南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「国民統一政府(GNU)は健全に成立するか」南アランド見通し

「通貨5位、株価18位」
「予想レンジ 南アランド円8.1-8.6」                                          

(ポイント)
*ANCは連立政権ではなく国民統一政府の結成を狙う
*ただ過激なEFF、MKだけでなくANCからも反対がある
*白人政党と黒人政党の戦いも内包
*新政権樹立期限は6月16日
*GNU結成を選んだのは何故か
*1Q・GDPはマイナス成長
*南ア与党ANCは総選挙で過半数を割り込む
*政策金利は据え置き、インフレ懸念は弱まる
*資源価格 上昇一服
*豪BHP、アングロ買収断念を表明
*トリプル高のリズム崩れる
*4月消費者物価は若干低下
*15年ぶりの基礎的財政黒字を達成
*IMFが2024の成長見通しを0.1%引き下げ
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続く
*中国と南アの関係は強化されている

(選挙後の動きは少し落ち着いてきた)
ANCが過半数を割ったことで、南アの市況は冴えないが、小幅悪化に留まっている。選挙後大きく「トリプル安」が進んだメキシコペソと比較すれば、影響は小さい。

 選挙後の動きは以下の通り。5月22日につけた今年の高値は8.662。
現在、ランドは年初来12通貨中5位、株価指数(全株)は18位。


(ANCは国民統一政府=GNU=に期待をかける)
 ANCは、南アのさまざまなイデオロギー的に対立する政党に働きかけ、国民統一政府(GNU)を結成するよう交渉チームに指示した。
  国会に代表されるすべての政党からなる幅広い連立政権の樹立を試みるという決定は、ANCのラマポーザ党首が6月6日発表した。1994年の民主主義発足以来南アを統治してきたANCは、5月29日の総選挙で得票率が50%を大きく下回り、約40%の票しか獲得できなかった。
 その結果、党としては「雇用創出、包括的な経済成長、生活費の高騰、サービス提供、犯罪、汚職に取り組む」ためにGNUを結成することが「最善の道」であると考えている、とラマポーザ大統領は述べた。

GNUの一員となるためには、各政党は「共通の価値観、国家建設、結束」にコミットする必要があるとラマポーザ氏は述べた。これらの価値観には「憲法と法の支配の尊重、社会正義と公平、人間の尊厳、非人種主義、非性差別、安定性、透明性、誠実性、コミュニティ参加、良好な統治」が含まれるとラマポーザ大統領は述べた。

さらにラマポーザ大統領は、すべての合意は透明性が保たれ、関係者全員に責任を負わせる措置が講じられるべきだと述べた。そのため、同大統領は「測定可能な成長と包摂性に焦点を当てた共通の最低限のプログラム」の署名を求めている。

一部のアナリストは 、ANCがGNU結成を選んだのは、党員や支持者の一部に不人気な連立相手と明確に連携することを最終的に避けるための「より安全な」選択肢だったと述べている。

しかし、イデオロギーが多岐にわたるため、多様な利益を持つ複数のパートナーを管理する必要があるため、そのような政府内では潜在的な不安定性と行き詰まりのリスクが依然として存在する。

「ANCは、政治情勢において、いくつかの政党とイデオロギー的、政治的な相違があることを承知している。しかし、それが公共の利益であり、原則に沿うものである限り、我々はどの政党とも協力する可能性を排除しない」とラマポーザ大統領は述べた。

(1Q・GDPはマイナス成長)
1Q・GDPは前期比で0.1%減少した。予想は0.1%増。鉱業と建設部門の低迷が響いたとみられる。
前年比では0.5%増と、予想の0.6%増をわずかに下回った。計画停電や高い失業率などが成長の重しとなり、過去10年間停滞している。
10業種のうち6業種が縮小。建設業が3.1%、鉱業が2.3%、それぞれ縮小した。 中銀は今年の成長率を1.2%と予測しており、先月末の発表では2Qは改善が期待されるとの見通しを示した。