南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「市場が好むANC・DAの連立だが、問題山積の現実へ戻る」南アランド見通し

「通貨3位、株価18位」
「予想レンジ 南アランド円8.3-8.8」

(ポイント)
*連立政権樹立で合意 、ラマポーザ大統領の続投
*選挙後はトリプル高
*新政権発足後は数多くの問題に対処しなければならない
*ANC内部でもDAとの連立反対派がいる
*連立に加わらなかったEFF、MKの反発も気になる
*今週は消費者物価の発表
*最近の南ア関連の資源価格は
*1Q・GDPはマイナス成長
*政策金利は据え置き、インフレ懸念は弱まる
*豪BHP、アングロ買収断念を表明
*4月消費者物価は若干低下
*15年ぶりの基礎的財政黒字を達成
*IMFが2024の成長見通しを0.1%引き下げ
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続く
*中国と南アの関係は強化されている

( 連立政権樹立で合意 、ラマポーザ大統領の続投)
5月の総選挙でアパルトヘイト以降初めて議席の過半数を失った与党ANCが、自由主義経済を重視する第2党のDA(民主同盟)などとの連立政権の樹立で合意し、現職のラマポーザ大統領の続投が決まった。
 ANCは、「国民統合政権」を目指すとして、各党との連立交渉にあたってきたが、白人の支持者が多く自由主義経済を重視する第2党のDA民主同盟などと連立政権を樹立することで合意した。 
ラマポーザ大統領は、「選挙で示された国民の意思に基づき、各党が協力し合って、国民が直面する諸課題に取り組んでいこう」と呼びかけた。
ANC内部には、黒人への経済的優遇措置の撤廃などを主張するDAとの連立に反発する声もあり、今後、安定した政権運営が行えるかが焦点となる。

(総選挙大敗からの復活)
 6月は南アランドは最強通貨となっている。与党ANCが議会の過半数を割り、さらに予想より獲得議席数が下回ったショックからは考えられない進展であった。株価も一時年初来でマイナス圏に落ち込んでいたが、0.46%高に戻った。10年国債は買われ利回りは、10.36%まで低下した。いわゆるトリプル高だ。南アランドは年初来で対円では11.04%高、対ドルでは0.53%安で、12通貨中3位だ。2月頃は円と最弱通貨争いをしていたことを思い出すと驚きの展開だ。

(現実に戻れば問題山積であった)
 選挙前に与党ANCの支持率が急落していたのは以下のような多くの問題を抱えていたからであった。新しい連立政権でもそれは残り、改善出来ないと国民の不満は高まる。

・高い失業率
・電力不足と停電
・水不足
・物流混乱
・低成長
・財政赤字拡大
・凶悪犯罪多発
・政府機関にまん延する汚職

(今週は消費者物価と小売売上の発表)
 今週は早速、5月消費者物価の発表がある。予想は5.2%の上昇(4月は5.2%)、コアは4.6%の上昇(4月は4.6%)。今年初めには、政策金利が3月にも引き下げられると予想していたが、南アと米国両国でインフレが高止まりする中、2024年の最初の利下げは11月に実施されるとの見通しが強まった。インフレ率は中間目標である4.5%を上回っている。
 また4月小売売上の発表もある。

テクニカル(ランド円)                                  
 「切り返す」

 日足、6日連続陽線。ボリバン中位上抜く。6月12日-14日の上昇ラインがサポート。5月22日-6月14日の下降ラインが上値抵抗。5日線上向く、20日線横ばい。 
 週足、3週連続陰線の後、切り返す。ボリバン2σ上限へ。5月20日週-6月10日週の下降ラインが上値抵抗。6月3日週-10日週の上昇ラインがサポート。5週線上向く、20週線上向き。 月足、5月は3か月ぶり陰線も6月は盛り返している、2σ上限。3月-4月の上昇ラインがサポート。22年6月-24年5月の下降ラインが上値抵抗。5か月線、20か月線上向き。
年足、2023年は円とデッドヒートを繰り返しほぼ同位の10位。今年は円を大きく引き離す。21年-23年の上昇ラインがサポート。08年-22年の下降ラインを上抜く。 




喜望峰                                    

「最近の南ア関連の資源価格」

 ここ1週間の南ア関連の資源価格動向。4月26日のBHPグループのアングロアメリカン買収宣言から上昇していたが、買収断念で上昇の勢いは弱まっている

・金 1.71%高
・銀 1.34%高 
・銅 0.26%高
・白金 0.73%安
・パラジウム 2.11%安