この記事は2025年1月17日にSBI証券で公開された「波乱相場でも活躍期待の好業績銘柄」を一部編集し、転載したものです。

波乱相場でも活躍期待の好業績銘柄
(画像=SBI証券)

目次

  1. 波乱相場でも活躍期待の好業績銘柄
  2. 一部掲載銘柄を解説!
    1. テラスカイ (3915)~「Salesforce」の導入・普及が好調。利益は拡大局面?
    2. カーブスホールディングス (7085)~新発売のプロテインで前年同期比大幅増益!
    3. 良品計画 (7453)~「無印良品」は、「良い品質を、適切な価格」で提供。スキンケア用品が好調

波乱相場でも活躍期待の好業績銘柄

2025年相場に突入し、新年の日経平均株価は軟調な展開が続いています。大発会翌日(1/7)に776円超の大幅高となった後、1/15(水)までに5営業日続落し、合計で1,638円の大幅安となりました。米政権による先端半導体の輸出規制見直し案発表や、米インフレ懸念再燃による長期金利の高止まりが、下落圧力となった格好です。また、米現地時間1/20(月)にはトランプ次期大統領の就任式が予定されており、関税政策等を見極めたいとする動きも広がっています。

こうした中、2月や8月に決算期末を迎える企業にとって、9-11月期決算発表シーズンが終了しました。小売関連企業が多く、海外売上高比率の高い製造業に比べ、米政権による政治的リスクの影響を受けにくいとみられます。また、堅調な国内消費などを背景に、業績進捗が好調な企業も複数見受けられました。

今回は、不確定要素の大きい2025年相場でも、足元の業績が堅調な銘柄を抽出すべく、2月、8月決算銘柄を対象に、以下のスクリーニングを行ってみました。

①東証プライム市場に上場
②業績予想を2社以上が公表
③2,8月決算銘柄
④1/14(火)までに9-11月期決算発表が終了
⑤通期会社予想売上高と経常利益が増収増益(黒字転換も可)
⑥9-11月期の売上高と経常利益が増収増益(黒字転換も可)
⑦9-11月期の経常増益率が通期会社予想より20%pt以上上振れ
⑧取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く

図表の銘柄は、上記のすべての条件を満たしています。掲載の順番は前年同期比の9‐11月期経常増益率が高い順です。

波乱相場でも活躍期待の好業績銘柄 波乱相場でも活躍期待の好業績銘柄
(画像=SBI証券)

一部掲載銘柄を解説!

テラスカイ (3915)~「Salesforce」の導入・普及が好調。利益は拡大局面?

■クラウドの草分けとして「Salesforce」の導入・普及をリード

2006年に設立されたクラウド・コンピューティング(インターネット上のソフトウェア・ハードウェアを必要に応じて使用する仕組み)の草分け的存在です。

売上高(24.2期・連結消去前)の91%を占めるソリューション事業では、「Salesforce」の導入支援およびクラウドシステム構築を中心に行っています。「Salesforce」とは、クラウドベースのCRM(顧客管理)・SFA(営業支援)システムで、世界15万社で使用されています。トヨタ、東京海上日動、KDDI、日立製作所、日本郵便など、日本の主要企業も顧客です。

他に売上高(同)の9%を占める製品事業では、クラウドサービスを開発し提供しており、その9割以上がサブスクリプション売上高となっています。

■NTTデータ他と資本業務提携

2024年4月、日本最大の情報システム専業会社であるNTTデータ(9613)と、資本業務提携契約及び業務提携契約の締結合意を発表。

業務提携は、「Salesforce」事業全般に及びます。業務提携後の取り組みを促進すべく、NTTデータからの非常勤取締役受け入れが決まっています。

資本提携により、NTTデータは発行済株式数の15.51%(24.8末時点)を占める大株主になっています。テラスカイの営業利益が一度でも25億円を超えた場合、新株引受権の行使により、NTTデータの保有比率が2割を上回る可能性もあります。

