この記事は2024年8月9日にSBI証券で公開された「株価急落で買い好機?好決算プライム銘柄」を一部編集し、転載したものです。
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目次
株価急落で買い好機?好決算プライム銘柄
8月の東京株式市場は波乱の展開になりました。特に8/5(月)には日経平均株価が前週末比4,451円下落し、1987/10/20(火)の3,836円下げた急落(前日月曜日におけるNY市場のいわゆる「ブラックマンデーの急落が影響」)を上回り、過去最大の下落幅を記録しました。8/5終値31,458円で7/11(木)の過去最高値42,224円(終値基準)から25.5%の下落率となりました。
株価急落の要因としては、日米で金融政策の方向感に相違が強まり、円高・ドル安が進んだことが大きいと考えられています。米国で景気減速・悪化懸念の高まりを受け、利下げ加速観測が強まったのに対し、日銀が予想外の利上げを実施しタカ派的姿勢を見せたことで、円高・ドル安が加速しました。円キャリートレードの巻き戻しを通じ、日米で株安が共鳴する展開になりました。
ちなみに、今回の下落と比較される「ブラックマンデー」が発生した1987年は、主要国の間で金融政策の方向感に相違が生じていたことや、NTT上場(87年2月)を契機に個人投資家の資金が株式市場に流入した後に生じたこと、地政学的リスク(米国によるイラン海上油田の攻撃)の存在など、今回の下落との類似点の存在が指摘されています。
仮に、今後の日経平均株価が1987/10/20以降の動きと近い動きをするならば、当面は上値の重い一進一退の動きが続き、本格的反転まで4~5カ月を要する可能性があります。
ただ、1987年と異なるのは、今回は急落の当日に商いを伴いながら下げたことです。「ブラックマンデー」の急落ではほとんどすべての銘柄が売り気配のまま推移し、比例配分で終わりました。また、現在は自社株買いの制度があり、企業にも防御システムが備わっていることも異なります。
8/7(水)の内田日銀副総裁の発言にもあるように、株価下落が続けば日銀が追加利上げを行う余地は狭まります。また、円高・ドル安の進展で、その分インフレ懸念も後退しています。もみ合いが続く可能性が残るものの、日経平均がすでに8/5(月)の下げで当面の安値を付けている可能性も大きそうです。
こうした中、24年4~6月期の決算発表は粛々と進捗しています。8/7(水)には、ソニーグループ(6758)、ソフトバンクグループ(9984)、レーザーテック(6920)といった東京株式市場の主力銘柄について決算発表が終わりました。
企業業績の方向感を示唆する日経平均の予想EPS(1株利益)は過去最高水準で推移しています。円高で利益の目減りが懸念されるリスクは、日経平均の予想PERが7/11の17.5倍から8/7には14.5倍に下がり織り込みが進んでいます。株価が落ち着き、好業績銘柄が上昇しやすくなる状況になってきたかもしれません。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、決算発表が終わった3月決算銘柄の中から、好業績銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。
(1)東証プライム市場に上場
(2)3月決算銘柄
(3)予想EPSを公表しているアナリストが3名以上
(4)7/24(水)~8/7(水)に決算発表を実施
(5)広義の金融を除く
(6)25.3期1Q(24.4~6期)営業利益が事前の市場予想(Bloombergコンセンサス)を上回り、前年同期比20%超増益
(7)25.3期会社予想営業利益が以下の条件をすべて満たしていること
・市場予想に対しかい離率が-5%超
・前期比10%超の増益見通し
・今回の決算発表で前回予想から下方修正されていない
(8)8/7(水)終値が7/11(木)終値に対して10%超下落
(9)取引所または日証金による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は、上記(1)~(9)の条件をすべて満たしています。掲載は、(6)の1Q営業増益率が高い順としています。
一部掲載銘柄を解説!
