買収検討のソニーグループが追加出資にとどまりKADOKAWAの株価がストップ安
(画像=「セブツー」より引用)

ソニーグループが買収に向けた協議に入ったと報じられていたKADOKAWAの株価が、12月20日にストップ安となった。前日の終値が4389円だったKADOKAWAの株価は、15.95%下落し3689円まで値を下げ、20万6600株の売り注文を残した。

ソニーグループは19日にKADOKAWAとの資本業務提携の契約締結を発表しており、KADOKAWAの第三者割当増資をソニーグループが引き受ける。KADOKAWAは発行済み株式総数の8.5%に相当する約1205万株を発行し、ソニーグループは約500億円で取得する。

市場ではTOB(株式公開買い付け)によるプレミアムを期待した買いが入っていたが、追加出資にとどまったことから投資家らの失望売りとなった。

KADOKAWAの2025年3月期の連結業績予想は、売上高は2717億円(前年比5.3%増)、営業利益は163億円(同11.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億円(同20.9%減)と増収減益を見込んでいる。今期のKADOKAWAは、「BlackSuit(ブラックスーツ)」を名乗るハッカー集団によるサイバー攻撃で6月にシステム障害が発生し、通期決算で36億円の特別損失を見込んでいる。

一方で、KADOKAWAは大ヒット漫画作品『推しの子』のアニメ化の製作委員会のメンバーであり、これまでにも数多くの人気アニメ作品を手掛けてきた。2023年にはゲーム会社大手の任天堂、カプコンとそれぞれゲーム著作物の利用に関して提携しており、アニメやゲームなどのIP(知的財産)をベースにした成長戦略が拡大している。YOASOBIの世界的なヒット曲『アイドル』も、テレビアニメ『推しの子』のオープニング主題歌である。

また、2022年には東京五輪・パラリンピックをめぐる汚職事件で、角川歴彦氏がKADOKAWAの会長職を辞任している。現在、KADOKAWAの社長は夏野剛氏が務めている。