本記事は、星友啓氏の著書『スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長が教える 脳が一生忘れないインプット術』(あさ出版)の中から一部を抜粋・編集しています。

目的
(画像=Kiattisak / stock.adobe.com)

インプット前に目的を設定すると4つ得する

情報を探そうと思ったとき、最初に何をすべきでしょうか。

そう、インプットの目的を設定することが、良い情報を嗅ぎ分けるためにも第一歩になります。

なぜ自分がインプットをしようとしているのか? その目的は何なのか? 情報を探し始める前に、はっきりさせておきましょう。

【目的設定】することで、メタ認知によってインプットのクオリティーがアップすると解説しました

つまり目的の設定は、「メタ認知によるインプットのクオリティーのアップ」「パフォーマンスのアップ」「モチベーションの維持」の3つを同時に得ることができるのです。そしてさらにもう1つ、情報の良し悪しを判断するのにも効果的です。

しかし、情報の信憑性の評価に【目的設定】が肝心だということは、なかなかピンと来ないかもしれません。

なぜなら、結局のところ情報は本当かウソかの2択であり、自分の目的によって情報の良し悪しが変わるわけではなく、目的を設定しても結局は、インプットしようとしている情報を見ないことには何とも言えないように思えるからです。

情報を実際に見る前から、目的を意識することが、なぜそれほど大事なのでしょうか?

確かに、情報の真偽自体は【目的設定】に左右されるものではありません。

それでも【目的設定】が情報の評価に重要なのは、情報の真偽を完全に確認するのに、しばしば大変な労力を要するからです。

それだけではありません。明らかにされている情報だけでは真偽を完全には判断できないようなことも多々あります。

インプットする情報を探す際、毎回時間と労力を十分にかけて、完全に真偽を確認できればそれに越したことはありませんが、現実的に、そうすることは叶わないのです。

そこで、【目的設定】が大切になってきます。

自分の最終的な目的を改めて確認した上で、どの程度の情報評価が必要なのか、情報収集にどれくらいの時間を割けるのかを考える必要があります。

例えば、自分の父親に伝える目的で簡単な調べものをするなら、スマートフォンでざっと確認するくらいでいいかもしれません。もし仮に後で間違っていることに気づいても、すぐに訂正できて、取り返しがつきやすいでしょう。

一方で、商品の宣伝に使う情報であれば、もう少し注意が必要です。誤った情報を使ってしまっては、商品や会社のイメージに影響が出てしまいます。

しかし、その情報もエコ商品の宣伝でチラ見せする程度の使い方であれば、国際会議での発表のためのリサーチほどには、時間と労力をかけて情報を吟味する必要はないかもしれません。

これはある種、悲しい現実ではあります。しかし、特に現代の情報社会においては、どんな情報収集にも共通する現実です。

私たちが手にする情報には、信憑性が高いものもあれば、低いものもある。そして、それを毎回完全には確認できない。信憑性が高いものであっても、最終的には間違っていたということだってよくあることなのです。

そうした前提をしっかりと意識して、自分の目的に合わせて、どの程度情報を吟味することができるのかを判断することが大事です。

だからこそ、限られた時間でインプットする情報の質と量を最大化するためには、【目的設定】が欠かせないのです。

脳が一生忘れないインプット術
星友啓
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長/哲学博士/EdTechコンサルタント

1977年東京生まれ。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。その後渡米し、Texas A&M大学哲学修士、スタンフォード大学哲学博士課程修了。同大学哲学部講師として論理学で教鞭をとりながら、スタンフォード・オンラインハイスクールスタートアッププロジェクトに参加。2016年より校長に就任。現職の傍ら、哲学、論理学、リーダーシップの講義活動や、米国、アジアにむけて、教育及び教育関連テクノロジー(EdTech)のコンサルティングにも取り組む。著書に『スタンフォード式 生き抜く力』(ダイヤモンド社)、『脳科学が明かした! 結果が出る最強の勉強法』(光文社)、『全米トップ校が教える自己肯定感の育て方』『脳を活かすスマホ術』(いずれも朝日新聞出版)、『スタンフォード・オンラインハイスクール校長が教える子どもの「考える力を伸ばす」教科書』(大和書房)、『スタンフォードが中高生に教えていること』『「ダメ子育て」を科学が変える! 全米トップ校が親に教える57のこと』(いずれもSBクリエイティブ)がある。

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