アドバンテスト(6857)~AI(人工知能)向け半導体テスタに強く市場シェア向上
■半導体テスタのトップ企業。GPU向けでは圧倒的
当社は半導体テスタのトップ企業です。テスタは半導体製造工程で複数回、製品に欠陥があるか否か検査を行う装置です。これまで、米テラダイン(TER)と市場のシェアを二分してきました。半導体テスタ市場の当社世界シェアは、2017年36%から、2023年58%と拡大傾向で、当社の地位が向上しています。
AI(人工知能)向け半導体のテスタ市場では圧倒的なシェアを有しています。AI半導体最大手であるエヌビディア(NVDA)は、GPUに台湾TSMCのパッケージ技術を採用していますが、同技術の半導体テスタ市場ではシェア8割と推測されています。
業績は半導体市場の拡大を背景に、21.3期~23.3期までは3期連続で増収増益を確保してきました。しかし、メモリ等半導体市場の調整を受け、24.3期は減収減益となっていました。
■第1四半期は好調。通期業績予想を上方修正
7/31(水)に発表された25.3期1Q(24.4~6期)決算では売上高が1,387億円(前年同期比37%増)、営業利益が313億円(同119%増)と大幅増収増益を確保しました。前年同期の水準が低かったことで変化率が大きくなった面もありますが、前四半期比でも4四半期連続で増収を確保しています。台湾向けが前年同期比65%増とけん引しました。
1Qの好業績を受け、会社側は25.3通期の業績を以下のように修正しました。
・売上高 5,250億円→6,000億円(前期比23%増)
・営業利益 900億円→1,380億円(同69%増)
・純利益 670億円→1,050億円(同68%増)
AI向け半導体は複雑かつ高価であり、歩留まりや信頼性をあげるために、多くのテストが行われるようになっているようです。複数機能を1つの機能に集約したSoC(システム・オン・チップ)向けが半導体の複雑化を背景に想定以上の需要が見込まれる他、メモリ向けも伸長が見込まれます。
25.3通期の為替前提は1ドル140円→143円に、1ユーロ155円→158円に修正されました。想定為替感応度(1円の円安が営業利益に与える影響)はドルが9億円、ユーロが-3億円とされています。前提の変更が予想営業利益を18億円程度押し上げた形です。
株価は7/31(水)の好決算発表を受け、8/1(木)に7,000円まで回復した後は、市場全般の下げを受けて調整中です。市場コンセンサスでは、25.3期、26.3期とも50%程度の営業増益が予想されており、出直りに期待したいところです。
▽日足チャート(1年)
データは2024/8/9 (日足)10:30時点。
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
▽業績推移(百万円)
※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
ミスミグループ本社 (9962) ~「メーカー」×「流通」。製造業向けECサイトを展開。中国で回復強い
■「メーカー」×「流通」。確実短納期と顧客の作業削減を掲げる製造業向けECサイトを運営
メーカー事業と流通事業を併せ持った企業です。製造業向けに、FA機器の部品や金型、工具等を提供。徹底的な「確実短納期」により、顧客の工数削減(ムダな業務、作業削減)を実現できることが強みであり特徴。顧客への「時間価値」の提供を掲げています。
主な事業セグメントは以下の3つです。
「メーカー」としては、自動機(FA機器)の標準部品をメインに扱うFA事業 (24.3期売上高構成比:32%)、自動車や電子・電気機器の金型部品を扱う金型部品事業(同:22%)があります。商品の標準化を行うことで、時間を大幅短縮している点が特徴です。通常の部品調達では、図面で発注したものをメーカーに製作を依頼するため納期は2~4週間かかります。しかし、同社は図面不要、顧客はECサイトで、800垓(1兆の800億倍)のバリエーション(サイズバリエーションを含む)が選択可能です。そのため、納期が1~2日と大幅短縮が可能となります。
「流通」を担うVONA事業(同46%)では、自社ブランド以外も取り扱うECサイトを運営。国内外の取扱メーカーは3,000社以上に上ります。
■過半が海外売上
日本発、確実短納期を可能にするミスミ生産方式をグローバルでも展開。海外顧客が6割以上を占め、海外売上高比率は53%(24.3期)。うち中国が31%、インドを含むアジア29%、米国22%、欧州13%他という構成です。中国が最大市場でしたが前期(24.3期)は市況回復が思わしくありませんでした。今期(25.3期)は、アジアが海外トップの売上高となる見通しを示しています。
■直近四半期は過去最高!中国で力強い回復を見せる
前期(24.3期)は、売上高3,676億円(前期比1.5%減)、営業利益383億円(同18%減)と減収減益。中国を中心に、世界的に設備投資需要が減少したことが重しとなりました。
7/26(金)発表の25.3期1Q(24.4‐6月期)決算では、売上高995億円(前年同期比10%増)、営業利益118億円(同31%増)と四半期ベースで過去最高を更新。円安のほか、中国の需要回復が貢献した格好です。
想定為替レートは1ドル=145円、1ユーロ=157円、1人民元=20円で維持。8/8(木)時点では、概ね同水準より円安水準に位置しています。為替感応度(営業利益への想定影響額)は、全取引通貨が平均1%変動した場合、売上高で約20億円、営業利益で約7億円を提示しています。中国の想定以上の回復は今後の業績計画の上方修正に期待感を抱かせますが、為替相場にも注意を払う必要があるでしょう。
■配当性向の引き上げを実施。自社株買い実施中
前期(24.3期)に配当性向を25%から30%に引き上げを実施。今期(25.3期)は業績回復に伴い1株当たり配当は36.62円(前期は27.47円)と増額される予定です。また、11/29まで総額上限200億円(実施累計54.3%)、株数上限1,200万株(同33.8%)で、自社株買いも実施中です。
▽日足チャート(1年)
データは2024/8/9 (日足)10:30時点。
*当社チャートツールを用いてSBI証券が作成。
*上記は過去の実績であり、将来の運用成果を保証または示唆するものではありません。
▽業績推移(百万円)
※当社Webサイトの業績表示ツールをもとに、SBI証券が作成。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。