日本郵便の利益率回復も大きな理由?

日本郵政はこの秋、金融子会社であるゆうちょ銀行、かんぽ生命と3社同時上場を目指しているが、完全子会社として日本郵政の下に入る日本郵便の利益率は、売上が2兆8000億円弱あるにも関わらず、純利益はわずか1.2%の330億円弱しかなく、郵便事業だけとると0.7%とさらに低い利益率になっている。日本郵政としては今回の買収で収益改善を実現し、上場後の株価維持を狙いたいところだろう。


トール統合には様々な問題も

トールは確かに豪州での基盤は強固で、東南アジアでも一定以上のシェアを持っているものの、収益力は残念ながら低く、日本郵便の目論見どおり利益を押し上げるドライバーになるかどうかは今後の状況を見てみる必要がある。

また、トール自身も2000年代にM&Aにより急成長を果たしているが、すでにオーストラリアはIFRS(国際会計基準)に準拠しているため、これまでの買収に伴う暖簾代はまったく償却をしておらず現状で総資産の28.6%がこうした無形資産という大きなウエイトになっている。

そのため、日本郵便が国内の既存の会計基準でこの暖簾代を償却した場合、高値の買収価格も影響してほぼ2000億円程度の暖簾代を今後20年間毎年償却することを余儀なくされることなる。今後会計方法をIFRS準拠にするかどうかによってその利益額はかなり大きく異なるものとなることが予想される。

買収はしたものの利益がほとんどプラスにならないといったことに陥らないよう、かなりの会計上の工夫が必要となるだろう。日本郵政およびその完全子会社の日本郵便がこの買収を活かして国際物流の4強に入れるかどうかが注目されるところだ。(ZUU online 編集部)

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