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円安による海外旅行の割高感から日本人の海外旅行への消費マインドがやや低下しかけてきた頃、円安の進行以上に原油価格が下がりしてきた。これにより、航空各社の「※燃油サーチャージ」がゼロになる可能性から、航空運賃の実質的な値下げが期待され、円安による旅行者の減少に歯止めがかかりそうな期待感が出てきた。


再び混沌としてきた国内航空輸送とLLC(格安航空会社)の動向

JTBが昨年暮れに発表した、2015年の旅行市場の見通しでは、全体的には節約志向は続くものの、日本人のレジャー・旅行意欲は堅調に推移するだろうとみている。訪日外国人数は過去最高の 1500万人(前年比13.0%増)が期待され、国内旅行人数は前年比1.0%増の 2 億 9,030万人、海外旅行人数も前年比0.4%増の1,700万人が見込まれるだろうと予測している。

旅行市場が堅調に推移する一方で、国内航空市場においては、国内航空第3位のスカイマークの昨年12月の搭乗率が54.5%と大幅に落ち込むなど、苦戦が目立ってきた。格安航空会社との競争激化などで経営が悪化しているのだが、打開策として国土交通省では、全日本空輸、日本航空の大手二社との共同運航を3月29日から始めると発表している。計画では、羽田と神戸、札幌、福岡、鹿児島、那覇を結ぶ5路線(36便)を対象に、神戸線は全日空と、残り4路線は3社で共同運航する計画になっている。全日本空輸、日本航空のライバル同士の大手航空会社とスカイマークの3社が共同運航するというのは過去に例がなく、今後の動向に注目が集まっている。

一方、国内のLCC(格安航空会社)の動向だが、日本では2012(平成24)年から本格的に運航が始まり、2年余りが経過し、関西国際空港を拠点とする「ピーチ・アビエーション」と、成田国際空港を拠点とする「ジェットスター・ジャパン」、「エアアジア・ジャパン」の3社が運航している。中でも、関西国際空港を拠点に新千歳と福岡の2路線で2012年3月に運航を開始したピーチ・アビエーションは、2014(平成26)年4月に累計搭乗者数が500万人に達し、当初の経営目標とした就航3年目での単年度黒字も達成するなど順調に推移してきた。ジェットスター・ジャパンも、就航2年目の2014年7月には累計搭乗者数500万人を突破している。


遅延やパイロットの人材不足

国内のLCCは、国内航空市場における航空ビジネスでは、その存在の定着を確実に固めつつあるが、最近になって、遅延(ディレー)や機材の故障、パイロットの不足などにより、地方路線を中心に、路線の休止や廃止などが相次いでいる。地方の不採算路線を廃止し、幹線に経営資源を集中させようとする動きが出てきた。

LCCの場合、一旦機材の故障が起きると、社内の他の飛行機も同じ機材が使われているために、すべての機材の安全確認が必要となり、また機材の故障時の代替機の準備ができないことから、遅延や休航が発生しやすくなっている。パイロット不足によるダイヤの見直しも必至で、体制面での見直しも急務となっている。

国土交通省航空局の予測では、2020年に国内航空で必要となるパイロットの要員は6700~7300人と見込まれている。2013年1月時点での国内パイロット数が5700人であったことから、大幅な増員が必要で、防衛省のパイロットを民間移転させる制度や外国人パイロットの採用を円滑化させるための制度の見直しなどにも取り組み始めている。


新幹線との競合激化

国内LCC3社に加え、今後外資系主導のLCCや海外の航空会社によるLCCの日本市場への参入や再参入の計画があり、さらに国内LCCの国際線への就航も予定されているなどLCCの市場拡大が見込まれている。特に、海外からの訪日外国人旅行者の増加によって、航空市場だけでなく、新幹線網も含めた鉄道市場への活性化が期待され、航空会社対鉄道会社の利用者獲得を巡る競争も激しくなってくることが予想されている。

国では、東京オリンピック・パラリンピックが開かれる5年後の2020年に日本を訪れる外国人旅行者を2000万人に増やす目標を立てているが、国内航空業界ではその受け入れ態勢にはまだまだ多くの課題があるとしている。今後の航空業界の動向には目が離せない状況が続く。

(ZUU online)

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