総括
FX「GDPなど指標悪化、若者失業率13.2%、ただ人民元は年間で大きく荒れず」人民元見通し
(通貨6位、株価18位)
予想レンジ 人民元/円 21.2-21.7
(ポイント)
*トランプ次期大統領候補は中国に60-100%の追加関税を課すと発言
*株価低迷、金利低下も人民元は安定
*経済の見方は、海外悲観、中国楽観(強がり?)
*株安、金利低下が経済の実体か
*2Q・GDPなど指標は悪化、若者失業率は13.2%
*3中総会で景気対策が出るか
*対円では年初来高値更新後、急落
*米下院議長は中国批判
*デフレリスクは消えず
*乗用車販売が3カ月連続減少
*米国経済を中国から切り離すべき(トランプ前大統領高官)
*G7首脳、中国過剰生産に懸念表明
*中国の米国債保有額、2009年ぶりの低水準に
(人民下の位置)
いつものことだが、海外は中国経済を不安視しているが、中国政府からは「堅調な経済」を強調する発言が多い。
7月は日銀の円買い介入もあり、ドルが下落、ドル主軸のバスケット制をとる人民元も下落している。ドルがここまで月間9位、人民元は7位。年間ではドルが3位、人民元が6位。為替については公開されていない介入も実施していることもあり年間では安定している。
(株安、金利低下が経済の実体か)
株は依然安い。株価対策も真剣に行われているように思えない。上海総合指数は年初来0.2%安。香港ハンセン指数は、今年は一時14%高もあったが現在は4.06%高だ。やはり海外資金が流出している。低インフレだが、株も安く投資対象は長期国債に振り向けられ、現在は2.23%、年初は2.59%。人民銀行は国債を売却して金利安定を図っている。
(2Q・GDPなど指標は悪化、若者失業率は13.2%)
中国の2Q・GDPは前年比4.7%増加で、1Qの5.3%増から鈍化し2023年1Q以来の低成長となった。長引く不動産不況と雇用不安が内需を圧迫。 また6月鉱工業生産が前年比5.3%増で5月の5.6%からは減速。小売売上高の伸びは2.0%で5月の3.7%から減速、22年12月以来の低さとなった。
新築住宅価格は前年比4.5%下落と約9年ぶりの大幅下落率。1-6月の不動産投資は前年比10.1%減、不動産販売は19.0%減少した。
失業率は5%で5月と変わらず。6月の若年層(16-24歳、大学生を除く)の失業率は13.2%と、前月の14.2%から低下した。
大学生を除く25-29歳の失業率は6.4%と、こちらも6.6%から低下。30-59歳の失業率は横ばいの4%だった。
6月貿易収支では輸出が前年比8.6%伸びたが、輸入は国内消費低迷で2.3%減となった。
(中国政府は楽観)
国家統計局は15日、今年の中国経済の「半期報告書」を発表した。「短期的に見ると、経済成長率が2Qに低下したのは、異常気象や水害の多発といった短期的な要素の影響によるものだ。しかし経済の安定運行と長期好転のファンダメンタルズは変化していない。2Qの経済規模は32兆元を超え、工業付加価値額及び物品貿易額は10兆元を超えた。総量の規模は依然として大きい」と述べた。
さらに「中国経済は依然として好調だ。1QのGDP成長率は米国、ユーロ圏、日本などを上回った。2Qは国内外の情勢と結びつけると、上半期の中国の経済成長率はリードを保つ見込みで、依然として世界経済成長の重要なエンジンと安定的な力になる」と述べた。
(3中総会は)
15日から本日迄開催される中国共産党の重要会議、第200期中央委員会第3回総会(3
中総会)で発表される政策に注目が集まっている。
企業や消費者の心理が低迷しており3中総会は信頼感を高めることを目指すとみられ
る。しかし成長促進と債務削減といった相反する目標が掲げられ、改革の実施に向けた進展はほとんどない可能性がある。