安倍政権は現在、地方創生と称して地方経済の活性化に取り組んでいるが、根本的な問題として考えなくてはならないのが「人口減少」だ。国全体で人口が減ることは間違いないが、実際には転出が転入を大幅に上回るという形で人口減少が加速する自治体が既に現れ始めており、大きな問題になろうとしている。


ワースト3の北九州市、日立市、東大阪市



総務省が発表したデータによると、2014年に最も転出超過となったのは北九州市でマイナス2,483人となっている。2位は日立市でマイナス1,590人と昨年に続く減少だ。東大阪市は3位でマイナス1,427人を記録している。以下、豊田市、長崎市、佐世保市、沼津市、尼崎市、青森市、函館市、小樽市、枚方市、静岡市などと続く。

どれも名前を聞けばすぐ場所が浮かぶような有名な市が多いのが特徴だ。東日本大震災に関連した流出が多かった2011年に比べると、明らかに転出超過自治体の顔ぶれは変わってきている。特に北九州、尼崎、枚方など大型都市に隣接する都市の人口が減少傾向にあるのが気になるところだ。


増加地域は都市部に集中


逆に転入超過自治体は、札幌が1位でプラス8,363人、福岡がプラス7,162人、大阪市がプラス7,162人、以下川崎市、大田区、さいたま市、横浜市、名古屋市、江東区、中央区などとなっている。これを見ると明らかに都市部に人が集まるようになっており、転出超過自治体の多くは転入超過自治体の周辺にあることに気付かされる。都市の周辺の自治体から衰退しようとしているわけだ。


経済を衰退させる人口減少



国内総生産(GDP)といえば車の生産輸出など大規模事業がもっとも大きく貢献しているかのように思われるが、実は日本で国内GDPを支えているのは個人消費だ。つまり「人がいること」自体がサービスを主体とした産業を栄えさせ、地域の経済を活性化させる原動力となるのである。したがって人口が流出してしまう自治体というのは、それだけで経済を衰退させることになる。