この記事は2024年12月27日にSBI証券で公開された「2025年に活躍期待の来期大幅増益予想10選」を一部編集し、転載したものです。

2025年に活躍期待の来期大幅増益予想10選
(画像=SBI証券)

目次

  1. 2025年に活躍期待の来期大幅増益予想10選
  2. 一部掲載銘柄を解説!
    1. ニチバン (4218)~あらゆる「テープ」を製造! ケアリーヴ、ロイヒ、セロテープetc 業績上振れ期待が募る
    2. パーソルホールディングス (2181)~2025年問題克服に貢献?高配当利回りにも期待

2025年に活躍期待の来期大幅増益予想10選

2024年相場も大納会を残すのみとなりました。日経平均株価は2/22(木)に史上初めて39,000円台に乗せて当時の過去最高値を更新(終値ベース)し、7/11(木)終値は42,224円02銭と過去最高値を更新しました。生成AIブームに沸く米国株が過去最高値圏まで上昇したこと、上場企業の資本政策積極化への好評価、NISA(少額投資非課税制度)拡充による新規資金の流入、円安・ドル高などが日本株の上昇につながりました。ただ、日銀が金融政策の正常化を指向する中で、8/5(月)には日経平均株価が過去最大の下げ(4,451円28銭安)を記録するなど、波乱含みの年でもありました。

そうした中、12/26(木)時点における主要株価指数の 年初来騰落率をみると、日経平均株価が18%上昇、TOPIXおよび東証プライム市場指数が16%上昇しました。米国株(S&P500・12/24時点)が26%上昇したことと比較すると迫力不足ですが、ドイツや中国と同程度の上昇はキープしているので、世界的株高に乗った形になっています。ドル・円相場は12/26時点で年初来11%程度のドル高・円安であり、上記したように外為相場も追い風になりました。

2025年はどうなるでしょうか。米国では12月のFOMC(米連邦公開市場委員会)を経て2025年の利下げ期待はやや後退しました。一方、日銀のスタンスもややハト派的に変わりつつあります。日米の金融政策の方向感相違(日米金利差縮小要因)は解消方向となり、外為市場で円高・ドル安リスクは後退しています。日銀短観(12月)をみる限り、企業業績も堅調であり、2025年の株式相場を下支えしそうです。

こうした中、今回の「日本株投資戦略」では、高い成長が見込めるものの、株価的に出遅れ感がある銘柄を抽出すべく、以下のスクリーニングを行ってみました。

①東証プライム市場に上場
②業績予想を2社以上が公表
③株価騰落率(23年末~24/12/25)が▲5%~15.5%以下
④通期会社予想経常利益が期初から上方修正
⑤今期市場予想経常増益率(Quickコンセンサス)5%以上
⑥来期市場予想経常増益率(同)10%以上
⑦今期市場予想経常利益が今期会社予想経常利益を上回る
⑧11、12月決算を除く

図表の銘柄は、上記のすべての条件を満たしています。掲載の順番は来期市場予想経常増益率が高い順です。

2025年に活躍期待の来期大幅増益予想10選
(画像=SBI証券)

一部掲載銘柄を解説!

ニチバン (4218)~あらゆる「テープ」を製造! ケアリーヴ、ロイヒ、セロテープetc 業績上振れ期待が募る

■あらゆる「テープ」を製造! ケアリーヴ、ロイヒ、セロテープetc

粘着・接着に関する技術を強みとする、テープ関連メーカー。セロハンテープをはじめ、文具、医療用テープ、産業用テープなどを扱っています。

主に以下2つのセグメントがあります。

▹メディカル事業(24.3期:売上高構成比48%)

絆創膏や、医療用止血パッド、腰痛や肩こりに効果が期待されるつぼ膏、手術後の傷あとケア専用テープなどを展開。同社ブランド「ケアリーヴ」は一般的な絆創膏で国内トップシェアですが、湿潤療法のハイドロコイド絆創膏では先行メーカーがおり、成長余地が残存しているともいえるでしょう。

▹テープ事業(同52%)

主力製品は「セロテープ」。文房具のほか、工業用などでも使用されています。

■海外事業はこれから本格拡大!?