なお、2024年11月には子会社のQuemixが大手システム開発のSCSK(9719)と量子コンピュータ他の分野で資本業務提携を行いました。

■27.2期営業利益25億円の目標に向け順調もROE改善が鍵

業績は順調です。創業以来17期連続で増収が続いており、07.2期~24.2期まで17年間の平均増収率(単純平均)は35%に及んでいます。

営業利益は、22.3期・23.2期に子会社への先行投資で減益となり、24.2期も微増益にとどまりました。しかし、25.2期3Q累計業績(1/14発表)は、売上高181億円(前年同期比30%増)、営業利益9.3億円(同235%増)と大幅増収増益を達成。「Salesforce」導入案件の受注好調に加え、人材採用・育成効果の成果が表れたようです。

25.2期3Q決算を受け、会社側は通期予想営業利益を9.0億円から11.6億円(前期比123%増)に上方修正しました。会社側では27.2期に営業利益25億円を目指しています。現在の利益水準からみると高いハードルに映りますが、資本業務提携や人材育成の効果が期待されます。

株価は業績予想上方修正もあり、昨年末比で上昇傾向にあります。それでも、2020年高値(分割等を考慮した修正株価)から半値以下の水準に甘んじています。ROE(株主資本利益率)が2.9%にとどまり、資本コスト(同社認識では7%)を下回っていることが評価不足の要因とみられます。会社側では、営業利益25億円を目指す27.2期にROE10%を目標としています。

▽日足チャート(1年)

テラスカイ (3915)
(画像=SBI証券)

▽業績推移(百万円)

テラスカイ (3915)
(画像=SBI証券)

カーブスホールディングス (7085)~新発売のプロテインで前年同期比大幅増益!

■女性だけの30分フィットネス「カーブス」

50歳以上の女性をターゲットとし、フランチャイズ方式をメインとしてフィットネス施設を展開。店舗数は全国で約2,000店舗に上ります。1回30分と短時間プログラムで、誰でも手軽に運動ができる点が特徴です。

独自のエクササイズプログラムは、「筋力トレーニング」、「有酸素運動」、「ストレッチ」が組み合わさっており、短時間で効率よく、高い効果が得られるとしています。

■生活習慣病に悩む母を思い創業。日本で成長遂げ、米国の本家を買収

「カーブス」は、1992年に米国で誕生した小さなフィットネスクラブが祖業。創業者の母は生活習慣病に悩んでいました。母と同様の悩みを持った女性たちに、正しい生活習慣を身につけてほしいとの思いから創業されました。

2005年に日本での事業展開権利を獲得。同年、1号店を出店し、2011年には1,000店舗を突破。2018年にはロイヤリティーを支払っていた米国の本家を買収し、子会社化するに至りました。24.11末時点で、国内外2,133店舗(うち海外129店舗)を運営し、会員数は国内のみで86.0万人に上ります。

■メインの収益源は物販収入、ストック性高い

同社はFC本部です。そのため、入会金・会費収入は、メインの収益源ではありません。会員向け物販収入による売上高が58%と最も多くを占めており、入会金・会費等の一部を徴収するロイヤリティ等収入は22%に留まります(23.8期の売上高構成比)。継続購入のプロテインが主力製品で安定収益につながっているもようです。物品の定期購入は、顧客がジムに足を運ばずとも料金が発生するため、コロナ禍での業績を下支えた面もありました。

■地方行政との連携。高齢化社会でもニーズ見込める

「地域密着の健康インフラ」を標榜し、地方行政との連携を積極的に行っています。厚生労働省は1 月に「健康づくりのための身体活動・運動ガイド 2023」を発表。成人及び高齢者向けに筋力トレーニングの実施を初めて推奨しました。近年では、北海道から九州まで複数の地方自治体と、健康推進のための連携協定を締結しています。メインターゲットが50代以上であることから、日本の高齢化も追い風です。

