そしてお届けまでを一貫して行っています。

創業時は、安全な卵を作ることから始め、餌を通して農薬が入らない技術開発に取り組んでいました。その後、鶏肉も提供することを決め、無投薬で鶏を育てることに注力しました。苦労の末ではありますが無投薬で鶏を育てる技術開発に成功し、これが弊社の事業の成長に大きく繋がったのです。

その後、生協さんと協力する中で販売を拡大し、加工も自ら行っていきました。直近の20年、自社で生産した商品を消費者に直接届ける直販事業にも注力しています。今後は消費者の健康で豊かな暮らしを作るために、自社で生産する領域をさらに広げていきたいと考えています。

株式会社秋川牧園
(画像=株式会社秋川牧園)

全体最適を考慮したマネジメント

冨田 :経営判断をする上で最も重視していることは何ですか?

秋川 :主に2つあります。

1つ目はお客様の信頼を失わないことです。私たちの事業は、お客様からの信頼で成り立っています。単なる品質管理や生産管理だけではなく、私たちがどういうポリシーで商品を作っていくかという価値観を大切にしています。そのポリシーをぶらさないことが最終的に、消費者の皆さんの信頼に繋がっているのです。

2つ目は事業全体の最適解になっているかということです。当社は生産から販売まで一貫して行っており、継続的に食べていただける会員や生協の方々への食品提供することが事業のベースです。滞りなくお客様へ届けるためにも、全体最適を考慮してマネジメントすることを意識しています。

中国で理想の農業を追求した祖父からの影響

冨田 :これまでの経験から積み上がった経営者としてのルーツを教えてください。

秋川 :創業者である父の背中を見て育ってきたことが私のルーツになっています。私が6歳の時に父が創業し、1羽の鶏もいないところから会社が大きくなる過程をすぐそばで見ていました。子供の頃から父は決算資料の説明をしてくれました。小学生の私に借り入れや利益などを一生懸命説明してくれたことで、子供ながらにその背中を追いたいと考えたのです。さらに、小さい頃から実際に鶏の世話をしていたことで、一次産業の面白さを感じていました。また父は毎日夜遅くまで働いたり、経営者として様々な壁に当たっていましたが、私にはそれが楽しそうに見えました。

冨田:まさに英才教育とも言える環境ですね。その頃から食における安全性の重要さを教えていただいていたのでしょうか?

秋川 :いえ、秋川家の食づくりのポリシーは祖父の影響が大きいです。祖父は理想農業を追求するために、昭和初期に中国の大連市の郊外に秋川農園を作ったのです。当初、秋川農園はりんごがメインだったのですが、野菜・牛・豚・チーズ、ワインまで領域を拡大しました。最終的にはドイツから技師を呼んでビールを作ったのです。

また先代である父は、中国で生まれて12歳まで中国の農園で育ちました。祖父は父に対して口に入れるものは間違ってはいけないという言葉を口癖のように伝えていたそうです。秋川牧園の食に対する思想は祖父から始まっています。

好きな農園ブランドは”秋川牧園”

冨田:今後はどのような未来構想を描いていますか?

秋川 :私たちの強みである健康、美味しさ、サステナビリティを活かしつつ、より素晴らしい食品の生産、加工、販売を実現したいと考えています。まだまだ改善の余地があると感じているので、食べる方にもっと喜んでいただけるよう努力していきます。

また、農園や農業は本当に素晴らしいものであるということを消費者の方に伝えていきたいと考えています。しかし現状は、好きな農園ブランドを聞いても、多くの方が意識していません。私たちは、農園や農業が人々の健康や自然との共生において非常に重要であると考えています。

そしてゆくゆくは「私の好きな農園ブランドは秋川牧園だ」と皆さんに言っていただけるような存在になっていきたいと考えています。そのためにも、会員さんや消費者の方とのコミュニケーションをより大切にしていきます。最終的には日本だけでなく世界の皆さんからも認められる農園になりたいと思っています。

株式会社秋川牧園
(画像=株式会社秋川牧園)

冨田 :具体的にはどのような施策を進めようと考えていますか?

秋川 :現在の主力となっている養鶏事業に取り組みながらも、第2の大きな柱を作りたいと考えています。今のお客様を大切にしていきつつ、直販の宅配事業に力を入れていきたいと考えています。

秋川牧園からZUU onlineユーザーへ一言

冨田 :最後にZUU onlineユーザーへ一言お願いします。

秋川 :これまで日本国内で事業を展開してきましたが、今年の3月に中国の養鶏事業を連結子会社化しました。今後は海外展開にも力を入れていく予定です。日本の食文化は国際的に見ても非常に競争力があると考えています。今後は特にアジアを中心に、世界の皆さんにも食べていただけるように頑張っていきます。投資家の皆様にも応援していただけると幸いです。

冨田 :お忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。

氏名
秋川 正(あきかわ・ただし)
会社名
株式会社秋川牧園
役職
代表取締役社長