「ワンテーマ」による一点突破で確実に成長

-投資方針について教えてください。

投資方針は、サーチャーと我々が組んで販売力強化できるかどうか、売上が伸ばせるかどうか、です。

この見極めは、机上の分析だけでは終わりません。実は承継を決める前に、市場の反応を直接確認するケースもあります。投資候補企業の商品やサービスを想定し、実際に顧客候補へヒアリングや提案を行うのです。

そこで需要が確認できれば、「売れない事業」ではなく「売り方が整備されていない事業」だと判断できます。顧客が買いたいと言ってくれるなら、営業体制を整えれば売上は伸ばせる。この事前検証こそが、我々の投資判断における特徴の一つでもあります。ロケットスターは、そうした事前検証を重視しています。

また販売力強化というのは、営業やマーケティングの強化はもちろん、それをやるための人材採用や組織構築、商品・サービス開発、アライアンスなども含めたものを指しています。

M&A Online

(画像=「売る力」を伸ばすだけで見違える企業もあると話す荻原社長(Photo By Masahiro Osawa)、「M&A Online」より引用)

-投資後の支援について教えてください。

大きく三つあります。一つは戦略策定とモニタリング、二つ目は社長向けのメンタリングです。三つ目は実行支援です。実行支援は営業から管理部門まで多岐に渡ります。

一つ目の戦略ですが、これは資源分配の意思決定なので、どこに資源を集中させるか、劣位を決めるか、が大切です。これを社長と一緒に決める。そして実行後は頻度高くモニタリングしていきます。社長は孤独を感じないはずです。

経営者は多くの課題を抱えていますが、すべてを同時に解決しようとしても成果は限定的です。そのため、わが社はまず最も重要な成長テーマを一つ決めます。

例えばEC(電子商取引)事業の強化、直販体制の構築、ストック型ビジネスへの転換などです。まずは、その「ワンテーマ」に資源を集中し、解決したら次のテーマに取り組む。これを順次3年間かけてやり切る。それが私たちの基本的な考え方です。

─なぜワンテーマにこだわるのでしょうか。


私自身の失敗経験があるからです。過去に複数の施策を同時に進めようとして、どれも中途半端になりました。経営で重要なのは「何をやるか」だけではなく、「何をやらないか」を決める覚悟です。資源が限定的な中小企業で本当に成果を出したいなら、一つに絞る勇気が必要です。

─投資先ではどのような成果を目指していますか。

ロケットスターでは、基本的に3年程度で企業価値を高め、次のオーナーへの引き継ぎを想定しています。利益水準をアップさせるとともに、成長性や再現性を高めて企業評価そのものも向上させる。オペレーショナルアルファを取りに行く、と。

またファンド傘下には、管理部門の支援に特化したグループ会社(アドミニストレーション専門会社)があります。先ほどの実行支援の一つで、承継先の経営企画・経理・契約・ITといった領域の基盤固めを担っています。

利益成長と評価倍率の向上を両立し、大きな企業価値向上を目指しています。