24.8期は物販売上の好調等が寄与し、売上高354億円(前期比18%増)、営業利益54億円(同41%増)と増収増益。25.8期も4期連続の増収、5期連続の各利益項目での増益を達成する見通しです。

25.8期1Q(25.9-11月期)は、売上高88億円(前年同期比17%増)、経常利益17億円(同61%増)と増収増益。前期1Qには未発売だったプロテインの販売増などが寄与しました。また、9月、10月のTVCMの集中投下など、プロモーション活動が奏功し、会員数も増加。ロイヤリティや物販の販売が増加に伴い、粗利も増加しました。

■配当&優待

配当政策は連結配当性向50%が目標。21.8期以降、業績成長に伴い、4期連続で増配実施予定です。また、株主優待は、8月の期末時点で100株以上の保有者に対し、一律500円のクオカードが付与されます。

▽日足チャート(1年)

カーブスホールディングス (7085)
(画像=SBI証券)

▽業績推移(百万円)

カーブスホールディングス (7085)
(画像=SBI証券)

良品計画 (7453)~「無印良品」は、「良い品質を、適切な価格」で提供。スキンケア用品が好調

■「無印良品」でグローバル展開

「無印良品」ブランドにより、世界29の国・地域で、生活雑貨、食品、化粧品、衣類などを販売。店舗数は国内655店舗、海外709店舗に上ります(24.8末時点)。海外売上高比率(24.8期)は41%で、うち60%弱がアジア・オセアニアで、さらにその半分を中国(上海)が占めています。

元々は西友のPBとして誕生し、独立。環境・社会に配慮した3つの視点、①素材の選択、②工程の点検、③包装の簡略化、が基本原則です。ロゴ等の印(マーク)がない、シンプルなデザインが特徴で、日本発ブランドとして人気を博しています。

■H&B(Health & Beauty)部門でスキンケア用品が人気。「良い品質を、適切な価格」で提供。消費者はブランドより、中身を重視する時代に?

足元、H&B部門でスキンケア用品が好調です。2023年には、20年超ぶりとなる敏感肌シリーズのリニューアルを実施しました。

また、機能と価格のバランスが取れた商品への選好消費は今後も拡大が予想されています。近年SNSでは、成分や機能を重視した専門知識を有する美容系YouTuberやインフルエンサーが登場し、同ブランド製品を紹介。「この値段で、これだけの成分が!」といったコスパの良さが話題を集めていました。『発酵導入美容液』などは売り切れが続出し、入手困難になることも多々ありました。

同社海外事業の中心である中国大陸でも同様の志向が強まっており、会社側は「良い品質のものを適切な価格で購入したいという消費者ニーズが高まっている」と言及しています。不動産不況を背景に、中国経済成長が軟調な中、コスパを追及する消費者が増加しているもようです。

■国内が堅調。増配&通期業績見通しは一転し増益!中国でも発酵導入美容液発売を予定

1/10(金)の大引け後、25.8期1Q(24.9-11月期)決算を発表。売上高にあたる営業収益、営業利益、経常利益は四半期ベースで過去最高を更新しました。

国内スキンケア商品の販売や中国EC販売が堅調だったほか、円安が寄与したもようです。25.8期の想定為替レートは1人民元(RMB)=20.48円、1USD=146円39銭でしたが、想定より円安方向に動きました。堅調な業績推移を背景に、通期業績見通しの上方修正と増配実施を決算と同時に発表しました。各利益項目は、減益見通しから一転、増益見通しとなり、1Q業績は順調な滑り出しとなった格好です。さらに中国では春から、国内で人気のスキンケア用品等を発売開始予定で、業績加速の追い風になると予想されます。

同発表を受け、株価は上昇。1/16(木)時点で3,686円と、2018年以来の4,000円近辺が上値として意識される水準です。次回決算発表で、ここを抜ければ、上値の軽い展開が期待されます。

▽日足チャート(1年)

良品計画 (7453)
(画像=SBI証券)

▽業績推移(百万円)

良品計画 (7453)
(画像=SBI証券)

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数