ファッション業界の株価上昇率ランキングを発表
(画像=「セブツー」より引用)

東京証券取引所は12月30日、今年最後の取引を終えて大納会を行なった。大納会には毎年その年に活躍したゲストを招き、立会終了の鐘を鳴らすのが恒例となっているが、今年は東証の元従業員がインサイダー取引に関与したとされる不祥事があり、ゲスト招待は見送られた。これまでは栗山英樹や長嶋茂雄、為末大らが招かれていた。

そんな湿っぽい締め日となったが、日経平均株価は3万9894円で取引を終え、年末値としては35年ぶりに最高値を更新した。さらに、今年の日経平均株価は1月4日の初値3万3193円でスタートし、12月30日の終値3万9894円で取引を終えて、この1年間でなんと20.19%も上昇した。

「セブツー」はこの1年、ファッション&アパレル関連株の動向を報じてきたが、1月4日初値から12月30日終値までの年間騰落率ランキングを作成した。対象は81銘柄で、このうち値上がりした銘柄は59銘柄で、値下がりした銘柄は22銘柄だった。81銘柄の単純平均は10.28%の上昇だった。

ファッション&アパレル関連81銘柄で株価上昇率のツートップは、スポーツ銘柄だった。今年はフランスで「パリ五輪」が開催され、米国では「51本塁打、51盗塁」を達成したロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平選手の活躍などもあり、スポーツへの注目が世界的に高まった。ちょっとしたジョギングや軽い運動で健康維持に努めるライトな層もますます増えて、スポーツ業界は活況だった。

ファッション&アパレル関連株81銘柄中の年間上昇率第1位はアシックスだった。上昇率は189.3%で、株価はこの1年間でほぼ3倍となった。アシックスは2023年12月期の通期連結決算で過去最高を更新したが、その勢いは2024年も衰えることがなく、通期での売上高を6600億円と予想していたが6800億円に上昇修正し、コロナ禍であった2020年度から4期連続の増収はほぼ確実となる。さらに、営業利益は初となる1000億円を見込んでおり、この勢いは2025年も継続しそうだ。

上昇率第2位はミズノで、上昇率は127.1%だった。ミズノの2025年3月期の中間期決算は、売上高は1196億1300万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は111億5100万円(同20.0%増)、親会社株主に帰属する中間純利益は80億9700万円(同4.1%増)で、売上高とすべての利益が過去最高を更新している。

上昇率第3位は「ニューヨーカー(NEWYORKER)」を展開するダイドーリミテッドだった。上昇率は122.5%だった。ダイドーリミテッドの株式を巡るアクティビスト(物言う株主)との1年半に及ぶ応酬劇が7月に決着し、2025年3月期の通期連結決算では長らく続いた営業赤字から脱すると見られている。一連の応酬劇の詳細は関連記事を参照いただきたい。

上昇率第4位は上昇率89.6%でストッキング大手のアツギだった。第5位は小嶋陽菜がプロデュースするブランド「ハー リップ トゥ(Her lip to)」を運営するHeart relationを完全子会社化し話題になったYutoriだった。上昇率は82.7%だった。Yutoriは2018年に創業すると、Z世代を取り込み業績を伸ばしてきた。2023年12月には東証グロース市場への上場を果たすと、M&Aによる船長戦略を軸としてこれまでに3件のM&Aを実施している。さらに、伊藤忠商事と「マリテ+フランソワ・ジルボー(MARITHÉ + FRANCOIS GIRBAUD)」事業に関する販売特約店契約を締結し、2025年春に東京にフラッグシップストアをオープンする予定だ。2025年も大注目のファッション&アパレル関連銘柄だ。

上昇率の第6位と第7位はインバウンド銘柄だ。第6位は上昇率79.4%で三越伊勢丹ホールディングス、第7位は同66.3%のJ.フロントリテイリングだった。三越伊勢丹ホールディングスの2024年3月期の通期連結決算におけるインバウンド売上高は、コロナ禍前の2018年度を大幅に上回る871億7600万円と過去最高を記録している。また、2030年度に営業利益1000億円超えを目指すとしており、今後も力強い成長が見込まれる。大丸松坂屋百貨店を傘下に持つJ.フロントリテイリングも、2025年2月期の中間期決算でのインバウンド売上高は過去最高となる600億円超だった。インバウンド景気が2025年も百貨店に恩恵をもたらすかどうか注目だ。

一方で、騰落率の最下位はマイナス56.2%でライトオンだった。ライトオンの2024年8月期の通期決算は、売上高は388億800万円(前年比17.3%減)、営業利益は50億円の赤字(前年は9億2200万円の赤字)、当期純利益は121億4200万円の赤字(同25億4500万円の赤字)と6期連続で最終赤字となった。10月8日には、ワールドが日本政策投資銀行と共同で出資するW&Dインベストメントデザインを通じ、ライトオンにTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表している。

2025年は巳年だが、「辰巳天井」と呼ばれるように株価が天井をつけやすいとされている。2月22日には、日経平均株価がバブル期の1989年12月29日につけた史上最高値を上回ったが、バブル真っ只中の1989年も巳年であった。2024年に株価が上昇したのは「スポーツ」「Z世代」「インバウンド」銘柄だったが、巳年の2025年はどのような銘柄が上昇するか、注目していきたい。

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