本記事は、難波 猛氏の著書『ボスマネジメント 「成果を出している人」が上司と話していること』(アスコム)の中から一部を抜粋・編集しています。
ボスマネジメントを成功に導くフレームワーク
ボスマネジメントにおいて具体的に「何を話すのか」「どう話すのか」という実践的な方法を解説していきましょう。
私がボスマネジメントについてお話をするときは、まず「今の自分のキャリアがどのような状態にあるのか」を客観的に把握していただくことから始めます。上司との対話の中心テーマは、「自分のキャリア」だからです。
そこで活用できるのが、「WILL/MUST/CAN」というフレームワークです。簡単に説明すると、次の3つで構成されます。
WILL…… やりたいこと。自分の意思や欲求、価値観、ありたい姿など。
MUST…… やるべきこと。会社や上司から求められている役割や期待など。
CAN……… できること。自分が持っている能力やスキル、強みなど。
この3つをそれぞれ円として描き、「どのくらいの大きさなのか」「どの程度重なるのか」を見ることで、今のキャリアのコンディションが分かります。
3つの円がすべて大きく、かつ重なっていれば、キャリアの状態は良好ということです。おそらく、モヤモヤがなく働けていて、キャリアに不安も少なく、上司や周囲から信頼され、パフォーマンスも十分に発揮できている状態です。
どれかの円が小さかったり、重なる部分が少なかったりすると、何らかのギャップを抱えながら働いているということです。
たとえば、MUSTが他の2つとあまり重なっていない場合、上司から求められている期待と自分がやりたいことや能力との間にギャップがあります。
WILLが小さく、他の2つとあまり重なっていない場合、「やりたくはないが、できてしまっている仕事」を続けている状態かもしれません。他の2つに対してCANが小さい場合は、意欲や期待はあるものの、必要なスキルや経験がまだ十分でない状態と捉えられます。
WILL/MUST/CANのフレームワークは、キャリアのコンディションを確認するためのもので、小さいから駄目とか、重なっていないから悪いというわけではありません。
ボスマネジメントを始めてから半年後、1年後と時間が経つにつれ、大きさにも、重なりにも変化が表れます。それがボスマネジメントの効果です。可視化しておくと、その効果が分かりやすくなるのも、このフレームワークのメリットです。
円を描くときに、頭を悩ますのがMUSTかもしれません。上司や会社から求められている期待や役割を正しく認識できていないこともあるからです。MUSTに関しては、上司との対話で確認しながら、何度でも描き直していくことをおすすめします。
また、このフレームワークは、上司との対話の共通言語にもなります。
上司に対して、「評価に不満がある」「何となくしっくりこない」ではなく、「今、自分のWILLとMUSTの重なりが小さい気がしている」「この領域のCANが不足している」と伝えられるからです。上司も、どこにギャップがあるのか分かりやすくなり、支援する方向性が明確になります。
お互いがモヤモヤの原因であるギャップをWILL/MUST/CANのフレームワークで整理できると、ボスマネジメントはスムーズに進められます。
マンパワーグループ株式会社シニアコンサルタント
プロティアン・キャリア協会認定アンバサダー/人事実践科学会議事務局長/日本心理的資本協会理事/NPO法人CRファクトリー特別アドバイザー
1974年生まれ。早稲田大学卒業、出版社、求人広告代理店を経て2007年より現職。研修講師、コンサルタントとして4,000名以上のキャリア開発施策、3,000名以上の管理者トレーニング、100社以上の人員施策プロジェクトのコンサルティング等を担当。
セミナー講師、大学講師、官公庁事業におけるプロジェクト責任者も歴任。
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