米国には、ミューチュアルファンドは、キャピタル・グループ、フィデリティ、バンガード、の3社がしのぎ合っているが、他2社との違いは大きく2点ある。
1点目は、直販を行わない点だ。長期投資を行う上で、正しいアドバイスの提供と運用業務は別ビジネスと考えており、売りたいがためにファンドを作るという状況を生まないようにしている。
2点目は、運用ファンド数が少ない点にある。現在、30数本のファンドを運用しているが、本数を追い求めるのではなく、既存ファンドそのものをよりよくすることに心血を注ぎ、1本のファンドが大きくなった段階で信託報酬を下げ、ネットのリターンを上げていこうという方針が大きく異なる。
高村氏は、同社が1934年から運用しているファンド(ICA)のマウンテンチャートを引き合いに、「仮に1934年に約100万円を投資をした場合、81年間運用を続けていると約109億円(コスト込み、リターン12.2%)になっている。ファンドを介さないでマーケットにそのまま投資をしていた場合には43億円になっている」ことを示し、「毎年投資を続けることの重要性、投資をする意義、ファンドに投資する価値」を述べた。
また、過去20年間で、同社のファンドを毎年、一番低い価格で買った場合のパフォーマンスと、一番高い価格で買った場合とを比較した場合、低いところで買った場合だと「9.0%」、高いところで買った場合でも「7.3%」ということを示し、「投資するタイミングではなく、投資を続けること」の有効性も述べた。
続けて、ヘッジファンドなどのプロが大勢いる市場の中で、個人投資家が買つためには、「プロが持っていないものを活用するしかない。それが、時間である」とし、短期間でパフォーマンスを求められるプロが使えない、「時間」をうまく味方につけた長期投資が重要と改めて語った。