本記事は、野呂 エイシロウ氏の著書『道ばたの石ころ どうやって売るか? 頭のいい人がやっている「視点を変える」思考法』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

道ばたの石ころ どうやって売るか? 頭のいい人がやっている「視点を変える」思考法
(画像=naka/stock.adobe.com)

7つの視点で「石の売り方」を考えてみた

道ばたの石を「極端振り切り視点」で売るとしたら、どんな方法があるのか?
これは人から聞いた話ですが、海外で実際にただの石ころをものすごい高値で売った人がいるそうです。
その人は何をやったのか? 拾ってきた黒い石をピカピカになるまで磨いて形を整えて、知り合いの宝石商の店先で本物の宝石と一緒にショウウィンドウに並べたのです。
名前は「ブラック○○」みたいな名前を適当につけて、値段は隣の宝石よりほんの少し安くしました。安くしても、宝石と似たような値段ですから結構な高値です。にもかかわらず、本当に売れたとのこと。真偽は分かりませんが、着眼点としては面白いなと思います。

「分解ずらし視点」ではどうでしょう。
石だって分解すればいろんな要素に分けられます。
素材、形、大きさ、重さなど。例えば、「素材」に着目すれば、熱を持ちやすい素材の石であれば、石焼き料理に使えます。秋田県の郷土料理に「石焼き鍋」があります。焼いた石を鍋に入れて煮るという独特のスタイルで人気です。身近なところでは、石焼き芋もそうですね。
「石焼き料理にぴったり」なんて売り出し方はありそうです。

「連想ゲーム視点」であれば、私だったら、「意志が強くなる石」とかにします。
実際に、いわゆるパワーストーンとして売られている石には「意志を強くする」という謳い文句のものがあります。もっともそれらは、見た目にもきれいな、いかにもパワーがありそうな石ですが、道ばたの石であったとしても、例えば神社でご祈祷をお願いすれば、「意志が強くなるパワーのこもった石」と言えるかもしれません。
「勝運のパワースポット」として知られる神社は全国にあるそうですから、1つの例として、そういった神社にお願いしてみるのも手かもしれません。

「構造コピー視点」を使うなら、やはり、まずは似たような事例を参考にするといいでしょう。
ネットやフリマアプリでは、結構意外なものが売られています。前に言及したアイスの棒や、他にもトイレットペーパーの芯は工作用で売られています。石も、子どもの工作や大人のアートの素材として売るという方法はあり得ると思います。

「便乗視点」なら、例えば、「映え」を意識して、ペイントアートで石をかわいくデザインして、SNSで発信するなどの方法があります。
それで、ふと思い出したんですが、1970年代にアメリカで「ペットロック」がブームになりました。文字通り、石をペットに見立ててかわいがるという、今にして思えば不思議な玩具でした。石をお風呂に入れたり、石にベッドを用意して寝かせたりしていたとのこと。
日本でも1977年に発売されています。500万個以上売れて、発案者は6億円以上儲けたそうです。
実は、2021年頃から、韓国でペットロックのブームが再燃しているらしいのです。
人気アイドルが自分のペットロックを公開しているのだとか。今や韓流は日本の若者に多大な影響を与えています。それを考えると、韓国でのブームが日本に飛び火する可能性もありますね。

「クロス視点」なら「石×占い」とかどうかなと思います。
占いといえば、水晶玉です。さすがに水晶の代わりに道ばたの石、とはいかないと思いますが、例えば、形や色の異なる石をランダムにいくつか用意して、どれを選んだかで運勢を占うというような方法はありそうです。占い用の石として売ってもいいですし、自身が占い師として「石占い」をしてお金を稼ぐ、という方法もあります。

「偉人視点」で、石を売るのはなかなか難しいですけど、例えば、あの「くまモン」を生み出した小山薫堂さんになり切って、やっぱり「くまモンペイント」の石を売る、ですかね。まあ、小山薫堂さんご本人だったら、もっと面白いことを考えるでしょうけど。もちろん、くまモンの石をそのまま売るのは著作権的にNGでしょうけど、そのアイデアをもとに石に何かのキャラクターのペイントをほどこすという発想は活かせます。アート作品としてはアリですし、先ほどご紹介した「ペットロック」の文脈につなげて、癒しグッズとして売ってもいいんじゃないでしょうか。
すごい人の目線で考えてみることで、「自分ひとりだけでは思いつかない発想にたどり着く」ことができます。それがベタな考えであったとしても、そこからさらにアイデアを展開させていくことはできます。

7つのテクニックを使って、「道ばたの石ころ」だって、お金に換えることができます。
これまでなかなかアイデアが浮かんでこない、1人でうんうん唸ってばかりだった方も、これら7つのテクニックを使って、楽しみながら仕事に挑戦していただければと思います。

道ばたの石ころ どうやって売るか? 頭のいい人がやっている「視点を変える」思考法
野呂 エイシロウ
1967年愛知県生まれ。愛知工業大学卒。放送作家・戦略的PRコンサルタント。
『天才・たけしの元気が出るテレビ!!』で放送作家デビュー。『ザ!鉄腕!DASH!!』『奇跡体験!アンビリバボー』『ズームイン!!SUPER』などにたずさわる。常に「面白い企画」を求められる状況に身を置いた経験から、独自の「視点を変える」思考法を編み出す。放送作家と並行して“戦略的PRコンサルタント"として活動中。一部上場企業をはじめ、数多くのクライアントの課題解決をサポートしている。
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