この記事は2024年12月20日にSBI証券で公開された「NISA活用も!10万円未満で買える高配当利回り期待銘柄」を一部編集し、転載したものです。
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NISA活用も!10万円未満で買える高配当利回り期待銘柄
12/18(水)の米国株式市場では、主要株価指数が下落し、特にNYダウは50年ぶりの10営業日続落となりました。12/19(木)の東京株式市場は、米国株安を嫌気して売り先行となり、日経平均株価は寄り付き直後に一時726円安となりました。日米の株安は、FOMC(米連邦公開市場委員会)の結果が嫌気された面が大きいとみられます。
市場が驚いたのは、FOMCメンバーによる政策金利見通しの変化であると考えられます。9月に開催されたFOMC後の同見通しでは、12月の0.25%利下げを前提とした場合、FRBは2025年に0.25%の利下げを4回程度行うという見通しでした。しかし、今回のFOMCを経て、利下げ回数見通しは2回に下方修正されました。市場はFRBがタカ派的方向に動いたとみたようです。
2025年の米政策金利見通しについて、市場の「いずれにせよ低下局面」との平均的見方が、「利下げはいつ、どこで止まるのか」との見方に変わりつつあるのではないでしょうか。その変化が、今回の株価下落の要因であるとみられます。FOMC後の「FEDウォッチ」(日本時間12/19午前10時40分時点)では、2025年末までの追加利下げ回数(1回につき0.25%の利下げを前提とした場合)について、1回の確率が37.6%、2回の確率が27.8%、0回の確率が20.6%と、織り込まれています。市場で「2025年利下げナシ」も視野に入ってきたということでしょう。
こうした中、12/19(木)午前に、日銀金融政策決定会合の結果も発表され、政策金利は0.25%で据え置きとなりました。FOMCと日銀金融政策決定会合を通過し、2024年内の重要な経済イベントはほぼ発表を終えた形になっています。日本株については、イベントリスク後退もあり、年内の日経平均は38,000~40,000円のボックスを維持できそうです。中長期スタンスでのぞむ投資家であれば、引き続き配当利回り等を意識し、インカムゲインを着実に押さえつつ、投資パフォーマンスの向上に心がけたいところです。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、高い配当利回りを期待できる銘柄に再びスポットを当ててみました。少ない投資資金でも分散投資が可能になるよう。株価1,000円未満の銘柄に限定してみました。
スクリーニング条件は以下の通りです。
① 東証プライム市場上場銘柄
② 時価総額500億円以上
③ 株価1,000円未満
④ 市場予想(Bloombergコンセンサス)配当利回りが3.5%超
⑤ 直近四半期(累計)営業利益が前年同期比で増益
⑥ 直近四半期(累計)純損益が黒字
⑦ 取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は、上記①~⑦を全て満たしています。掲載順は市場予想予想配当利回りが高い順です。
東証プライム市場の予想配当利回りは2.48%(12/18・日経調べ)となっています。掲載銘柄の予想配当利回りは3.5%超と、市場平均を大きく上回っているので「高配当利回り」期待銘柄と表現することは妥当であると考えられます。
一部掲載銘柄を解説!
