南アランド見通し
(画像=外為どっとコム マネ育チャンネル)

総括

FX「利下げ予想の政策金利決定は来週。中銀総裁は慎重」南アランド見通し

「通貨2位、株価13位」
「予想レンジ 南アランド円7.7-8.2」

(ポイント)
*南アランド2位堅持も円に迫られる。10年国債は9%割る
*来週政策金利決定、利下げ予想だが、中銀総裁はタカ派的見解を述べる
*2Q・GDPはプラ転も期待を下回る
*8月製造業PMIは悪化
*南アは中国に貿易不均衡改善を求む
*IMFは大胆な財政再建を求める
*消費者物価と生産者物価低下
*貿易黒字は6か月連続の黒字
*企業景況感が改善
*小売売上も好調
*雇用を除く経済指標は強い
*債券市場に海外資金が流入
*アゴア法適用継続で南アの対米輸出への恩恵続くが、ガザ問題で関係悪化も

(南アランド。2位堅持も円に迫られる。10年国債は9%割る) 
 南アランドは年間2位を堅持も円に迫られ、その差は3.51%。7月の介入前は15.97%引き離していた。
南ア全株指数は年初来5.82%高。10年国債利回りは、今後の利下げ観測もあり、今年のピークの11%から現在は8.99%まで低下している。

(政策金利決定は来週)
 クガニャゴ中銀総裁は、金利引き下げを正当化するためには、一定期間にわたり低インフレを維持する必要があると述べた。
 消費者物価(CPI)は8月に総合インフレ率が6月の5.1%から前年比4.6%に低下した。この低下は3年ぶりの最低インフレ率となり、2021年7月に記録された年間4.6%と同水準となった。
 しかし総裁は、7月のインフレ率の低下に触れ、金利引き下げへの楽観論は理解できるとしたものの、南ア国民には依然として慎重になるよう助言した。さらに、インフレ率が4.5%に向けて持続的に低下した場合にのみ、金融政策委員会は安心して金利を引き下げることができるだろうと付け加えた。

 公務員協会(PSA)は8月下旬、インフレ率の低下を受けて準備銀行に金利引き下げを求めた。24万5000人以上の公務員を代表するPSAは、年間CPIの引き下げについて、輸送費や食料費が下がることが期待されるため、消費者に安心感を与えるだろうと述べた。
 近年、借入コストと生活費の高騰により、家計は大きな負担を強いられている。PSAは、インフレ率はプラスに転じているものの、金利は現在最高水準にあると指摘した。

 PSAは中銀に対し、9月の会合で少なくとも0.25%の金利引き下げを検討するよう求めた。
 「このような決定は、家計への財政的圧力を軽減し、消費者の信頼を高めるだろう」と述べた。

(2Q・GDPはプラ転も期待を下回る)
 注目の2Q・GDP(9月3日発表)は前期比0.4%増、前年同期比0.3%増。それぞれ予想の0.4%増、0.5%増を下回った。個人消費と電力供給の増加に支えられたが、農業、鉱業、運輸部門はマイナス。中銀が今月から利下げを開始すると予想されていることは個人消費を引き上げた。1Qの前期比ゼロ成長からは伸びたが、停電解消による成長率アップを見込むの市場の期待には答えられずランドは下落した。
 ただ2025年の成長率予想は2.2%となり今年の1%から加速する予想だ(BER)。来日した南アのラモラ外相は、電力不足やインフレで低迷する南ア経済について「新たに発足した連立政権は経済再建に取り組んでおり、数年以内に5%成長が可能になる」と自信を示していた。

(8月製造業PMIは悪化)
 8月のアブサ製造業PMIは8月に再びマイナス圏に沈んだ。経済の見通しが明るくなり始めた矢先、予想を覆す結果となった。8月は8.8ポイント下落して43.6となり、50を下回るマイナス領域に再び戻った。2024年に入ってからこれまでの8か月のうち、5か月連続でマイナスとなっている。

(南アは中国に貿易不均衡改善を求む)
 中国を訪問中のラマポーザ大統領は、習近平国家主席と会談し、対中貿易赤字の縮小を望む意向を示した。
 大統領は「南アとしては、貿易赤字を縮小し、われわれの貿易構造に対処したい」と発言。「われわれは、より持続可能な製造業と雇用創出への投資を要請する」と述べた。
 習氏は両国関係を「新時代の全面的な戦略的パートナーシップ」に格上げすることを提案。南アの経済成長を妨げている慢性的な停電や港湾・鉄道の問題を解決するため、支援の用意があることを示唆した。