2017年、タイに海外販売子会社を設立し、2020年ドイツにも設立。同社製品は世界約50カ国に輸出されています。前期(24.3期)の海外売上高比率は、8.5%程度。うち韓国やタイなどのアジアが58%で欧州が30%です。今期からの新中計でも、海外での積極的投資と事業拡大を目標に掲げています。中長期ビジョンでは同30%まで高めるのが目標です。

■配当性向の目途を引き上げ

今期(25.3期)から新中計がスタートするにあたり、株主還元政策の強化を実施。連結配当性向の目途は25%→同30~40%とし、今期(25.3期)は3期連続で1株35円が維持される予定です。会社予想配当利回りは1.75%です(2025/12/25時点)。

■今後も上振れ余地あり

今期中間期までの業績は堅調。売上高237億円(前年同期比5%増)、経常利益12億円(同92%増)と大幅増益となりました。また、海外売上も同46%増と拡大しました。

今下期(24.10-25.3期)については、「ロイヒつぼ膏」の値上げが実施予定です。しかし、中間決算発表時に行われた修正数値には、価格改定による想定効果が含まれていません。会社側は同値上げに関しての、効果は大きいと言及しており、今後の業績上振れ期待が募ります。

▽日足チャート(1年)

ニチバン (4218)
(画像=SBI証券)

▽業績推移(百万円)

ニチバン (4218)
(画像=SBI証券)

パーソルホールディングス (2181)~2025年問題克服に貢献?高配当利回りにも期待

■「テンプスタッフ」がルーツの総合人材会社

1973年に六本木に設立された「テンプスタッフ」がルーツの総合人材サービス企業です。おもに以下の6事業を展開しています。

(1)Staffing(24.3期売上構成比42%)・・・国内の事務領域を中心に幅広い業種で人材を派遣
(2)BPO(同8%)・・・広範囲な業務のアウトソーシングを受託
(3)Technology(同8%)・・・設計・開発請負やエンジニア派遣
(4)Career(同9%)・・・人材紹介、求人メディア等を「doda」で展開
(5)Asia Paciffic(同30%)・・アジア・豪州等13ヵ国で人材サービス

■2025年は労働力不足が重要課題に

日本の第1次ベビーブーム(1947~49年)に生まれた「団塊の世代」は約800万人(2024.12時点の日本の総人口は1.23億人)います。「2025年問題」は「団塊の世代」が2025年になるとすべて後期高齢者(75歳以上)になり、日本経済の社会保障負担や労働力不足等が深刻になると懸念される問題を指しています。

「パーソル総合研究所」では、2030年には7,073万人の労働需要に対し、6,429万人の労働供給しか見込めず644万人の人手不足になると推計しています。サービス業で400万人、医療・福祉で187万人など、現在も人手不足で悩む業界の深刻度が増幅するとみられます。

同社はグループビジョンの実現に向けたマイルストーンとして、2030年に100万人のよりよい働く機会を創出したいと考えています。

株式市場では、同社について「2025年問題」克服に寄与すると期待される銘柄の一角と捉えられる可能性がありそうです。

■業績好調、高配当利回り期待銘柄、テーマ性も強い?

11/11に25.3期の業績予想を上方修正し、売上高1兆4,550億円(前期比9%増・修正前は1兆4,170億円~1兆4,290億円)、営業利益560億円(前期比7%増・修正前は520億円~550億円)の見通しになりました。

26.3期を目標とする中期計画では、調整後EBITDA(営業利益+減価償却費)を25.3期会社予想760億円に対し、1,000億円以上に引き上げる計画です。ROEは18%以上(前期は16.5%)を目指します。

また同中期計画では、調整後EPSに対する配当性向50%を目標に掲げています。25.3期の会社計画調整後EPSは18.75円、会社計画予想1株配当金9円(配当性向48%)ですので、若干配当増額の余地があるかもしれません。

株価は、昨年末終値242.1円に対して、ほぼ同じ水準にとどまっており、12/25時点で年初来15%上昇しているTOPIXに対して大きく劣後しています。好業績に加え、予想配当利回りも3.8%(12/25)と、東証プライム市場の予想配当利回り2.48%(同)よりかなり高く、予想PERも14.4倍(同)。テーマ性(2025年問題)もあり、株価の出直りに期待したいところです。

▽日足チャート(1年)

パーソルホールディングス (2181)
(画像=SBI証券)

▽業績推移(百万円)

パーソルホールディングス (2181)
(画像=SBI証券)

▽当ページの内容につきましては、SBI証券 投資情報部長 鈴木による動画での詳しい解説も行っております。東証プライム市場を中心に好業績が期待される銘柄・株主優待特集など、気になる話題についてわかりやすくお伝えします。

鈴木 英之
鈴木 英之
SBI証券 投資情報部長
・出身:東京(下町)生まれ埼玉育ち
・趣味:ハロプロの応援と旅行(乗り鉄)
・特技:どこでもいつでも寝れます
・好きな食べ物:サイゼリヤのごはん
・好きな場所:秋葉原(末広町)
ラジオNIKKEI(月曜日)、中部経済新聞(水曜日)、ストックボイス(木曜日)、ダイヤモンドZAIなど、定期的な寄稿も多数