VTホールディングス (7593)
愛知発、自動車ディーラーが主業。車販売業界は国内での新規出店は頭打ち傾向ですが、継続的なM&A等による成長を掲げています。また、ヨーロッパを中心に海外にも進出。海外売上高比率(24.3期)は43%で、円安効果も加わり堅調に拡大中です。今期(25.3期)は自動車メーカーの生産回復なども寄与し、過去最高の売上高と営業利益を更新する見通しです。
今期の連結配当性向は、41.5%を予定。18.3期以降累進配当が続いています。普通配当は累進配当を基本方針に掲げており、長期安定的な配当実施に期待感が持てます。
オリエントコーポレーション (8585)
みずほFGの大手信販会社で、オートローン、ショッピングクレジット、クレジットカード、カード・融資などを行っています。「オリコカード」は同社ブランドです。足元の業績推移は芳しくなく、今期(25.3期)は3期連続で20%超の営業減益となる見通しです。中間決算(24.4-9月期)発表時に、通期業績計画の下方修正を行い、株価推移がさらに軟調となりました。24年はイオン銀行との協業合意、楽天グループとの提携強化などが発表され、今後の業績回復のシナジー効果が期待されます。
配当性向の目途は30%。今期(25.3期)は23.3期から一貫して、1株当たり年間40円の配当が実施予定です。20.3期以前の株式併合の影響を考慮した場合、1株当たりの年間配当金は、17.3‐19.3期:20円、20.3-22.3期:30円、23.3-25.3期:40円と、4期目に増配を実施しています。23.3期から数えると、来期(26.3)期が4期目に該当します。
東洋紡 (3101)
綿紡績が祖業。現在では、フィルムや機能樹脂などの「高機能素材」を手掛けるメーカーです。来期(26.3期)を最終年度としていた中計(23.3-26.3期)では、営業利益350億円が当初目標でした。しかし2年後の折り返し時点で目標数値との乖離が大きく、最終年度の営業利益目標を250億円に下方修正し、株価も低迷気味です。交易条件の悪化によるコスト増や中国デフレ圧力の影響で、収益性悪化が嫌気されています。収益性改善のために行ってきた約600億円の設備投資の投資効果実現効果は、来期(26.3期)からのものが多く、今後の回復期待が募ります。
配当の基本方針では、総還元性向30%を目安に掲げています。今期(25.3期)は8期連続となる通期で1株当たり40円の配当が実施予定です。
ソフトバンク(9434)
ソフトバンクグループ(9984)が40.4%を保有(24.9末時点)。携帯電話サービス等の「コンシューマ」を中心に、「メディア・EC」、「ディストリビューション」、「エンタープライズ」等を展開。LINEヤフー(4689)、PayPay、アスクル(2678)、ZOZOなどが傘下です。25.3期上半期は全セグメントで増収・営業増益となるなど好調でした。これを受け、25.3通期の会社予想営業利益を9,000億円→9,500億円(前期比8.4%増)に上方修正しました。個人株主拡大に向け、本年4月に株主優待新設(PayPay1,000円分進呈)を発表し、10/1(火)付で1株→10株の株式分割を実施しました。25.3期の1株配当は上半期4.3円(株式分割を加味した修正値・実績)、下半期計画4.3円で年間8.6円が会社計画です。12/19終値197.4円で計算される予想配当利回り(会社計画ベース)は4.35%となります。
パーソルホールディングス(2181)
1973年に六本木に設立された「テンプスタッフ」がルーツの会社です。総合人材サービス企業として、国内の事務領域を中心とした人材派遣事業、東南アジア等での人材サービス事業、広範囲な業務を対象とするアウトソーシング受託事業、技術者派遣、人材紹介等を展開しています。11/11に25.3期の業績予想を上方修正し、売上高1兆4,550億円(前期比9%増・修正前は1兆4,170億円~1兆4,290億円)、営業利益560億円(前期比7%増・修正前は520億円~550億円)の見通しとなりました。26.3期を最終年度とする中期計画では、調整後EPSに対する配当性向50%を目標に掲げています。25.3期の会社計画調整後EPSは18.75円、会社計画予想1株配当金9円(配当性向48%)ですので、若干の配当増額の余地があるかもしれません。
イーエムシステムズ(4820)
医療介護体制を支える医科、調剤、介護/福祉の3領域において、現場で必要な計算、請求、記録、その他の周辺システムを提供。とくに保険薬局向けのレセプトコンピュータについてはシェア40%超を占めています。売上構成比(23.12期)は調剤システム事業が79%、医科システム事業が13%他となっています。
11/14に24.12期の業績予想を修正。医療DXの推進を背景に売上高220億円→237億円(前期比16%増)、営業利益25億円→37億円(同63%増)と上方修正。一部減損会計があり、純利益は21億円→19億円(同0.8%増)と下方修正しました。同時に発表した新中期計画では、営業利益は24.12期37億円→25.12期25億円→26.12期33億円→27.12期40億円を想定。新中計期間中の配当性向の目安を100%としました。24.12期1株配当金は29.0円(前期は14.0円)の予定で、12/19終値787円で計算される予想配当利回り(会社計画ベース)は3.68%となります。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。