新しい財テク方法?


注目される融資仲介サービス『P2Pレンディング』

最近、ソーシャルレンディングというものが注目されている。ソーシャルレンディング(Person2Person Lending)とは、「お金を借りたい個人」(borrower)と「お金を貸したい個人」(lender)をネット上で結びつける融資仲介サービスだ。

米国も日本もいわゆるゼロ金利政策を採っているため、市場金利は低く抑えられている。したがって、資金は借りやすい環境にあるといえる。しかし、銀行は、厳しい自己資本規制のもと、安全性の高い企業や個人にしか貸し出しを行っていない。その結果、資金を必要とする、起業して間もない会社や中小企業あるいは個人事業主などは、ノンバンクからの借入れに頼らざるを得ない。ノンバンクは、利息制限法の上限である年利15%から20%の金利で融資を行っているため、債務者の金利負担は大きい。


預金者の新しい財テク手法となりうる?

ノンバンクは、銀行の子会社あるいは関連会社になっていることが多く、銀行から低利で融資を受け、その資金を元に貸し出しを行っているので、その利益は銀行の利益になっていることが多い。仮に、銀行からの借入れの金利が2%だとすると、最大で18%の利ざやを取っていることになる。銀行が自らリスクを取って低利で貸すよりも、ノンバンクを通して、高い金利で貸し付けた方が儲かる仕組みになっているのである。

一方、預金金利は、定期預金で高くても0.3%程度にすぎない。つまり、100万円預けても1年間に3,000円しか利息がつかない。これでは、運用というレベルではない。ましてやインフレターゲットにより2%の物価上昇を目指している中にあっては、個人の金融資産は目減りしていく一方である。

そのようなことから、預金者の新しい財テク手段として、また借り手の新しい資金調達手段として、「ソーシャルレンディング」が注目を集めるようになったのである。間接金融の世界は、資金の出し手である預金者がわずかの金利しか得られず、資金の借り手である事業者が高い金利を負担して、間にいる銀行・ノンバンクが大きい利益を得る構造となっているが、ソーシャルレンディングは、間に金融機関を介在させず貸し手と借り手が納得する形で、金利を決定できるため、貸し手は預金より高い金利が得られ、借り手も金融機関よりも低い金利で借りられるというメリットがある。

もちろん、ソーシャルレンディングも、貸し手と借り手を仲介する企業はあって、手数料を取っているが、あくまで貸し手と借り手をマッチングして仲介するだけなので、手数料も低額なものとなっている。

このように、新しいお金の流れをもたらすソーシャルレンディングが、今後普及していけば、ノンバンクから借りる人はいなくなるかもしれない。そうれなれば、銀行はノンバンクという大きな融資先を失うことになり、運用難に陥ることになる。