サラリーマン投資家の狙い目は地方1棟収益物件をフルローン

1棟収益物件の不動産投資で最大手のパシフィック・アセット・マネジメント株式会社(東京都港区)代表取締役 井筒秀樹氏によると「サラリーマン投資家は、地方1棟収益物件をフルローンで購入することがベスト」と言う。地方・郊外の物件は、都心の物件と比べて積算評価が出やすくフルローンが付きやすいとのこと。自己資金に乏しいサラリーマン投資家としては、初めはなるべく自己資金を温存して、将来の修繕費等の急な出費に備えておくと安心だ。

実は、都心の不動産は銀行評価が低い。その一方で、都心の不動産は人気があるため価格は割高になっているのが実情である。資産家にとっては、評価が低く価格の高いものを買うことによって、時価が高いものを少ない税金で相続をすることができる。しかしこれから資産を築いていくサラリーマンの場合は全く逆で、銀行評価より価格の安い物件を購入しなければならない。

銀行は主に、収益不動産を積算法と収益還元法で評価する。つまり土地が狭く利回りの低い都心より、土地が広くて利回りのよい地方・郊外の物件に銀行評価が出やすい。 また銀行評価より価格の安い物件を買うことによって、銀行目線で見たときに、資産より債務が少ない状態になり、次の物件も購入しやすくなる。それを繰り返すことで資産が資産を生む状態をつくれば雪だるま式に資産を増やしていける。その後で、余裕ができれば少しずつ都心の物件をポートフォリオに買い足していくのも良い方法だ。とはいえ、地方はリスクもあるのでは?という不安もある。


人口増減と不動産価格に相関関係はない

ある研究機関によって「2040年までに自治体の半分が“消滅"する」という報告がされた。と言うのも、地方から大都市圏への人口流入と少子化を前提に、現在の約1800の市区町村のうち896の自治体が将来なくなってしまう可能性がある、というわけだ。

ただ、この予測は厳格な意味での科学的な根拠が乏しく、政策的な対応がなく、制度的な変更 を前提としている。さらに、不動産の価格は、短期的にみると人口の増減やGDPの成長率との相関関係は考えにくく、バブルの時代も人口が爆発的に増えたという理由で価格が上昇した訳ではない。実際、2005年に人口が減少に転じた後も2007年にかけて不動産価格は上がり続けた。

アメリカにおいても、1990年ごろの出生率の低下によって、2000年以降の住宅需要が減少し価格が大きく下落すると懸念された。ところが前例がないほどの住宅バブルからサブプライム問題で世界的危機に陥るまで住宅価格が高騰したことは記憶に新しいところだ。不動産価格に影響を与えるのは、 マネーサプライの伸びとLTV(Loan to Value)の高さである。つまり、銀行融資の増加と融資の掛け目である。リーマンショック前は、銀行評価さえ出れば、フルローン・オーバーローンも珍しくなかった。