メキシコペソ見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「日、週、月足がボリバン2σ下限。底打てるか。司法改革論に賛成意見は?」メキシコペソ見通し

予想レンジ 7.0-7.5

(ポイント)
*ペソ続落、司法改革での混乱長引くが反論もある
*日足、週足、月足のボリバン2σ下限で底打てるか
*メキシコ下院が司法改革案可決、上院は来週採決
*弱い8月製造業PMI
*来週は8月消費者物価と鉱工業生産
*ペソを弱くする7つの要因
*司法制度改革の容認論もある
*市場は司法改革をネガティブなものと捉えている
*メキシコ、司法改革をめぐる論争で米国、カナダ大使館との関係を凍結
*中銀、成長見通し引き下げ
*トランプ大統領なら経済摩擦拡大か
*円買い介入にテスラショックで続落
*2026年USMCA改定への議論開始、米国大統領選挙でも言及されよう
*メキシコの格付けはジャンク債の手前

(選挙大勝後はペソは実に弱い)
 6月2日の大統領選挙で大勝してからは実に弱い。6月月間は最下位、7月は10位、8月は最下位、9月も最下位スタートだ。年間でもトルコに抜かれ最弱だ。
 ここ数年はスーパーペソと呼ばれ栄華を誇っていたが、一転した。
株価(ボルサ指数)は9.98%安、10年国債利回りは9.92%。

(弱い8月製造業PMI)
8月製造業PMIは7月の49.0から48.5に低下した、2022年8月以来の最低水準となった。
国内外の市場での販売低迷により、企業は生産量、雇用、在庫を削減した。受注残総量は過去2年間で最大に減少し、短期的な生産見通しに暗い兆しを見せている。
企業が中国との熾烈な競争や米国国内の公共政策や市場状況に関しても高い不確実性を示した。企業が直面したもう一つの障害は、ペソ安とサプライヤーの資材不足により、電子部品、食品、包装材、鉄鋼などの品目の購入コストがさらに急上昇したことである。コスト圧力が約2年ぶりの高水準に達したにもかかわらず、需要の縮小により複数の企業が価格を据え置いたため、インフレは抑制された。
 また7月失業率は2.9%で6月の2.8%から悪化。

(来週は8月消費者物価と鉱工業生産)
 来週の焦点は8月消費者物価。前年比のヘッドラインが5.2%上昇の予想(7月5.57%)、コアは3.9%の予想(7月4.05%)。また7月鉱工業生産の発表がある

(メキシコ下院が司法改革案可決、上院は来週採決)
 9月4日、メキシコ下院本会議はALO統領が提案した司法改革案を賛成多数で可決した。賛成359票、反対139票。AMLO政権は2024年以降、メキシコの司法制度の変革を目的とした一連の法改正を推進しており、一部の人々の反発を招いている。メキシコの連邦判事と地方判事は8月19日以来、ロペス大統領が推進する司法改革計画に抗議して全国で無期限のストライキを開始した。しかし、与党とその政治同盟が上下両院で3分の2以上の議席を占めているため、下院の採決では賛成多数で法案が可決された。この法案は来週上院で採決される予定だ。

(ペソを弱くする7つの要因)
 ペソ安要因を整理すると、①メキシコ経済の減速、②財政赤字拡大懸念、③司法改革の混乱、④モルガン・スタンレーによる格下げ、⑤米経済の減速、⑥11月の米大統領選をめぐる不透明感、⑦円高とリスク回避の流れ、などになるだろう。

(政策金利の民間予想)
民間金融機関ではシティバナメックスやゴールドマン・サックスが、9月、11月、12月に25パーセントの利下げを予想、年末までに金利が10.00%に下がるとしている。来週は8月消費者物価の発表がある。