本記事は、池本 博則氏の著書『Unique Piece あなたの価値の育てかた』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。

アイデアではなく「課題」を見つけよう
仕事をしていると、部下やメンバーに、担当する事業やプロジェクトに関するアイデアを求める場面もあると思います。
しかし、これも単純な励ましと同様で、「なにかいいアイデアを考えてみて」と伝えても、いいアイデアなど一向に出てきません。
いうまでもなく、1人のビジネスパーソンとして、「これをやると面白いかも?」「これがきっと求められている!」という直感や発想力を常に持ち続けることを意識するのは大事です。
ただ、アイデアというものは、むしろ生み出そうと思えば思うほど、なかなか生み出せないというのが現実です。
では、いったいどうすれば部下やメンバーにいいアイデアを生み出してもらえるのでしょう?
結論からいうと、重要なのはアイデアではなく「課題」だと考えています。
つまり、「今、自分たちはどのような課題に対して向き合っているのか」「そこにはどんなニーズがあるのか」を考える観点のほうが大事であり、課題の発見がポイントになるということです。
日常的に、「この仕事の課題はなにか」「誰がなにに困っていて、そこにどんな問題があるのか」という視点から入り、思考を深めていくアプローチを癖づけていくと、自然といいアイデアが出やすくなります。
それこそ経営者や起業家であれば、社会の課題を見据えることが必要であり、私自身も心掛けています。
課題さえ見つけることができれば、次はその課題をどのように解決していくかを考えるプロセスに移ることができます。
そして、課題解決のほうが難しいと思いきや、実は世の中には優れたフレームワークやビジネスモデルが既に沢山存在しているため、それらに自分たちの課題を当てはめて考えていけば、自ずと適切な解決方法へ導ける可能性が高くなります。
一経営者の立場からいうと、最高の課題解決は「成功例が多く普遍的なビジネスモデルを真似ること」だと私は見ています。
なにか斬新なアイデアやオリジナルのスキームを生み出そうとするのではなく、あくまで課題に忠実になり、解決方法については素直に「真似る」ことが大事なのです。
そのためにも、必要な第一歩は、まず「課題を特定する」ことだとぜひ覚えておいてください。
リーダーは自分の「熱量」を伝え続ける人
ここまで部下やチームメンバーの価値の見つけ方と、活かし方について述べてきました。
最後に、部下やメンバーのモチベーションが上がらない時に、リーダーが心掛けておきたいことを考えてみます。
まず、前提として押さえておきたいのは、モチベーションというのは、本来個人に属している問題であるという事実です。
つまり、自分の「内なる心」から生じてくる内発的なものなのです。
ごく簡単にいうと、例えば自分の仕事が嫌で仕方がない人に対しては、どのように働きかけても、本人が他者の意見を受け止めて自分の考え方や捉え方を変えようとしない限り、モチベーションは上がりません。
これは、「自分の働き方は自分で選ぶことができる」という自由意志や、職業選択の自由のメリットでもありますから、他者からの働きかけに限界があることは仕方がないことといえるでしょう。
その前提ありきで、私は今ユニークピース社を成長させ、日本一のベンチャー企業の社長になろうと思っているし、チームメンバーにも「日本一の会社を本気で一緒に作りたい」とよく伝えています。
会社員時代から続けていることで、当時も「自分は業界で1番の営業マンになる」と常に思いながら仕事をしていました。
そして、部下やメンバーにも、「お客様と向き合っている瞬間、自分が業界一の営業担当になっているのをイメージしながら仕事をしていこう」と伝えていたものです。
つまり、自分の根底にあるモチベーションや原動力を駆動させている「熱量」を、常に部下やメンバーに伝え続け、チーム全体の士気を高めていくことがリーダーに求められるということです。
ここで、リーダーの立場として注意しておきたいのは、部下やメンバーのモチベーションを上げるために、インセンティブを与える方法を取らないことです。
もちろん、結果を正当に評価することは大切であり、その基準をオープンにすることは、公平性の観点から理にかなっているといえます。
「頑張れば評価される」という環境を作っていれば、部下やメンバーのモチベーションは間違いなく上がるはずですし、組織全体に「安心感」を醸成していくことにもつながります。
しかし、「○○を達成したから昇給させる」「○○がうまくいったらボーナスを出す」といったインセンティブを利用してモチベーションを上げようとすると、往々にしてインセンティブを得ることを目的としがちになるのです。
また、必要な仕事であるにもかかわらず、「あまり評価につながらないから手を抜こう」とするネガティブな行動の誘因になったり、「ペナルティが怖いからとりあえずやっておこう」といった負のインセンティブに変わったりすることもあり得ます。
いずれにせよ、先に述べた「内なる心」から発信される内発的なモチベーションではないため、結果的にはどれも長続きすることはなく、組織やチームの和を乱してしまうことにもなりかねません。

徳島県吉野川市出身
2003年、株式会社毎日コミュニケーションズ(現:株式会社マイナビ)に入社。
10年以上に渡り、新卒採用支援を手がける。
2015年に営業統括部長として新卒採用領域で、マイナビが様々な指標で業界No.1と評価の出来る成果を達成!
その年のマイナビ全社顕彰年間MVPと社長賞を受賞する。
2016年に執行役員に就任し、既存事業の立て直しと新規事業の設立を担当。
2017年に国内唯一の総合農業情報サイト「マイナビ農業」を立ち上げ、数多くの農業振興に携わることで、労働市場における社会課題に向き合う。
その後、農業におけるマッチングアプリ「農mers」(グッドデザイン賞2019受賞)や、一次産業総合求人サイト「マイナビ農林水産ジョブアス」といった新サービスを開発。
2023年5月、マイナビ生活20年目の節目に円満退職。
2023年6月、株式会社ユニークピースを創業。
ママのための人材サービス「ママアイ」や学生向けスクールウェア提供サービス「ガクユニ」など幅広い領域でユニークな自社サービスを提供する傍ら、多くの企業の事業開発支援などコンサルティングも提供し、現在に至る。
座右の銘は「NEVER STAND STILL」-決して立ち止まらない-
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