この記事は2024年12月13日にSBI証券で公開された「円高にも耐えうる!? 12月権利確定の連続増配期待銘柄」を一部編集し、転載したものです。
目次
円高にも耐えうる!? 12月権利確定の連続増配期待銘柄
12月の東京株式市場では、上昇する日が多くなっています。円安や米半導体株の上昇を追い風に、12/12(木)には約2カ月ぶりに一時40,000円を突破しました。しかし、上値水準として意識されていた節目であったため、12/13(金)は売りが大きく先行する展開になりました。
2024年の日経平均の上昇に対しては、円安が大きく寄与しました。特に、日経平均構成銘柄は、製造業のウェイトが大きい分、企業業績へ与える恩恵も大きかったと考えられます。また、非製造業にとってもインバウンド消費の拡大などにつながりました。
2023年-2024年の円安の背景には、日米金利差拡大がありました。対して、2025年は日米金利差の縮小、それによる円高進行が想定されます。企業業績の向上による株高を狙うのは、今年以上に難しくなる可能性があります。
一方、もう1つの日経平均の押し上げ材料となった、企業の株主還元強化は今後も続く見通しです。配当性向の引き上げや、自社株買い等を行う企業は増加基調が継続すると想定されます。そのため、2025年に備え、配当等のインカムゲインを目的に株式を取得するのも一手であるとみられます。
12月は、NISAの本年分の年間投資上限額の使い切りを検討する投資家の方にとって、「ラストチャンス」の月です。12月は、3月の次に、決算期末を迎える銘柄が多く、配当の権利が確定する銘柄が多々あります。
そこで、今回の「日本株投資戦略」では、連続増配期待を持ちながら、円高にも耐えうる銘柄を抽出してみました。
スクリーニング条件は以下の通りです。
① 東証プライム市場上場銘柄
② 時価総額500億円以上
③ 今期予想を含め5期以上連続で増配を実施予定
④ 12月に配当の権利が確定する銘柄
⑤ 海外売上高比率が少ない or ない (直近通期の有価証券報告書で記載がない)
⑥ 取引所または日証金、当社による信用規制・注意喚起銘柄を除く
図表の銘柄は、上記①~⑥を全て満たしています。掲載順は通期計画の予想配当利回りが高い順です。
なお、下部では予想配当利回りが3%超の銘柄の詳細解説を行っています。
一部掲載銘柄を解説!
フルキャストホールディングス(4848)
顧客企業の業務量の増減に合わせタイムリーに短期人材サービスを提供しているほか、営業支援事業や飲食事業にも展開しています。24.12期の会社予想業績は、売上高705億円(前期比2%増)、営業利益72億円(同17%減)の見込みです。第3四半期に当初計画通り戦略的投資の費用計上を行っており、業績はおおむね予想の範囲内(会社側)で進捗しているようです。
配当と自社株買いを合わせ、総還元性向50%を目標としています。23.12期まで11期連続で増配を継続。24.12期も前期比1円増配の62円が会社計画で、12/12付株価で計算された予想配当利回りは4.2%と好配当利回りが期待できる銘柄でもあります。
静岡ガス(9543)
1910年の創業以来、都市ガス事業を基軸に展開しています。地域の人々と様々な課題を解決することで持続可能な暮らしやすい地域を創る「地域共創」の実現を「2030年ビジョン」に、カーボンニュートラルの実現に向けて「2050年カーボンユートラルビジョン」を進めています。
24.12期の経常利益は107億円(前期比46%減)の見通しです。原料費の支払いと、その原料費がガス料金に反映されるまでの「スライドタイムラグ」(天然ガス価格下落局面では利益の押し上げ要因)の影響を補正すれば同経常利益は101億円(前年同期比7%減)の見込みです。
本年2月に配当方針の見直し等を発表。業績やDOE(株主資本配当率)を勘案しつつ、配当性向30%を目標水準とすることにしています。今期予想1株配当金は40円(前期は25円)で10期連続増配を目ざしています。
EMシステムズ(4820)
医療介護体制を支える医科、調剤、介護/福祉の3領域において、現場で必要な計算、請求、記録、その他の周辺システムを提供。とくに保険薬局向けのレセプトコンピュータについてはシェア40%超を占めています。売上構成比(23.12期)は調剤システム事業が79%、医科システム事業が13%他となっています。
11/14に24.12期の業績予想を修正。医療DXの推進を背景に売上高220億円→237億円(前期比16%増)、営業利益25億円→37億円(同63%増)と上方修正。一部減損会計があり、純利益は21億円→19億円(同0.8%増)と下方修正されました。同時に発表の新中期計画では営業利益について24.12期37億円→25.12期25億円→26.12期33億円→27.12期40億円を想定。新中計期間中の配当性向を100%としました。24.12期1株配当金は29.0円(前期は14.0円)の予定です。
ジョイフル本田 (3191)
関東の郊外の国道沿いを中心に、ホームセンター等を運営(ホームセンタ17店舗、専門小売店8店舗、商業施設1店舗)。面積の広さと、品ぞろえの多さが特徴です。超大型店の店舗敷地面積は東京ドーム5.1個分、取扱いアイテム数は約40万点に上ります(同社HPより)。
2014年の上場以降、業績は低迷気味でした。しかし、20.6期からは営業利益率が改善傾向です。組織改編や商品グループの構造改革、足元では価格改定などが寄与しました。配当もそれに伴い、今期(25.6期)は6期連続となる増配実施予定です。さらに、今期(25.6期)は創業50周年の記念配当も実施予定です。
ベース (4481)
金融向けのシステム受託開発を中心とする独立系SIer。顧客との直接契約(みずほ証券)や、一次請け(富士通、NRI等)がメインです。社員の約半数が外国籍社員で、中国にも拠点を有します。 旺盛な企業のIT投資を背景に業績は堅調。新規上場した年度である19.12期以降、一貫して増収と前年比20%以上の営業増益が続いてます。また、配当に関しても、上場来一貫して増配を実施。今期(24.12期)も継続する見通しです。なお、営業利益100億円に到達するまで(23.12期実績:47億円)、配当性向50%を目安に設定。22.12期の配当性向:51%、23.12期:同50%と、有言実行しました。当面は、業績拡大が続くかぎり、増配実施に期待できそうです。
船井総研ホールディングス (9757)
中堅・中小企業向け総合経営コンサルティンググループ。大手コンサルのように、大企業はメイン顧客でない点が、特徴かつ競争優位性になっています。リーマンショックやコロナ禍等で、一時的に業績が落ち込んだ場面もありましたが、1970年の創業以降、業績は右肩上がりで推移しています。前期(23.12期)は3期連続で増収増益となり、2期連続で過去最高を更新し、今期(24.12期)も続く計画です。今年3月に、東京本社を移転。新規顧客獲得の入口となるセミナー開催件数・参加者数は過去最高を達成、顧客基盤となる研究会の会員数は今期過去最高となる見込みで、今後の業績拡大にも期待できそうです。また、主力の経営コンサルの他、M&Aなどでも成長を目指しています。
株主還元方針は、総還元性向60%以上かつ配当性向55%以上、機動的な自社株買いに加え、増配の継続を掲げています。前期(23.12期)までで13期連続となる増配を実施し、今期(24.12期)も継続見通しです。
▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。