メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「円買い介入、テスラショックで続落。株も弱く、債券も売られるトリプル安」メキシコペソ見通し

予想レンジ 8.1-8.6

(ポイント) 
*円買い介入にテスラショックで続落。株も弱く、債券も売られるトリプル安
*7月前半消費者物価はヘッドラインで上昇、コアは低下
*ロペス・オブラドール大統領がトランプ氏へ書簡
*米共和党はメキシコの麻薬組織撲滅を検討中
*IMF成長見通し下方修正
*フィッチ、メキシコの2024年の成長予測を2.2%に下方修正
*今後の指標の流れ、8月8日の政策金利決定までは
*ニアショアリングのためのビジネス諮問委員会を設置
*中銀ヒース副総裁発言はペソを押し上げ、一方メヒア副総裁は利下げ派
*対米輸出好調。郷里送金もまずまず、ニアショアリング好調
*2026年USMCA改定への議論開始、米国大統領選挙でも言及されよう
*4Qには米大統領選。トランプ不安はある
*メキシコの格付けはジャンク債の手前
*米墨インフレ格差、金利差、景況感格差の指標でデコボコな動き

(円買い介入にテスラショックで続落。株も弱く、債券も売られるトリプル安)
 7月は一時、高値の9.091円から安値8.185円まで9.97%の下落、年間でも昨日は円より安くなったが、現在はかろうじて僅かに陽線に回復した。月間では5.01%下落。2年連続世界最強のメキシコペソが今年は苦しんでいる。年間では0.48%上昇。6月の大統領選挙後(財政赤字拡大懸念)が特に弱い、7月は日銀円買い介入と、テスラのメキシコでの「ギガファクトリー」建設工事の一時停止観測でも下落した。
 10年国債利回りは10.38%で今月は10.19%から上昇、ボルサ株価指数は年初来7.76%安で主要株価市場で最弱だ。

(テスラショックとは)
 テスラのイーロン・マスクCEOは、メキシコで新たな巨大工場を建設する同社の計画は、トランプ前大統領がメキシコで製造された自動車に関税を課すと公約したため、米大統領選挙後まで一時停止されると述べた。
 「トランプ大統領はメキシコで生産された自動車に重い関税を課すと言っている。もしそうなるならメキシコに多額の投資をするのは意味がない。だから政治的にどうなるか見守る必要がある」とマスク氏は説明した。

(7月前半消費者物価はヘッドラインで上昇、コアは低下)
 消費者物価は7月前半で前年同期比5.61%上昇し、予想の5.38%を上回った。
コアインフレ率は前回の4.08%から4.02%に鈍化し、予想と一致した。
 コア指標の改善を優先し、利下げを行うだろうという予想もある。8月の金利決定は利下げか再度の一時停止かのコイントスとなる。もちろん、直前に開催されるFOMCの声明も影響する。目標物価はインフレ率3%プラスマイナス1%。
 
(ロペス・オブラドール大統領がトランプ氏へ書簡)
 ロペス・オブラドール大統領はトランプ氏を「友人」と呼び、米国とメキシコの国境を閉鎖したり、米国に麻薬を持ち込んだのは移民のせいにしたりしないよう警告する手紙をトランプ氏に送る。 
 書簡の中で、両国間の経済的相互依存関係を理由に、国境を閉鎖しても問題は解決せず、実施も不可能であると主張する。また、移民が国境を越えて麻薬を持ち込むことはないこと、自動車生産を米国に戻すと米国民のコストが車両1台あたり1万5000ドルから2万ドル増加することを証明する。
 ロペス・オブラドール大統領の発言は、自動車製造工場のメキシコへの移転をめぐって米国内で不安が高まり、米国経済への影響が懸念される中でなされた。
 両首脳は過去に緊張関係にあったものの、表面上は友好的な関係を維持しており、ロペス・オブラドール大統領は米国とメキシコの国境を通過する移民を減らすためにメキシコ国家警備隊を使うことに同意している。この書簡は来週送付される予定だ。

(直近の指標、今後の焦点)
 今後は、7月30日の2Q・GDP、8月8日の7月消費者物価を経て同日の政策金利決定となる。
先週発表された経済指標は以下のように弱かった。

*5月経済活動指数
前月比 +0.7% 前月-0.6% 予想+0.3%
前年比 +1.6% 前月+5.4% 予想+1.4%

*5月小売売上
 前月比 +0.1% 前月+0.5% 予想+0.4%
 前年比 +0.3% 前月+3.2% 予想+3.5%