本記事は、五百田 達成氏の著書『「誘える人」がぜんぶ手に入れる』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の中から一部を抜粋・編集しています。
どれだけ名刺交換しても仕事は来ない
「人脈は広いほうがいい」
「とにかく顔を売っておけ」
ビジネスの現場において、よく言われる言葉です。僕自身も会社を辞めて独立したばかりの頃は、とにかく人脈を広げなくては、と焦っていました。
異業種交流会や出版関係のパーティーに顔を出しては、「どんな出会いがあるかわからないし、仕事につながるかもしれない」と、せっせと名刺交換を頑張っていた時期があります。
でも、あるとき気づいたのです。
「有名出版社の編集の人と名刺を交わしたところで、まったく仕事は来ない」ということに。
当然ですよね。ただ挨拶をして、記号としての名刺を交換しただけであって、「その人と本当に関係性を築いた」わけではないのですから。
目的もなく100人の名刺を集めても、そこに意味はありません。SNSで友達を1,000人増やしたところで、いざというときに機能するつながりにはならないのと同じです。
結局のところ大事なのは「自分と合う人と出会う」ということです。
大人になるにつれて、ある程度価値観が出来上がり、良くも悪くも「自分」というものが確立してしまうと、初対面の相手でも少し言葉を交わしただけで「あ、この人とは合わないかも」と、直感できますよね。まるで居酒屋でお通しを食べただけで「この店の味はちょっと違うかも……」とわかるように。
あなたが、少しでも「合わないな」と感じる人は、向こうも同じように「合わないな」と思っているでしょう。そんな相手と無理につながろうとして、手当たり次第に名刺を配り歩いても、ただエネルギーを消耗するだけです。
逆に、「この人いいかも」と思った相手は、たいてい相手も「この人いいかも」と思ってくれている可能性が高い。それが大人の出会いです。
そのことに気づいて以来、僕は「広い人脈」や「ツテやコネがすべて」といった言葉を疑うようになりました。
代わって立てた方針が「パーティーに行くなら、100人の名刺を集めるより、気が合う人をたった1人でも見つけられたらラッキー」というスタンスです。
もちろん、人間関係を広げようとすること自体を否定するわけではありません。とくに、転職や転居など、新しい環境に飛び込んだ「不安な時期」は、なるべく広くつながりたくもなります。
たとえば、新入社員のとき。就活中は一人で孤独に戦っていた学生たちも、内定をもらった途端に「内定者」としてやたらと群れて、SNSでつながり合いますよね。
あるいは、子どもが産まれて初めて「ママ友」「パパ友」のコミュニティに参加するときも同じかもしれません。子育てが不安で仕方ない時期は、地域の交流所に行ってとりあえず周りの人に話しかけ、LINEグループをつくる。そうやって「子どもが寝ない」「夫が手伝ってくれない」「妻が不機嫌」と共感し合うことで救われる部分は、確実にあります。
しかし、いつまでもその「群れ」の中にとどまる必要はないでしょう。
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