特集「令和IPO企業トップに聞く 〜 経済激変時代における上場ストーリーと事業戦略」では、IPOで上場した各社のトップにインタビューを実施。コロナ禍を迎えた激動の時代に上場を果たした企業のこれまでの経緯と今後の戦略や課題について各社の取り組みを紹介する。

TWOSTONE&Sons
(画像=株式会社TWOSTONE&Sons)
河端 保志(かわばた やすゆき)――代表取締役CEO
1989年生まれ。埼玉県出身。電気通信大学大学院在学中に、「エンジニアの価値向上」を目指して株式会社Branding Engineer(旧社名)を創業、代表取締役CEOに就任。 代表取締役CEOとして、会社の先頭に立ち新規事業の立案や企業との提携など、自ら会社の成長をけん引。2020年7月に東証マザーズ上場を達成。2023年6月にホールディングス体制に移行し、株式会社TWOSTONE&Sonsに社名変更。
TWOSTONE&Sonsは、エンジニアプラットフォーム事業と、マーケティングプラットフォーム事業を主軸にサービスを提供するホールディングカンパニーです。プロダクト開発からマーケ支援まで、ITやDXに関する企業のあらゆる課題を解決するためサービスを展開しております。

目次

  1. 事業の変遷について
  2. 上場した背景や思いについて
  3. 今後の事業戦略や展望
  4. 今後のファイナンスや重要テーマ
  5. ZUU online ユーザーに向けて一言

事業の変遷について

ーー貴社の事業変遷におけるターニングポイントを教えてください。

株式会社TWOSTONE&Sons 代表取締役CEO・河端 保志氏(以下、社名・氏名略) :弊社の事業でターニングポイントとなったタイミングは、事業をプラットフォームに転換した時とホールディングス体制への移行・社名変更した時の2回あります。

1回目に関して、私たちはシステムの受託開発からエンジニアのマッチングプラットフォームに主力事業を転換しました。 このきっかけは学生起業するに至った志にあります。共同代表である高原と共に「エンジニアの価値向上」をしたいと思い創業したのですが、学生起業であったため創業当初はサービスを開発するだけの十分な資金がありませんでした。そのため受託開発にて資金を蓄えつつ、並行してサービス開発を行おうと考えていましたが、進めていく中でそのやり方では本来の目的に向けたスピード感に限界を感じるようになりました。そこで受託開発のリソースをなくし、当初の志を叶えられるサービス提供に転換する決断をしました。その時に立ち上げた「Midworks」という企業とフリーランスエンジニアマッチングサービスを中心としたエンジニアマッチングプラットフォームサービスは、現在の弊社の主軸事業のひとつです。

そして、2回目はホールディングス体制への移行・社名変更をしたタイミングです。 ホールディングス化した理由の一つとして、優秀な若手や人材へのポジション創出があります。今の優秀な人材は、どこで働くかよりも“その場所で何ができるか”を重要視します。 しかし会社規模が大きくなると、どんどん自分の貢献度は見えづらくなりがちです。ホールディングス体制となり、組織が細分化されることで新たなポジションが生まれ実力も高く裁量権を求める人材にそのポストを与えることができます。事実、新卒4年目でグループ会社の代表に就任した実例もあります。 今後も若手にポジションを与えると共に、もう一つの理由であるM&A戦略を絡めていくことでグループ間の連携をより強化していけると考え、ホールディングス体制へと移行しました。

これが私たちの事業変遷におけるターニングポイントであり、大きく事業を成長させることができたタイミングだったと感じます。

上場した背景や思いについて

ーー上場した背景にはどのような思いがありましたか?

河端:一番は事業を伸ばすためです。 私たちのビジネスで事業を伸ばすためには、取引企業からの与信やエンジニアからの信頼が必要だと考えていました。

Midworks」は私たち代表2人がエンジニア出身であることからエンジニア目線で作ったサービスであり、エンジニアが満足するサービスであることに重点を置いています。そのためには、単価やスキルアップ・環境などの要素が挙げられる中で、単価は取引先が持つ要素です。

大手企業とやり取りを行い高単価の案件を獲得するためには、私たちが先方企業の信用を獲得できるかという要素が非常に重要となります。与信を増やすことで高単価の案件獲得につながり、またそれを積み重ねると会社自体の知名度も向上するといった、正のサイクルが回ります。またこの正のサイクルはエンジニア側にも同様であり、企業としての与信を高めることはエンジニアからも信頼されることにつながり、多くのエンジニアの方々が弊社のサービスに登録していただけます。

大手企業からの与信やエンジニアからの信頼を高めることを一番の目的として上場を果たしましたが、知名度が向上すると、採用の底上げにもつながってきます。実際に採用活動、特に新卒採用にも効果を感じており、上場前と異なる人材が入社してくれるようになり人材戦略にも効果がありました。

今後の事業戦略や展望

ーー今後の事業戦略や展望について教えてください。

河端:今後も引き続き、エンジニアの価値向上、そして柔軟な雇用の促進に努めていきたいです。 エンジニアの価値向上は、すなわち委託案件の単価向上です。国内で金融緩和し続けることでどんどんインフレしていきますし、そうなるとエンジニア自身が報酬を上げていかないと、その分生活は苦しくなっていきます。そこで私たちが提供するサービスの案件の単価向上を通じてエンジニアが豊かになる、そしてエンジニアが豊かになることで、そのマージンを受け取る私たちの従業員も豊かになるというWIN-WINな流れを目指していきます。

また柔軟な雇用の促進もしていきます。日本の雇用形態は終身雇用が根付いていますが、私はこの常識を不合理に感じると同時に疑問視しています。 私たちのサービスは、これまでの終身雇用の体系ではなく、スキルの高い個人事業主や業務委託の雇用を増やすことで、日本国内に優秀な人材を流動化させ日本経済を発展させていくことを目指していきます。そのために今後もエンジニアに限らず「フリーランス」という雇用を広めていきたいと考えています。

今後のファイナンスや重要テーマ

ーー今後のファイナンスや重要テーマについて教えてください。

河端:今後注力するテーマは、自己資本比率の改善(※)とM&Aの2点です。 ファイナンス戦略としてまずは今の自己資本比率の改善が喫緊になっています。 また、これまで再現性が高くPMIがしっかり取れているM&Aをすることができています。今後も事業成長につなげるべくM&Aを積極的に行っていきますが、資金も必要になってくるので都度マーケットの状況に合わせ最適な解を見つけて適切な意思決定をしていきたいです。

※2024年4月に海外募集による新株式発行を実施したことにより17.7億円の資金調達を行い、自己資本比率の改善を図っております。

ZUU online ユーザーに向けて一言

ーーZUU onlineユーザーに向けて一言お願いします。

河端:私たちは個人投資家の方々を大事な存在だと考えており、市場の中でも個人投資家への発信を強化している企業の1社であると思います。個人投資家の皆さんに興味を持っていただけるよう、今後も発信には力を入れていきます。もしクォーター毎の決算説明会にご参加いただけた際には、ご質問いただければ全て私自身の言葉で答えさせていただきます。

中長期で、さらに認知される企業を目指すべく誠心誠意努めていくつもりですので、今後とも応援をよろしくお願いします。

氏名
河端 保志(かわばた やすゆき)
社名
株式会社TWOSTONE&Sons
役職
代表取締役CEO

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